【8月27日の佐賀新聞に仲間の投稿が掲載されました!】

=私の主張= 福島から何を学んだのか

佐賀市 江口美知子 65歳  


 川内原発再稼働。福島第1原発事故後、新規制基準の下で初めての原発が起動された。日本はまた、安全神話の下で原発を動かすのか。福島から何を学んだのだろう。

 川内原発再稼働で不安なのは「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合している」(安倍首相)と言うが、規制基準を審査した田中委員長は「安全とは言わない」と公言している。原子力規制委員会には原発を止める権限はあるが、稼働・再稼働を命じる権限は法的に与えられていない。経済産業省はどうかというと、「事業者が許可を得て最終判断をし、再稼働に至る。政治的判断の余地はない」と政権の関与を明言していない。誰が責任を持つのか。

 では、新規制基準は本当に世界一厳しい基準で、川内原発は本当に適合したのか。福島でも「これがなかったらと思うとぞっとする」と東電の清水元社長に言わしめた免震重要棟やフィルター付きベント設備は未設置のままの許可である。川内原発の場合、巨大噴火についても「稼働中に起こる可能性は十分に低い」と危険性に目をつぶった。国には安全神話がまだ脈々と生きている。さらに、一民間企業のために住民が自分たちの税金を使って避難計画を作り、逃げなければいけない。それも、2、3日の避難ならいざ知らず、原子力災害の場合はそのまま家に帰ることもできなくなる。避難は始まりであり、避難すればすべてが解決にはならないところに原子力災害の恐ろしさがあるのに。

 原発を再稼働するデメリットは言うまでもなく、人類が制御できない放射能被害である。自動車や飛行機などと違い、いったん事故が起こると地域、世代をも超えた被害が広がる。メリットは電力供給と経済らしい。「電力会社の安定経営に原発は不可欠」という。しかし、国民の節電やエネルギーの代替が進み、原発停止でも電気は足りていた。

それでも、住民に家を捨てる覚悟を強いる権利があるのだろうか。