川内原発再稼働へ向けた「新規制基準適合性審査」について、原子力規制委員会は本日午前、「審査書案」を了承しました。これは事実上の合格通知です。
火山問題、汚染水等重大事故対策、基準地震動など問題山積の上、「車の両輪」としたはずの避難計画は避難弱者見殺しの机上の空論のままです。
とんでもないことです!
政府交渉等でいつも共同している7団体(原子力規制を監視する市民の会/反原発かごしまネット/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/国際環境NGO FoE Japan/福島老朽原発を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)は連名で緊急に「抗議共同声明」を出しました。裁判の会からの緊急の呼びかけに22団体が賛同してくれました。
佐賀では声明発表後、ただちに佐賀玉屋前で抗議の街頭宣伝を行い、共同声明を市民に配布しました。
「新基準は福島を踏まえたと規制委は言うが、国民だましの隠ぺいだらけのうそつきの新基準だ!」(石丸初美代表)
原発再稼働絶対反対!
私達の声と行動をさらに強めましょう!
声明文
川内原発の新規制基準適合性審査
原子力規制委員会による審査書案に抗議する共同声明
2014年7月16日
原子力規制を監視する市民の会/反原発かごしまネット
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
国際環境NGO FoE Japan/福島老朽原発を考える会
本日、原子力規制委員会は、九州電力川内原発の新規制基準適合性審査に関し、合格通知にあたる審査書案を提示した。これに強く抗議する。
川内原発の新規制基準の適合性審査については、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえたものにはなっておらず、以下の理由からも、とても合格通知案が出せる状況にはない。
1.火山影響評価では噴火の予測はできないとの専門家の警告を認めながらも審査では無視し、自ら定めた火山影響評価ガイドにも違反している
① 原発の運用期間中に巨大噴火(カルデラ噴火)が生じる可能性について、これが十分に小さいとする九州電力が、十分な根拠を示していないにも関わらず、規制委・規制庁は、火山の専門家が一人もいない状況で、専門家に意見を聞くこともせず、ほとんど議論もなしに素通りさせてしまった。
② 火山の専門家が、巨大噴火(カルデラ噴火)の予測は難しいと訴える中、政府も、噴火の規模や時期をあらかじめ予測することは困難であることを認めている。火砕流に対しては、事前に核燃料を搬出する必要があり、これに何年もかかることから、噴火の規模と時期の予測は必須である。にもかかわらず、これを中長期的な課題として放り投げ、モニタリングの実施だけで素通りさせてしまった。
2.重大事故時に生じる汚染水が海などへ流出することを防止する対策が全くとられていない
新規制基準は、重大事故時に、格納容器が破損した場合でも、放射能の拡散を抑制する対策をとるよう要求している。また、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえるとしているが、現在福島第一原発において深刻な事態を引き起こしている汚染水流出の事実が適合性審査の過程で完全に無視され、川内原発に対しても流出防止対策が要求されていない。
さらに、川内原発では一日三百トンの地下水をくみ上げているが、重大事故時にくみ上げるポンプが止まると、地下水が建屋内に流入し、格納容器の下部から漏れた冷却水である汚染水と混ざり、大量の汚染水となるおそれがあるが、こうした事態を防止する対策もとられていない。
3.重大事故時の格納容器破損や水素爆発の可能性について、解析コードの信頼性を確認するためのクロスチェック解析が行われておらず、防止対策が十分でない
冷却水喪失と電源喪失が重なるような重大事故時に、九州電力は、原子炉圧力容器の冷却を放棄し、格納容器下部に水を張って溶融燃料をそこに落とすという驚くべき対応を行うとしている。その場合でも、格納容器の破損や水素爆発に至らないとの根拠に用いられているのが、コンピュータを使った解析である。
しかし、九州電力による解析では、信頼性に疑問が出ている解析コードが用いられており、これに対し、規制委・規制庁側で、通常は行われるはずの、別の解析コードを用いた「クロスチェック解析」は行われていない。
4.地震動の想定が過小評価になっている
耐震安全性評価で用いる地震動の想定において、津波評価では用いられている日本の特性を考慮した武村式を用いた評価を行っていない。武村式を用いた場合、地震の規模は約2倍となる。
また、審査の過程で、火山影響評価などで新規制基準の不備が明らかになっているが、田中俊一委員長も認めるように、新規制基準は原発の安全を担保するものではない。
さらに、田中俊一委員長が、新規制基準と並んで車の両輪と例えた避難計画については、
① 要援護者の避難計画について、鹿児島県が原発から十キロ以遠について、計画の立案を放棄し、福祉施設や病院に立案と責任を押し付けている状況の中で、全く目途が立っていない。避難弱者を見殺しにするものとなっている
② 一般の避難計画についても、避難先が狭すぎて居住できる環境ではない、避難先が風下になる可能性がある、原発事故と地震や津波などとの複合災害について考慮されていない、ヨウ素剤の配布の計画が立っていない、スクリーニングポイント(避難の途中で計測と除染を行う地点)が決まらず目途が立っていない、三十キロ以遠でも避難が必要となる可能性について考慮されていない、等々
課題山積である。実効性ある避難計画は立案されておらず、計画を具体化すればするほど、避難の困難さが浮き彫りになるだけである。
こうした状況で、川内原発の再稼働手続きが進むことは許されない。原子力規制委員会は審査書案を撤回すべきである。川内原発を再稼働させてはならない。
以上
【賛同団体】(裁判の会呼びかけ分)
<福島県>脱原発の日実行委員会福島 /風下の会 福島
<佐賀県>プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 /原発いらんばい鳥栖の会
<福岡県>九電消費者株主の会 /原発八女ん会 /~子ども・地球・未来を守りたい~
九電消費者株主の会 /日本科学者会議福岡支部幹事会 /怒髪天を衝く会 /ママは原発いりません 志摩の風 /原発知ちょる会 /福岡で福島を考える会 /いとしま菜の花プロジェクト
風のおくりもの /風ふくおかの会 /緑の党・九州連絡協議会 /九州ひまわりプロジェクト
<大分県>ハハパレ月イチ実行委員会
<新潟県>teamえぶり
<千葉県>小さな風の会
川内原発「審査書案」に対する問題点を挙げましたが、「火山」問題以外は
玄海原発においてもまったく同様の問題があります。
川内原発再稼働反対!玄海原発再稼働反対!
子ども達の未来に原発いらない!
我々は未来を選ぶ責任の時代に生きている!
連絡先:090-3949-2103(永野)
声明文のWordファイルはこちら
佐賀テレビ報道
原子力規制委が川内原発に“合格証”(2014/07/16 20:09)
早ければ秋にも再稼働する見通しです。原子力規制委員会は16日、鹿児島県の川内原発について再稼働に向けた事実上の合格証となる審査書の案を了承しました。佐賀県の古川知事は「川内の動きをしっかりと見ていきたい」と述べました。現在、全国には16原発48基ありこのうち12原発19基が再稼働に向けて安全審査を受けています。このうち優先的に審査が進んでいる鹿児島県の川内原発は、新しい規制基準に照らして再び稼働しても問題ないと判断され16日の規制委員会で事実上の合格証となる審査書の案が了承されました。【原子力規制委員会田中俊一委員長】「非常に長い時間かけて議論して、今回のような審査書案がまとまったことについては一定程度、安全性も高まったと思うし、評価していいと思う」【古川知事】「川内の動きがこれからどうなるかしっかり見るということが玄海の立地自治体として求められることだろうと思っている。Q地元同意のプロセスは?「サイトごとに地元と協議しながら決めていくことが国の方針と示されたので、その都度のところで実態的に判断するのかなと思っている」審査書案は今後1カ月間、意見を募集したあとに正式に決定され
ます。川内原発は早ければ秋にも再稼働する見通しで、去年施行された新しい規制基準のもとでは初めてです。九州電力は「さらなる安全性・信頼性向上への取り組みを自主的かつ継続的に進め、原子力発電所の安全確保に万全を期してまいります」とのコメントを出しました。玄海原発3、4号機は現在、安全審査が続いていて最大規模の地震の揺れの想定で耐震設計の目安となる「基準地震動」について今月11日の委員会でおおむね了承されました。一方、佐賀市内では原発再稼働に反対する玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会のメンバー9人が街頭で抗議活動を行いました。「玄海原発裁判の会石丸初美代表」「この基準値というのはどこをもって、基準値としているのかそこに今回川内原発は、その基準値にデタラメの、ごまかしの新規制基準に合格したと言われても、私たちは安心できない」石丸初美代表は川内原発の新規性基準の適合審査は福島第一原発の教訓を踏まえたものにはなっていないと規制委員会の姿勢を激しく批判しました。
NHK報道
市民団体が抗議活動
佐賀市では、市民グループが、「川内原発の安全対策は十分でなく避難計画にも実効性がない」などとして、原子力規制委員会に抗議し川内原発の再稼働に反対する活動を行いました。
抗議活動を行ったのは、佐賀市の市民グループ、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」で、メンバー9人が佐賀市の中心部で、活動を行いました。
この中で、市民グループは、「川内原発の安全対策は、火山の噴火への備えや、汚染水の流出対策などに問題があり、十分なものとは言えず、避難計画にも実効性がない」などとして、原子力規制委員会に抗議し、川内原発の再稼働に反対すると訴えました。
市民グループの石丸初美代表は、「福島の原発事故の教訓を踏まえているとは思えない基準に基づいて、了承と言われても納得できない。川内原発の再稼働は、玄海原発の再稼働にもつながるおそれがあり、よりいっそう、多くの人たちに訴えていきたい」と話していました。
07月16日 21時43分