4月23日の九州電力交渉報告

命にかかわる重大な問題だという認識が九電にはあるのか!

 4月23日、玄海原発プルサーマル裁判の会は、九州電力本店との玄海原発の再稼働に関する交渉を行いました。
 九電は、エネルギー広報グループ課長ら6人が対応。
 1号機脆性劣化、1号機の難燃性ケーブル、請負会社社員へ事故時の指揮命令問題、燃料プールのリラッキング、値上げ問題、やらせ・動員問題等、多岐にわたって、九電の姿勢をただすことができました。
 はじめに、前回出した9つの質問への回答が九電からさらりとありました。
その後、質疑の時間をもちましたが、九電側からは、驚きの発言、迷言も飛び出しました。
 各項目について再質問を出し、1か月後の回答を求めました。以下、概要を順に報告します。


 なお、値上げ問題は、担当グループ長が冒頭、頭を下げて「申請時から307億円圧縮された料金原価だ」と縷々説明しましたが、今回は時間なく、質疑は次回にまわしました。

(1)1号機脆性劣化

前回質問:「1号機の試験片を公にし、最新データをあきらかにせよ。」
九電:意見聴取会で安全という結論が出た。今回の試験片そのものの検査では58年経過相当分までは運転可能だが、
予測曲線に不備があっただけで、問題はない。
私達:専門委員会も異論が出ているのに、打ち切られた印象がある。なぜ健全といえるのか、理解できない。
金属材料の材質がバラツキがある、このことを第三者機関で調べるべきだと以前から主張してきたが、なぜそれができないのか理由を述べてくれ。均質というのなら根拠を示してくれ。

(2)1号機の難燃性ケーブル

前回質問:「再稼働の前に、1号機の可燃性ケーブルはすべて難燃性ケーブルに交換することが必須だが、予定しているのか」

九電:中央制御室周辺の一部は難燃性に換えてきているが、他はやっていない。前の火災防護の指針の要求は満足している。
新規制基準で、火災防護規則があり、そのガイドラインをみながら、確認、検討していく。
私達:規制委員会で4月10日に案が出され、今パブコメ中だが、規制委員会が全部交換しろといったら、交換するのか。
九電:交換する云々も含めて、今どうこうするとはいえない。難燃性のものかそれと同等のものにするといっているので、その適合性をみてから。
私達:これまでも原発サイトでの火災はたくさんあった。アメリカでもケーブル火災があった。川内原発でも死亡事故があった。75年から国の指示がありながら、電力会社としてこれを知りながら何もしてこなかったのは重大な問題だ。火災対策なくして再稼働ありえない。
九電:火災防護の考え方、「燃えない対策。燃えた時の対策。原子炉に影響がいかない対策」にのっとって、やっている。規制が厳しくなるのであれば、それにのっとってやる。

(3)請負会社社員へ事故時の指揮命令問題

前回質問:「作業員はどれくらいいるのか。請負契約をしている下請け会社社員に指揮命令はできないが、過酷事故時はどう対処するのか」

九電:玄海にいる正社員は550~560人、協力会社は通常運転時で1200人ぐらい。今は総点検中で2000人弱。
請負会社社員に直接指示を出すことはない。日頃から役割分担して、緊急時の訓練をして、意志疎通を図る。対応マニュアルがあり、訓練ができているので対処できる。
私達:福島では協力会社社員がいなくなって、正社員が重機動かせなかったりした。そこをどうするか。具体的に示せ。
請負問題について厚労省が九電に求めた質問への回答が、マスコミに開示されなかった。情報開示してくれ。

(4)燃料プールのリラッキング

前回質問:福島事故では使用済燃料プールの危険性も浮き彫りになった。3号機はリラッキングの審査中断中だが、安易につめこむことはできない。3分の1ずつ燃料を入れ替えるとすると、あと2.6サイクルしか運転できない計算になるが、どうするつもりか。

九電:六ヶ所に搬出できなくても、1,2,4号機は共用化して、3-5サイクルは可能。燃焼度をあげているので、3分の1でなく、4分の1とりかえればいい。
私達:最終処分場はどうするのか。
九電:国の方針でやる。
私達:核燃料サイクルもできていないじゃないか。
九電:リサイクルして、プルサーマルをやっています。
(私達一同:この人、正気?)
私達:六ヶ所再処理工場はガラス固化が出来ず、動く見込みもないじゃないか。
九電:私は六ヶ所にもいましたが、動くと考えています(シタリ顔で)
私達:何を言っているの!
玄海の人達もこのまま玄海に置かれ続けることを心配している。原発は九電という会社のことだけでなくて、関係のない人達すべての命や地球環境にかかわる重大な問題だという認識はあるのか!国がどうのじゃなくて、九電としてどうするつもりなのか!
現実的にどう対処するつもりか示してほしい。

(5)避難訓練

私達:福島事故なみの想定をして避難訓練をすべきだ。自治体に対して、第一報はするが、あとはおまかせというスタンスではなく、九電側から自治体にこういうことをしてくださいと言っていくべきだ。

(6)やらせ・動員問題

 前回質問への回答の中で、九電は「やらせメール等の一連の問題の反省に立って、原子力部門の透明性の確保、組織風土の改善につとめています」と軽く触れただけでした。
 そこで、今日の主要議題ではなかったので、質疑応答の最後に、この点をただしました。

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私達:前回2月8日の交渉後、やらせに関係して動きがあったが、まず何かコメントはないのか?
九電:・・・なんのことでしょうか。メール問題の反省に立って、これからそういうことはないようにしているところです
私達:3月28日にあきらかになった、「2005年8月の原子力大綱市民公聴会」での動員のことだ。
九電:ですから、反省の上に立って、今後はそのようなことはないようにしています。
私達:これからのことの前に、これまでのことは全部洗いざらいをしたのか?もう出てこないんですね?
九電:ですから、過去の一連の事象は最終報告書を見てほしい。反省していますので。これからはそういうことはしない。
私達:じゃあ、言うが、2005年8月の公聴会の「動員」が発覚した後、うちのメンバーの中で、2006年11月11日に開催された資源エネルギー庁主催の「エネルギー説明会in佐賀」に参加した人がいる。参加者240人で、「たくさん黒い服を着た人が監視する異様な雰囲気のなか、九電の関係者と思われる発言がたくさんありました」と言っている。2005年のプルサーマル公開討論会も、2005年8月の公聴会も、参加した市民は直後から「あれは九電の人達だね」と話していた。案の定だった。おそらく2006年11月の「説明会」も、やらせ・動員があったのだろうと、普通の人なら思うのだが、これは調べないのか。
九電:過去のことは調べていませんが、これからは...
私達:なんで調べないのか。「これからはしない」というが、臭い過去にはフタをするのか!膿をだしきるべきだ。またマスコミ報道でばれてから「ごめんなさい、反省しています」と繰り返すのか。そんな会社をとても信用できない。もう、やらせは出てこないと言えるのか。
九電:・・・ないとはいえません。
私達:3月28日に新しい動員が発覚した翌日に、「原子力の業務運営に係る点検・助言委員会」の第3回目の会合が開かれたとホームページにあった。これは「やらせメール」の反省に立って、つくられたものだろう。しかし、議事録を見たら、前日に発覚したばかりの、この動員問題が一言も触れられていない。委員会発足の根本理由となる事象がまた発覚したというのに、驚くばかりだ。反省もなにもないじゃないか。
九電:委員会は趣旨が違うので...
(私達全員:何それ!)
私達:何の意味もない委員会だ。とにかく、ちゃんと調べて公開すべき。
九電:・・・ご意見として承る。
私達:2005年公開討論会でも動員・仕込みがあったわけだが、プルサーマルについて公開討論会からやり直すべきではないか。
九電:過去のことは取り返しがつかないので...
私達:取り返しがつかない、と言いたいのは、私達の方だ!あの公開討論会後、古川知事の事前了解でプルサーマルが始まってしまったのだ。討論会からやり直すべきだ。
九電:・・・ご、ご意見としては承ります。
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 というやりとりでした。まさに「臭い過去にはフタ」でした。
つつけば、まだまだ出てきそうな「やらせ・動員」。再稼働も値上げも、反省を実際行動で示してからの話しです。
 新聞記者さんも来てくれてましたが、この問題をさらに追及してくれることを願っています。

*今年3月に発覚した2005年8月の原子力大綱市民公聴会でのヤラセ動員
http://mainichi.jp/select/news/20130328k0000m040149000c.html
*2006年の「エネルギー説明会in佐賀」
http://www.asyura2.com/0505/genpatu3/msg/513.html