4月18日(金)裁判報告!

 4月18日(金)、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」が訴えている4つの裁判の口頭弁論などが佐賀地裁で行われました。

 

・玄海3・4号機の再稼働を止めろと国を訴えている行政訴訟第2回口頭弁論。

 

・玄海全基の運転停止を求めて九電を訴えた全基裁判第8回口頭弁論。

 

・玄海2・3号機の再稼働させるなと九電を訴えた仮処分の第12回審尋(非公開)

 

・玄海3号機プルサーマル・MOX燃料の危険性を問う裁判の第4回弁論準備手続(非公開)

 

 開廷前、いつもよりも早めに大阪から佐賀に到着された冠木弁護士らも門前のアピール行動に加わっていただきました。

 裁判を支える会会長の澤山保太郎さんは、この日も高知県東洋町から駆けつけ、裁判勝利と支援を力強く訴えていただきました。

 原告団・弁護団は一斉に入廷、前回1月24日の行政訴訟第1回口頭弁論の時と同じく傍聴席は埋まりました。

行政訴訟第2回口頭弁論

 昨年11月13日、原発政策の本丸、国・原子力規制委員会に対して、全国384名の原告仲間とともに、玄海原発の運転停止命令を出せと提訴しました。

 訴えのポイントは主に2つ。

 「放射能汚染水の根源である放射性物質の放出を防ぐ措置がまったく不十分であること」

 「基準地震動の設定が二重基準によって過小評価されていること」

 

 被告・国は、1月10日付の答弁書で「原告の請求を棄却することを求める」とだけ回答してきていましたが、今回、訴状に対する認否書を出してきました。

その中で、国は「福島原発事故の汚染水問題は、玄海のこの訴訟との関連性がわからないので、認否の必要性がない」と答えてきたのです。

 冠木弁護士は−−

「これはどういうことか!原子力規制委員会は組織理念の前文で“福島事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために〜設置された。原子力にかかわる者はすべからく高い倫理観を持ち、常に世界最高水準の安全を目指さなければならない。我々は、これを自覚し、たゆまず努力することを誓う。”と誓いの言葉を述べているが、その誓いはどうしたのだ!汚染水問題は教訓どころか、まだ進行中。それを、担当の規制庁が「関係ない」とはどういうことか。放射能拡散防止するための措置をとらない、無責任な態度をとるなら、そもそも審査する資格がない!」と、法廷で喝破しました。

“裁判官は普遍的な価値を見失わない神のような視点を持つ意思を!”−−毛利甚八さん意見陳述

 行政訴訟口頭弁論の祭、裁判官が主人公のマンガ『家栽の人』原作者、毛利甚八さんに意見陳述していただきました。

 20年以上、裁判所の物語を書いている毛利さんですが、原告になったのは初めてで、被告が座る位置での陳述に緊張されてたようです。

 毛利さんは「玄海町史」「玄海町議会議事録」などの調査や、玄海原発賛成・反対“当事者”らへのインタビューを基に『九州独立計画』を書かれましたが、その中身を凝縮して陳述されました。そして、最後に、「裁判官のみなさまへのお願い」として、こう訴えました。

 

 “過去に多くの原子力発電所の建設や稼働をめぐる裁判がありました。その中で原子力発電所に反対する国民の言い分を認めた判決はわずか二例です。そうした流れの中で福島第一原発の事故が起きました。原発稼働を追認した数多くの判例は、裁判官が誰からも求められていない政治家的な発想のもと、自己保身という雑念に負けて垂れ流したものだ、と言えないでしょうか。その判決文にちりばめられた欺瞞が福島第一原発の事故によって照らされる時、裁判官のみなさんは過去の判例を、ずくずくと痛む古傷のようにふりかえらなければならないはずです。

 私は志賀原発二号機の運転差し止め判決を行った井戸謙一元裁判官にインタビューを行いましたが、井戸さんは「もし志賀二号機の判決がなかったら、今、司法は何と言われていたことでしょうね。志賀二号機の差止め判決があったから、司法は少しは市民の信頼をつなぎとめることができたかもしれませんね」と私に言われました。

 私は過去に裁判官の物語を書いた経験があり、二〇人前後の裁判官・元裁判官の方たちと個人的におつきあいをしてまいりました。そうした経験をふまえ、裁判官とは何かをあらためて考えております。

 やはり裁判官は普通の人間ではいけないのです。鍛え抜かれた人格を持ち、普遍的な価値を見失わない神のような視点を持つ意思が求められています。なぜなら、裁判官は判決によって日本国民の未来をつくる特別な仕事をしているからです。

 この裁判が裁判官のみなさまの理性によって裁かれることを希望しております。”

 

 裁判官3人はまっすぐに聞いているようでしたが、陳述が終わると、

「では、次の期日ですが」と、何事もなかったかのように、淡々と事務的な話で切り出しました。

 今、MOX裁判では、自身の判断でしっかり判決を出そうとしている姿勢が感じられるこの裁判官達が、心の中のざわめきをきっと押し殺して、聞いてくれれたのではないかなと勝手に推測します。

 裁判所、裁判官のことを誰よりもよく知っている毛利さんが、原告として、私達の仲間として陳述に立っていただいたことの意義は大きく、ありがたいものでした。

 

今後の予定

 行政訴訟の次の期日は、なんと5か月後の9月になってしまいました。その頃、全国の原発の“再稼働”がどんな状況になっているか心配ですが、その間に政府交渉等、運動と連動させてめいいっぱい動いていきたいと思います。

以上、行政訴訟の報告でした。

 

 MOX、全基、仮処分の九電相手の3つの裁判については、5月30日に次回期日を迎えますが、進行状況について別途報告します。

 特にMOX裁判は「玄海のMOX燃料の危険性」が証明されたかどうかということにとどまらず、他のプルサーマル発電や、全国の核燃サイクルの動向にも影響を与える内容を含んでいます。7月18日には5時間かけて証人尋問が行われ、9月には結審となります。

 5月30日の活動報告会では、「MOX裁判で何が問われているか」について、弁護団と小山さん(美浜の会代表:裁判補佐人)から報告いただく予定にしています。

 傍聴、参加をお願いします。

 

みんなのチカラで裁判勝利!再稼働阻止!原発ゼロへ!

正念場の今年、がんばりましょう!

 

5月30日(金)13:30 全基裁判

      13:45 仮処分審尋

      14:00 MOX弁論準備

      16:00 活動報告会

 

7月18日(金)10:00 MOX証人調べ ★ヤマ場です。傍聴を!

 

9月19日(金)14:00 MOX最終準備書面、結審

      15:30 行政訴訟第3回

 

<年内判決!?>

 

※意見陳述書、準備書面は、HPに順次アップしていきます。