7月12日、玄海原発再稼働申請に抗議、撤回を求め要請
原子力規制委員会が新しい規制基準を7月8日に施行したことを受けて、九電は、8日に提出した川内原発に続き、12日玄海原発再稼働申請を提出しました。
福島第一原発事故の原因究明もされず新基準ができるはずがありません。私たちは、福島原発事故の責任を誰一人とる事もせず、福島県はじめ多くの人々が避難生活を余儀なくされているこの状況で、安部政権の経済のために再稼働ありきは絶対許す事はできません。
そこで、7月12日の九電の玄海原発3・4号機再稼働申請を受けて、九電本店、佐賀県、玄海町へ抗議・要請書を提出しました。賛同いただいた全国のみなさん、ありがとうございました。(抗議文は下)
しかし、またも密室で「事前了解の対象外」と決定。これに対し、16日、再び抗議文提出!
しかし、同日午後1時、佐賀県庁内で九州電力山元春義副社長と牟田香副知事は面談し、玄海原発の再稼働は「事前了解の対象外」として、国への申請内容の報告にとどめることを密室で決めました。またしても「やらせ」なのかと思いたくなる佐賀県の国任せの無責任体質に、私たちは16日再び抗議文を提出しました。
佐賀県庁は、やらせメール事件のころから、反原発の市民は玄関先で立ったままの対応しかしていません。交渉も、できるかどうか解らないといっています。佐賀県は、住民不在状態です。
この度の私たちの2度目(16日)の抗議内容を、マスコミが翌日17日の定例記者会見の場で知事に質問してくれました。17日のNHKのニュースでは、前日の私たちの抗議提出の様子が、再度NHKで流れました。こんな事はじめてです。
古川知事は、再稼働判断について「事前了解にはなじまない」という言い方で、県民の命と財産を守る立場の自覚を全く持っていません。
再稼働に向けて、突っ走る佐賀県知事包囲網をつくっていきたいと思っています。私たちは、県内の議会対策として県、各市町の首長、議員周りを、今週来週にかけてやっていきたいと思っています。
※新潟県泉田知事の動画です。泉田知事がフィルター付きベントの設置について「事前了解なしで申請はありませんね」と何度も迫る立派な行動です。佐賀県知事も見習ってもらいたいものです。↓↓
12日提出の抗議文
2013年7月12日
九州電力株式会社
代表取締役社長 瓜生道明 様
玄海原発再稼働申請に抗議し、撤回を求めます
玄海原発再稼働に反対する市民一同
原発の新規制基準が7月8日に施行されました。
九州電力は同日、川内原発の再稼働に向けた安全審査の申請を行い、本日12日、玄海原発の申請を行いました。
しかし、福島第一原発事故の事故原因はいまだ究明されず、さらに放射能の汚染水の流入・発生がつづき、その解決の見通しも立っていません。福島ではいまだに15万人以上が避難生活を余儀なくされ、故郷へ戻れない状況にあります。福島第一原発事故は「収束」していないのです。
こうした中で、原発再稼働を求める一部の経済界および各電力会社の意向に沿って、審議過程で専門家から出された疑問や、多くの国民から寄せられた意見を全く無視し、企業の論理にのっとったスケジュールありきで決定された「新規制基準」で再稼働をすすめるなど、私たちは断固として容認できません。強く抗議の意思を表明します。
新規制基準では、炉心溶融を伴うような重大事故への対策を義務付けていますが、福島事故の教訓を踏まえた内容になっていません。そのうえ、中央制御室が使えなくなった場合に備える「第二制御室」の設置、放射性物質を低減した上で外部に逃がす「フィルター付きベント」設備の設置などは5年の猶予が設けられています。放射能汚染水対策も問題にもされていません。
そもそも原発は「五重の壁に守られているから放射能は漏れない」と言ってきたのが、いつの間に「事故が起き爆発しそうだからベントします。放射能を放出するから逃げてください!」と言うようになったのでしょうか。
防災計画もろくにできない下で、再稼動したら再び事故が起きるかもしれないと市民は不安に脅えています。放射能被ばくを覚悟しろというのですか。
さらに、事故が起きた際の責任も不明確なまま、賠償も結局は電気料と税金、つまりは国民に押し付けというのは、あまりに無責任ではないででしょうか。
これまで九州電力は、市民から原発の安全対策について質問が多岐にわたり提出されていますが、裁判係争中のプルサーマルMOX燃料の安全性や使用済み燃料の処理問題など、すべてに対し、全くと言っていいほど市民を納得させられる回答をされていません。
新たに活断層の3連動による大きな地震の可能性が学者から指摘されても、慎重な検討もせず、切り捨てています。
こうした中での松尾新吾・九州電力相談役の「止められて1日10億円の赤字、4日早く再稼働できれば40億円出すくらい、なんてことはない」発言は、正に市民を愚ろうするもので「命よりカネ」の態度としか思えません。
3.11を経ても、「やらせ」事件があっても、何も変わらない九州電力の態度に怒りを感じます。原発事故被害者の気持ちを踏みにじるのは、もうやめてください。
この間のどの世論調査をみても、「原発ゼロ」「再稼働反対」の声は圧倒的で、国民の声となっています。国民の意思を無視し、スケジュール先にありき、再稼働ありきとする九州電力に対し厳しく抗議するとともに、玄海原発の安全審査の申請の撤回を求めます。
【呼びかけ団体】
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹
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賛同団体
原発いらない福島の女たち
がれき問題を考える会・福岡
原発の無い玄海町を考える会
九州住民ネットワーク
那珂川と五ヶ山ダムを考える県民の会
九州電力消費者株主の会
福岡で福島を考える会
おいで福岡プロジェクト
いとしま菜の花プロジェクト
Fight for Your Life
ボノワ
さよなら玄海原発の会・久留米
原発八女ん会
風ふくおかの会
陽だまりたんぽぽの会
仏教徒非戦の会・福岡
球磨川からすべてのダムを無くして鮎の大群を呼び戻す会
ママは原発いりません
株式会社スロー風土
ナチュ村
放射能市民測定室九州
一般財団法人日本熊森協会福岡県支部
原発なしで暮らしたい・長崎の会
環境共育を考える会
原発いらんばい鳥栖の会
さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト
志賀町勤労者協議会
PKO法「雑則」を広める会
六ヶ所村・再処理いらない!消費者の会
ときの会
GBN.K
以上31団体
【玄海原発の問題点――これでも再稼働するというのか!】
(1)活断層の連動問題
九電は糸島半島沖断層群と前原断層を約21キロの1本の断層とみなし、耐震安全評価でM7.0としているが、九州大学の下山助教グループは糸島半島沖断層群と前原断層と日向峠-小笠木峠断層は三本つながっていると可能性を指摘、耐震安全評価はM7.7と予測される。7月3日の九電交渉では「情報は把握しているが、同時に三連動するとは考えていない。評価を変更する必要はないと考えている」と言った。M7.0とM7.7は地震のエネルギーは10倍ともなるといわれているのなら、より安全側に立って見直すべきである。
(2)免震重要棟問題
免震重要棟設置予定は2015年度を目処としているが、東電福島原発事故でも、免震事務棟があったことが不幸中の幸いであった。この事故を踏まえ、緊急時対策所は仮設拠点に過ぎず90平方メートルしかないなどの課題が浮上している現状から、少なくとも2015年度までは安全が担保できないことから再稼動はすべきでない。
(3)防災問題
県内全20自治体に2012年10月ごろから面談して、安全協定・拡散予想図・避難計画についての情報を提供説明してきたが、住民の命と財産を守るに足りる充分な避難対策が立案できていない自治体が多々あった、これは事実である。また、玄海原発の周辺には住民のいる多くの離島があること、災害弱者といわれる老人や介護の必要な人の対応などなど手つかずだ。原発事故は24時間のうち、いつどこにやってくるか誰にも解らない。原発立地地域において、この難題を解決せずにして、まともな防災計画など立てられるはずがない。
(4)1号機の脆性遷移(ぜいせいせんい)温度98度の問題と1号機の可燃性ケーブル問題
脆性遷移98度をもって再稼働などありえない。
また、可燃性ケーブルについては、九電は「延焼防止剤を塗っており、新基準への適合性について具体的に検討している」としているが、これまでも原発サイトでの火災は国内でも多々発生しており、海外での大事故を踏まえると、火災対策を疎かにして再稼働ありえない。また、規制庁・規制委員会が、延焼防止剤による処理をこれまでのように「可燃性ケーブルと同等と見なす」経過措置を新基準で容認することは審査上有り得ない。
(5)3号機はプルサーマルであること
プルサーマルは、安全余裕を食いつぶすといわれている。これは、市民の安心できる生活を食いつぶすという事に匹敵する。核燃料サイクルの行き詰まり、プルトニウムの後始末である。ウラン燃料に比べてMOX燃料の毒性の影響は大きく、危険性は拡大する。「プルサーマルは治験無しのぶっつけ本番の人体実験」と言われ、「プルサーマルって何ですか」と、基本的に住民へ充分周知されていない。
(6)使用済み燃料の問題
あと2.6回で満杯になるとされている。リラッキングという姑息な手段で乗り切ろうとしているが、安全余裕の極端な削減に、住民側に納得の行く説明もなしに再稼働は認められない。
(7)タービン動補助給水ポンプ
玄海原発のような加圧水型炉では、外部電源喪失し全交流電源喪失した時には、タービン動補助給水ポンプに頼らざるを得ない。しかし、3.11福島に見るように高圧注水系配管が地震で破損した可能性は否めないように、タービン動補助給水系配管が破損すれば、給水ポンプの多重性防護はないため、それだけでもう炉心溶融に至る過酷事故が避けられないことになってしまう。
(8)安定ヨウソ剤の配布について
福島事故を教訓として自治体の確保・準備配布・服用法・指示命令系統など、佐賀県民はじめ、福岡、長崎とあらゆる想定を考慮して、最大の安全側にたった事前対処が不可欠である。
(9)九電の信頼は地に堕ちたまま
古川知事に端を発した「やらせメール問題」の反省もない中、松尾前会長の「1日動かせば10億円」発言など、安全性を考える大前提としての「企業と消費者との信頼関係」は地に堕ちたままである。
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16日提出の抗議文
2013年7月16日
佐賀県知事 古川 康 様
玄海町長 岸本英雄 様
住民の命と財産を守る立場という自覚をしてください
命より経営優先の九電に対し、事前了解を約束させてください
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹
私たちは、去る12日、原子力規制庁の新規制基準の施行に伴い、九州電力が玄海原発の再稼働申請を出した事を受け「再稼働は認められない」と知事と玄海町長に要請書を出しました。同日午後1時、佐賀県庁で九州電力山元春義副社長と牟田香副知事は面談し、玄海3・4号機の安全審査を原子力規制委員会に対し申請する報告をしています。翌日13日の新聞報道では「安全対策の了解不要」「九電、佐賀県、玄海町が判断」「事前了解の対象外に」と各紙で大きく取り上げられています。一体これはどういうことかと、驚きと怒りがこみ上げてきました。
報道内容によると【川内原発では鹿児島県は安全協定で「原子炉施設変更時の事前協議」を規定しており、今回の安全対策は、この規定に当たるとして、九電は県市に事前協議書を提出。国の審査とは別に、県市は安全対策を了解するか判断することになる。】
【一方、玄海原発も同様の安全対策を講じているが、九電は佐賀県と玄海町に事前了解願を提出せず、国への申請内容の報告にとどめた。九電の説明によると佐賀県、玄海町と協議して決めたと言い、川内原発と異なるのは「自治体の考え方の違い」(幹部)としている。佐賀県は取材に「規制基準で設置が要求されている施設は既に工事が着手されており、安全協定に基づく事前了解にはなじまない」と話している。】
報告を聞くだけ、再稼働するかどうかは国に責任を負わせるという、住民の命と財産を守る責任ある立場の判断とは到底思えません。2011年6月に浮上した「再稼働」の時の「やらせ」事件で反省することもなく、またもや住民の知らないところで行われている密室の協議です。佐賀県と玄海町、九電の、いまだに続いているもたれあいと隠蔽体質が一向に改まっていないことが露呈されたわけです。
私たちは、福島原発事故の甚大さ深刻さを知る度に、二度と起きてはならない原発事故を食い止めるためには、原発は止めるべきだと思っています。福島事故の責任は未だに誰一人とることもせず、国民の命より経済を何より優先する国をもう信じる事はできません。
「こんな国に任せられない。福島原発事故の収束の見通しさえたたない中、再稼働などありえない」と住民側に寄り添った判断をするのが原発立地の知事や地元首長の正しい判断ではないでしょうか。この度のことは、安全協定を県自ら無いものとすることであり、地方自治体のトップとして責任放棄で、地方自治が国の奴隷になることを意味しています。安全審査の申請書類内容を九電に丸投げするのではなく、県独自での安全性の確認をすべきです。その意味からも事前了解は当然のことです。
新潟県泉田知事がフィルター付きベントの設置について「事前了解なしで申請はありませんね」と何度も迫り、東電の申請を先送りさせたのと全く逆の対応です。鹿児島県でも事前協議要件としています。古川知事は九電の「虜」そのものです。
住民の命と財産を守る立場という自覚を持ってください。命より経営優先の九州電力に対し、事前了解を約束させるのが、自治体トップとしての責務で在るべき姿です。原発事故が起きれば、命の責任は誰にも取れません。事故が起こってからでは間に合わないのです。
今回の身勝手な古川知事と玄海町長の行動に厳しく抗議し、本要請文の主旨に従うよう佐賀県知事と玄海町長の姿勢変更を求めます。