5月22日、山口祥義・佐賀県知事に対して「
2月25日に行った避難計画を中心とした質問に対して、
そこで、今回はまず、「甚大な犠牲を国民に与えた福島原発事故から4年経っても誰一人責任を取らない国を信じるに足りない。国がどうあろうと県民の命を守るんだという確固たる意志を示してほしい」と知事の責任を追及しました。
2点目として、4月に国が行った「原子力災害対策指針」
3点目として、
最後に、避難計画全体にかかわる認識として「500μSv/
佐賀県からは「消防防災課」「新エネルギー課」「
「回答は文書でしか答えない。今日は話を伺うだけ」
(なにせ、古川前知事時代に「玄関ロビーで立ったまま、
ただ、これは、
これまでの質問・回答のやりとりを踏まえながら、
しかし、やはり文書回答だけでは、
規制委員会が玄海原発「審査書」を出すのも時間の問題。
市民が自ら学び、行動する。自治体を動かす。
すべては、私達の想いと行動にかかっています。
知事からの回答を待っている間、再度、
時間の都合のつく時に、一緒に学んで、一緒に動きませんか?
◆ニュース
◆質問・要請文
玄海原発避難計画と再稼働に関する質問・要請
県民の命を守るのが知事の責任 再稼働を認めないでください
佐賀県知事 山口祥義 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
共同世話人 野中宏樹
2 月 25 日付の私達の質問・要請に対して 4 月 9 日付で知事より回答をいただきました。 山口知事からの初めての文書回答でしたが、質問に対して無回答だったり、国の方針の説明だけだったり、「国の考えを聞いてから」などと消極的姿勢だったり、県民の命を預かる知事としての主体的な責任をおよそ感じられない回答ばかりで、非常に残念に思います。
一方、伊万里市が原発事故時の避難所について不適切なものがあったとして全182地区のうち181地 区で見直しをしました。私達も避難計画について調査を行い、自治体に対する要請等を行ってきましたが、 このたびの全面的な見直しは、行政が住民の不安や指摘などをふまえ、住民の安全を第一に考えての措置であり、歓迎します。それまでの計画が、いかに机上の空論であったかが明らかになったともいえます。
しかしながら、災害危険区域に避難施設がある問題を含めて、避難計画にはまだまだ問題が山積しており、現状では実効性がなく、県民の命を守れないこともますます明らかになってきました。
東京電力福島第一原発事故では住民が放射能被曝を強いられ、また、避難途中で多くの方が命を亡くしました。事故発生から 4 年 2 か月経った今もなお収束せず、10 数万人もの人々が故郷に帰れないままです。誰も責任をとらない、原因も究明されない、放射能は垂れ流しされ続ける。その上に、「安全を保証しない」緩やかすぎる規制基準、こうした中での原発再稼働など絶対許されるわけがありません。
私達は、命と生活、子ども達の未来を守るために、命が傷つけられ、ふるさとを奪われる危険性がある原発の再稼働を認めません。
以下、質問と要請をいたします。
【要請事項】
佐賀県民 83 万人の命を預かる知事として、県民の命に責任を持ち、県民の命を守れない避難計画のもとでは、玄海原発の再稼働を絶対に認めないでください。
【質問事項】
【1】県民の命を預かる知事の責任について
知事は「県としての考え方の基本は『県民の安全を第一に考える』ということ」と回答されました。佐賀県民の安全の根幹に「命」があると私達は思います。
(1)知事は、原発の問題は命の問題であるという認識をされていますか。県民の命を守るという責任をどう 感じていますか。
(2)国・原子力規制委員会は規制委員長自らが「安全とは申し上げない」と発言しました。そのような規制 委員会の審査に通ったからといって、「県民の安全を確保できた」となぜ言えますか。
(3)地元同意や説明会等の質問に対して、すべて「国の考えを聞いてから考える」と回答されていますが、 なぜ県独自の姿勢を示さないのですか。 あの甚大な犠牲を国民に与えたにもかかわらず、福島原発事故から4年も経ても誰一人責任を取らない国を信じるに足りないのです。『県民の安全を第一に考える』のであれば、国がどうあろうと、知事として県民の命を守るんだという確固たる意志をお示しください。
(4)私達は原発を動かさないでくださいと言い続けてきました。原発事故が起きて、被曝を強いられた時に、 知事は私達に対して具体的にどのような責任をとるつもりでしょうか。
【2】原子力災害対策指針改訂版について
原子力規制委員会は、4月22日、原子力災害対策指針を改定しました。改定版は、30 キロ圏外のプルーム対策を実施する地域(PPA)の概念を削除する等、大きな問題があり、これでは住民の安全を守ることはできません。
(1)改定版では、PPAの概念自体を削除しました。30㎞圏外においては特別な予防的措置は必要ないとし、基本的に「屋内退避」だけに限定しています。 昨年 12 月 26 日付の知事回答で「30キロ圏外においても、国の指針を踏まえ・・・30 キロ圏内と同様に避 難等の防護措置を実施する」とされたことと反しませんか。PPAの予防的措置なしでは県民の安全は守れないのではありませんか。屋内退避の開始と解除は具体的にどのような基準で判断するのですか。
(2)規制委の資料では 30 ㎞圏外では「安定ヨウ素剤の準備は不要」とまで書いています。知事は「国の指 針の中では、30 キロ圏外でも安定ヨウ素剤の服用などの防護措置が必要となる場合があるとされている」と 回答されていますが、なぜ不要になったのですか。そもそも、短時間で服用しなければ効果のないヨウ素剤を、放射能放出のどの時点でどのような指示・判断で服用させることとしていますか。
(3)30㎞圏外では、妊婦・乳幼児・子ども達への特別な防護措置も示されていません。特別な措置が必要ではないですか。
(4)これまでの指針では、一時移転の基準としてOIL2で、20μSv/h が計測されれば1週間以内に一時移転(避難)することになっていました。しかし、指針改定版では、翌日に再度この基準値を超えなければ避難の判断はしないこととされました。わざわざ1日屋内退避で我慢を強いて被曝の危険を高めるのですか。 20μSv/h 以下は被曝と考えないのですか。プルームが通過すれば空間線量率が低下するという前提の ようですが、雨雪で地面に沈着したセシウム等の放射能は測定しないのですか。
(5)SPEEDI等の予測的手法は使わず、実測モニタリングで避難等を指示するとなっています。これでは、 被曝しながらの避難となってしまいます。実測モニタリングで十分だと考えますか。SPEEDI等も活用すべきではないですか。 実測はどこで、どのように行うのですか。県内の測定場所や数を具体的にお答えください。
(6)県民の命に関わるこれらの重大な改定について、国に対して、県内市町や住民への説明を求めるべきではないですか。
【3】避難計画に関する知事回答への再質問
(1)危険区域にある避難所について
避難先市町と避難元市町は、私達の質問に対して「避難施設が危険区域にある」と、数まで示して具体的な事実を回答しています。それに対して、知事が「法令に即しているから、危険区域にあるとは考えていない」ということは、事実に反しています。
①「想定される原子力災害による影響が比較的少ない場所」とありますが、「比較的に少ない」とは具体的にどういうことですか。また複合災害を想定しないのでしょうか。住民が納得いくように説明してください。
②「自然災害が発生した場合に」起きてから「確保する」というのは、どの時点で、誰がどこに確保して、ただちに避難しなければいけない住民にどのように伝えるのですか。 ③現に市町からの不安や心配の声も出ています。避難所運営の見直し等の協議の際に「危険区域」の問題を「別に」せず、協議の上、見直しをすべきではないでしょうか。
(2)スクリーニング訓練について
私達は実際に行われた避難訓練を見学した上で、具体的な質問をしていますが、何も答えていただいていません。まず前回の質問に 1 つ 1 つお答えください。
<前回の質問>(再掲)
①スクリーニング訓練に参加する避難車両は 21 台だけでしたが、それでも順番待ちの行列ができました。 最悪の想定では、何台何人がここに来て、すべての作業が終わるのにどのくらいの時間がかかりますか。
②車両の除染訓練はなされませんでしたが、「国の指針で方法が決まっていないから」と現場の方は言われました。いつ決まるのですか。その際、訓練はしないのですか。スクリーニングと除染はセットで行なわなければ、スクリーニングポイントを設置する意味がないのではないですか。
③除染が必要とされる基準値がβ線で 40000cpm とのことです。これは 120Bq/cm2 に相当しますが、これは法令で定められている「放射線管理区域からの物の持ち出し基準」4Bq/cm2 の 30 倍にもなります。たとえば 29 倍の値を示しても、「汚染なし」と判断されて、除染もせずに通過させることになります。放射能汚染 を拡大することになりませんか。
④「除染の際に出る放射能汚染廃棄物の処理はどうするのか」との質問に県は「事業者九州電力の責任で処理してもらう」と回答されましたが、「具体的にどう処理するのか」と尋ねても「九州電力が検討中」とだけでした。いつまでに検討するのですか。事故が起きてからですか。 九州電力にもスクリーニング訓練の場にいてもらい、処理訓練もする必要があるのではないですか。 3.11 後、放射能に汚染されたゴルフ場が裁判に訴えても「原発から飛散した放射性物質は『無主物』 であり、東京電力の所有物ではない」とされたことがありました。これが九電だったらどのように思われますか。また、放射能が目には見えず無味無臭であることをいいことに無責任な飛散を許すのは、住民を安全安心から守れないのではないでしょうか。
⑤スクリーニングはすべての避難住民に必要です。なのに、なぜスクリーニング訓練は 1 か所だけしかやら ないのですか。避難訓練は UPZ 内のごく一部の住民が対象ですが、せめて、すべての訓練参加住民がスクリーニング訓練も行うべきではないでしょうか。
<新たな質問>
スクリーニングと除染の方法について、「国から近日中にマニュアルが示される」と回答されました。 原子力規制委員会のホームページで確認したところ、5 月 15 日に開催された「第 2 回原子力災害時の医療体制の在り方に関する検討チーム」において、「原子力災害時に避難する住民等のために地方公共 団体が行う汚染検査・除染について(2014年6 月9 日)」を廃止し、「原子力災害時における避難退域時検 査及び簡易除染マニュアル」を新マニュアルとして扱うこととしたようです。
⑥新マニュアルでの変更点を具体的に教えてください。 ⑦検査対象を「避難等の指示を受けた住民」として、「その他の住民を区別」しています。区別が困難な場 合のみ「その他の住民」も「避難指示を受けた住民」としてみなして対象とするとしています。また、「放射性物質が放出される前に予防的に避難した住民は含みません」としています。
以下の方はスクリーニングを受けさせないということですか。
・30 キロ圏内で、「避難指示」対象地域外の住民で自主避難した方
・30 キロ圏内で、実測値で放射線量率 499μSv/h 以下が計測されて、1 日待たずに避難した方
・5 キロ圏内の住民
この住民らが、放射能による健康被害を受けないと言えますか。
⑧今回のスクリーニング訓練の検証結果を教えてください。
⑨県民の命を守る立場として、国からの指示待ちという消極的姿勢でなく、今回の現場での検証結果を県から率先して国に示し、意見を国に出すことはしないのですか。
(3)避難計画全体にかかわる認識について
ここでも具体的な質問に対して、国の一般的な指針の説明だけで、具体的な回答をいただいていません。飯舘村の住民は、そもそも誤った指示・判断のために被曝を強いられたというのが事実です。知事の回答は、その誤った指示を正当化する回答であり、前知事と同じく、住民を「放射能被曝」から守る、命を守るという姿勢がまったく感じられません。
① 500 μSv/h や 20 μSv/h というのは日常生活ではありえない高い放射線の数値です(平常時約 0.05μ Sv/h の 1 万倍と 400 倍)。緊急時だからといって、私達はこのことを容認していません。福島の現実を見ればわかるように佐賀県民へ被曝を強要することになります。住民に対して納得のいく説明をしてください。
②知事の言われる「福島における原子力災害の教訓」とは何でしょうか。