【玄海MOX裁判、完全不当判決。しかし「負けた気がしない!」】
佐賀地方裁判所(波多江真史裁判長)は、科学技術問題にも立ち入って実質審理を熱心に行ってきました。人としての良心を見せてきたかのようでした。
しかし!
裁判長はこの日、主文「原告の訴えをいずれも棄却する」をわずか数秒で読み上げたあと、一目散に逃げ帰りました。なんら説明することもなく。
3.11福島原発事故の犠牲を踏みにじる、むごたらしい判決でした。
市民のかすかな希望を、ここまで見事に打ち砕くとは!
どこでどういう力が働いたのかは知る由もありませんが、裁判官は、実質審理を無視するかのように、最後的に原告の科学的な追及に立ち入らず、「九電が安全と言っているから安全」「MOXとウランは同等と九電が言っているから同等」と被告の言い分をそっくりそのまま採用したのです。安全神話の世界に逆戻りです。
核燃料サイクル維持という国策に、完全屈服したのです。権力者は、プルサーマルを断固推進するということなのです。
しかしながら、私たちはこの不当判決を受けても「負けた気がしない」のです。
法廷での科学論争において勝っていたからです。
ただし、政治力に負けた。
だから、私たちは、この国の政治も司法も、一部の権力者の手から完全に取り戻すまで、私たちは行動しつづけなければなりません。
命のことだから、私たちはあきらめない。
判決文のデタラメさは、私たちの怒りの火に油を注いてくれました。
今後徹底検証し、福岡高裁での控訴審に臨みます。
また、国交渉、九電交渉、県交渉、広報活動などもじゃんじゃんやっていきます。
ご覧ください、昨日の記者会見と報告集会の合い間に撮った、仲間たちの集合写真を。
この顔が「負けた」時の顔でしょうか?
裁判官よ、この私たちの顔を正視することができるか!
私たちは「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」に集う市民です。
命を第一にすることに誇りを持って、全世界の仲間と前へ進んでいきます。
まずは、2週間以内の控訴に向けて、1晩明けて翌21日から、ただちに作業に着手したところです。
25日には控訴に向けて、福岡にて報告集会を行います!
裁判補佐人の小山英之さん(美浜の会代表)にもかけつけていただきます。
★3月25日(水)18時半〜福岡市立中央市民センター第一会議室
みなさん、ぜひご参加ください!
不当判決に対する声明文
声明 玄海原発3号機MOX使用差止裁判
不当判決は許せない
「原発のない社会」の実現を決してあきらめない!
本日、佐賀地方裁判所は「玄海原発3号機MOX燃料使用差止請求事件」において、原告住民の訴えを棄却する判決を下した。
判決はMOX燃料とウラン燃料とで挙動に差異があることを認めなかった。
使用済MOXについて法規を順守しその保管場所及び処分方法を明確にすべきこと、超長期に渡るサイト内保管の問題を認めなかった。
4年半にわたった裁判の中で、ラウンドテーブル方式での9時間に及んだ弁論準備会合や5時間にわたる証人尋問の場が持たれ、科学的に突っ込んだやりとりがあったにもかかわらず、MOX燃料とウラン燃料の挙動の差異が存在することもギャップ再開の可能性も認められなかったことは到底納得できず、この不当判決を断じて許すことはできない。
高浜原発3・4号機に関して原子力規制委員会は「MOX独自の基準は必要ない」とする「考え方」を示したが、佐賀地裁の裁判官はこれに屈したのである。
危険な玄海3号機プルサーマルを止めるために、直ちに控訴して、引き続き闘い抜く決意である。
私たちは、国策である核燃料サイクルがうまくいかず、苦肉の策として始められたプルサーマルの危険性について引き続き追及し、再処理・核燃料サイクル政策に完全に終止符を打たせるべく行動していく。
東京電力福島原発事故の甚大な犠牲の教訓は、「原発事故は二度と起こしてはならない」ということ以外にない。
原発は動き続ける限り放射性廃棄物を増やし、それを未来の世代へと押し付ける。被曝労働者なくして維持できない施設でもある。子どもたちに夢を持てるような社会と、安心して暮らせる地球を渡さねばならない。
私たちは、3.11前から玄海原発3号機プルサーマルの危険性の上に、もしも地震など大災害が重なれば、佐賀全県民のみならず福岡県民500万人及び隣県民の命に取り返しのつかない被害が及ぶ事を想定し裁判を起こし闘ってきた。
今を生きる大人の責務として、裁判闘争を軸に運動の連帯を深め「原発のない社会」を実現することを、私たちは決してあきらめず、すすんでいく。
2015年3月20日
玄海原発3号機MOX燃料使用差止訴訟原告団
団長 石丸初美