玄海町ヨウ素剤配布は再稼働への地ならし!
9日、玄海町議会原子力対策委員会(全議員12人で構成)で安定ヨウ素剤配布説明会の説明があるということで、傍聴に行ってきました。
町議会の建物は6000人の小さな町の役場にしては立派な建物の隣に、さらに輪をかけたような威容さで建っています。
廊下と階段には赤じゅうたん...
迷路のように通路が長くて、部屋もたくさん。
委員会傍聴はマスコミ以外に、他の自治体関係者と思われる人が3人ぐらいいて、あとは私たち3人だけという寂しさでした。
委員会が始まりました。はじめに佐賀県医務課が淡々と説明。
9月下旬から、5キロ圏内15地区3760名を対象に地区ごとに説明会を開催して、ヨウ素剤を配布するとのこと。
質疑は、まず原発推進派の議員から。
福島では三春町が独自判断で住民に服用させましたが、議員はもちろん、県も、その詳細を知らないようでした。
福島県内で発症している甲状腺がんについて、佐賀県としてはどう確認しているのかの質問に、県は「今のところ増えているという証拠もなければ、増えていないという証拠もない」と抜けぬけと答弁。
さらに議員は「玄海町は白血病が多い」というのがある機関紙に出た。いろいろ調べたら、地域として元々多いので、心配することはないと。原発周辺だから放射能に関する病気が多いなどの風評被害がおきないように、県としてもお願いしたい」なとど質問というか陳情。
県は「持ち帰って検討したい」と答えた直後、
町長が「この地域(上場台地)には風土病として白血病がある。原発ができる前から高い数値だった」と発言。
議事進行に徹するはずの議長までが「そういうのを原発に反対する人が殊更に言うから、針小棒大になる」と!
(※白血病が多いという厚生労働省の統計データは別途紹介します)
次に、唯一の再稼働反対の議員が「配布するなら、最悪を想定して5キロだけでなく全町民に配布すべき、30キロ圏全員が対象になるべきだ」と質しましたが、
県も町総務課も「国の指針で、5キロ圏がまず避難。5〜30は放射能実測値で避難を決める。だから、ヨウ素剤もまずその人達に配布する。5キロ圏外にも備蓄はある」とだけ繰り返しました。
最後に町長は「安定ヨウ素剤が上手に使われますように努力したい」と。
ここでヨウ素剤については終わり。
もう安心したのでしょうか、そもそも心配をしていないのでしょうか、議員たちは談笑しながら、コーヒータイムへ。
休憩後、今度は九電が再稼働準備の「ご説明」にやってきました。
議員たちからは「玄海はいつ再稼働か。規制委員会が後出しじゃんけんすることもあるが、玄海の審査はどれぐらいかかるか。川内の審査より早くなるか」という、九電も答えに窮するぐらいの再稼働渇望質問ばかりでした。
「原発ありき」「放射能安全神話」にどっぷり浸かる玄海町議会の委員会はこんな感じで終わりました…
私たちも福島原発事故の前には玄海町の全戸へのヨウ素剤配布を訴えていました。地元住民への関心を高めて、プルサーマル反対に目を覚まして欲しかったからです。
県医務課に話をして、やっと、公民館と小学校には置くという話になりました。
ところが、しばらくして(3.11直後)、玄海町に尋ねたら、置いているのが2か所だけでした。
約束が守られていなかったのです。住民の安全安心などろくに考えていなかったのです。
そして、福島事故を経験し、再稼働をもくろむ今になって、ヨウ素剤の配布。
事故が起きた時に放射性ヨウ素が体内に入りこないようにするには役立つかもしれない。
だけど、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム…放射能には200種類もある。
しかも、ヨウ素剤は副作用も心配される劇薬。それを服用判断は最終的には個人の責任で飲んでくれと。
福島を経験した方から「ヨウ素剤は戦時中の手りゅう弾のようだ。いざという時にこれを使えと。そんなもん、受け取るべきではない!」という話も聞きました。
「これを飲めば安心」「親切にやってくれた」っていうのとは全く違う。
これは住民の安全のためでなく、再稼働のためのアリバイづくりとしか思えません!
再稼働を進めたいのなら、住民を絶対に被曝させない避難計画を立ててからの話だ!
それができないなら、
本当に住民の命と健康を大切にしようとするなら、
再稼働せず、廃炉にするしかありません!