【市民「核燃料サイクルは破たんしていますが、サイクルするんですか?まわるんですか?」
九電「計画は頓挫していません。九州電力としてプルサーマルをやっていきます、ということです。まわるとかまわらないとかではないです。やっていきますということです」!?】
11月21日、九州電力本店と8月27日以来となる交渉の場を持ちました。今回も九電の事業者としての無責任さをあぶりだすこととなりました。
前回「具体的には何も決まっていない」ことを明らかさせた「住民避難計画」への当事者としての関わりについてあらためて質しましたが、スクリーニング・除染後の放射性廃棄物の処理方法等についてまだ何も決まっていないことを確認しました。除染基準値がいくらかを問うと「今はわかりません」と。そもそも放射線管理区域から外に出るときの基準値はいくらかなのかを問うと、「即答できない」とシラを切りました。1時間あたり0.6マイクロシーベルトになっているはずです。「広報」担当の職員とはいえ、現場の労働者の命に関わることへの無関心さ・無責任さが露わになりました。
10月2日に緊急要請した火山問題については「噴火の予知はできないが、噴火の可能性が低い状態が維持されていることを確認するためにモニタリングを実施する」「巨大噴火は数十年前に検知できる。兆候を把握してから、燃料搬出のための輸送容器、輸送船を発注し、搬出先を確保する」などという矛盾した見解を繰り返すのみで、搬出計画が具体的には何もないことを確認しました。
電事連が「プルサーマル計画延期」を検討しているとの報道に関連して「高速増殖炉と再処理工場がうまくいかず、核燃料サイクル事業は破たんしている。それでもなぜプルサーマルを続けるのか」を問うと、「我々は計画が頓挫しているとは思っていない。我々は核燃料サイクルを変わらず続けていく。これは九州電力としての回答だ。電気事業者としても考えているし、国としても考えていることだ」と九電。「考えているかどうかの問題ではなく、事実、まわっているかどうかを確認しているのだ。サイクルするのですか?まわるのですか?」と質すと、「永遠にまわすとか言うことではなくて、やっていきますということです」「九州電力としてはプルサーマルをやっていきますという事です。まわるとかまわらないとかではないです」と、プルサーマルと核燃料サイクルにあくまで固執した、とんでもない回答でした。
その他に、原子炉建屋の下を流れる地下水をくみ上げている問題、全国の原発で一番多く放出しているトリチウムの問題等、多くの問題点を質問しましたが、私達も論点を整理して、次回以降の交渉につなげていくこととしています。
私達はこのような無責任な企業に、事故時はおろか、日頃の安全安心をどうしてまかせることができるでしょうか!
九州電力に対して、玄海・川内原発の再稼働を永久に凍結することを強く求め続けていきます。
提出した要請文
安全を保証しない玄海原発・川内原発再稼働の永久凍結を要請します
2014年11月21日
九州電力株式会社
代表取締役社長 瓜生 道明 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹
貴社は、2013年7月8日、政府・原子力規制委員会の新規制基準が施行されると、同日、川内原発1・2号機、7月12日玄海原発3・4号機の再稼働をするために原子炉設置変更許可申請書を規制委へ提出しました。川内を優先的に先んじて進めてきた規制委が、安全対策について「基準適合していると認められる」と合格判断を本年9月10日に決定、そして追いかけるように、11月7日、鹿児島県の伊藤知事は「諸般の事情を総合的に判断し、『止むを得ない』」と同意を表明しました。再稼働に反対・慎重の立場からの自治体や住民の意見を無視した知事の地元同意のあり方も問題でしたが、他にも規制基準審査自体にも多くの問題が山積されたままです。
よって、本日は、8月27日、10月2日の貴社に対する質問の回答を求める場に際し、以下に重ねてその理由を掲げ、再稼働は容認できない要請書をここに提出します。
1)鹿児島県や各自治体が策定した防災・避難計画について、過酷事故が発生した場合において、防災対策が十分な効果を発揮する見込みがきわめて乏しい。特に重大な欠陥は、要援護者(高齢者、入院患者、介護施設入所者等)の受入先と、避難の具体的手順の不備が多々あり、この計画は実行不可能な机上の空論と言え、被害者の人格権が保障されない可能性が高いこと。
2)福島原発事故の進行プロセスについての調査・検証がなされておらず、特に地震が配管等設備にどんな影響を及ぼしたか原因究明がなされないままでは、信頼性ある規制基準・防災対策・危機管理対策等を定めることはできないこと。
3)福島原発事故被害者への政府・電力会社の補償・支援がきわめて不十分である。その財源を確保するための法令も万全ではなく、住民の人格権は保障されていない事実があること。
4)現在の原子力新規制基準は、「立地審査指針」を除外してしまったことから住民の最大の被曝を防ぐことはできない。原子炉施設の周辺部分の安全対策を追加さえすれば再稼働の許可を得られるように策定された不十分なものであること。
5)直下の活断層の有無、基準地震動の妥当性、津波の最大波高の妥当性、火山噴火に対する評価の妥当性などが具体的審査になっておらず、火山噴火にともなう火砕流が原発敷地に進入するリスクを見逃していることから十分慎重に評価したとは言えないこと。
6)川内原発の敷地には豊富な地下水が流れている。過酷事故によって、福島第一原発と同じような汚染水流出が止まらない事態が起こりうる。しかし、新規制基準から外されており、対策は何も示されていないこと。玄海原発に対してもほぼ同様、この件について調査不十分であること。
7)「配管破断(冷却水喪失)と全交流電源喪失が同時に起こった場合」の対策について、貴社の回答は「炉心溶融と原子炉容器の破損は防げない」 というものであり、その後の落下溶融炉心とコンクリートとの反応、水蒸気爆発、水素爆発などの防止策も不確実な応急措置でしかないことが分かっている。過酷事故シナリオの中で格納容器の健全性が保証できないということは、放射性物質を大量に放出する可能性が非常に高いこととなり、住民の「人格権」としての環境権が守られないことになること。
以上の理由から川内原発は国の作った新規制基準適合性審査に合格したと云えども、再稼働など容認することはできません。
故に、現在、新規制基準適合性審査会合を繰り返している玄海原発3・4号機においても、避難計画の全くの不備など殆ど同様に当てはまることから、これは、大飯原発運転差止訴訟の福井地裁判決のとおり、生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害の恐れを感じることから、私たちは、ここに玄海原発・川内原発共に再稼働の永久凍結を強く要請します。
以上