九州電力、川内・玄海原発の免震重要棟建設計画を放棄。(免震機能のない)耐震支援棟を「早くつくりたい」と連発!
玄海原発の免震棟についても、予算も仕様も具体的には何も決まっていなかったことが明らかに!!
1月20日、私達は「免震重要棟建設放棄で再稼働の前提条件が崩れた。川内原発の稼働中止と、玄海原発の再稼働中止を求めます。」として、九電本店に要請質問書を提出。免震棟問題に時間を費やし、交渉を行いました。
また翌21日には、全国の市民団体の政府(原子力規制庁)交渉にて、更に酷い発言が飛び出しました。
以下、まずは九電交渉の概要を報告します。
(1)「免震と耐震は違うものだが、原発は一般の建物と違って厳しい規制要求事項があり、基準地震動に耐えられるものでなければならない。免震機能のない現在の緊急時対策所でも規制要求に応える機能はあるが、(免震棟建設撤回の)計画変更は、あくまで更なる安全性向上の観点から、免震棟と『同等』の機能をもつ耐震支援棟をつくって対処するということ。早期に緊急時対策所の運用を開始したいことから変更に至ったのだ。免震が優れていて耐震が劣るということではなく、耐震は技術的に経験があるので早くつくれる。」という自分勝手な九電の主張からは、住民の命に対しての『責任』などは微塵も感じられませんでした。
(2)「川内審査資料に免震構造のメリット・デメリットが詳細に書かれている。免震棟完成をもって、緊急時対策所は廃止するとまで赤字で書いているが、そう書いてあるのは認めるか」とこちらが問うと、九電は「そのとおりです」と言いながら、同じ見解を繰り返しました。
(3)玄海原発の場合も免震棟については「2015年度内に建設予定」とされていたにも関わらず、今年に入り「白紙、再検討」を表明。その設計・工事はどこまで進み、コスト・予算はいくらだったかを問いました。
九電は「予算は決まっていなかった。お金のことを言われるのは『安い方を考えたのだろう』と言いたいのだろうが、そもそも仕様も決まっていなかった」と平然と言ってのけました。
仕様も予算も具体的には何もなかったことが明らかになりましたが、そもそも、最初からつくる気などなかったのではないでしょうか。
以下は主なやりとり詳細です。
●免震と耐震はあくまで「同等」だと言い張る九電
九電は「免震と耐震とで違うのは確かだが、原発は一般の建物とは違う。規制要求は緊急時対策所をつくるということで厳しい要求事項があり、基準地震動に耐えられるものでなければならない。その為、他の原発でも審査を通れていない。(免震棟建設撤回の)計画変更は、さらなる安全性向上の観点から、免震棟と同等の機能をもつ耐震支援棟をつくって対処するということだ。免震、耐震どちらも基準地震動に耐えられるのであれば、構わない(問題ない)。免震が優れていて耐震が劣るということではなく、同じ機能で早期に緊急時対策所の運用を開始したいということだ。」と言い張りました。
私達が免震と耐震の違いが分かる映像を見せながら「『同等』というが、玄海の審査書にも「免震機能」のある免震重要棟と、免震機能のない代替緊急時対策所について、九電自身が区別して書いているではないか」と問うと、
九電は「免震棟は緊急時対策所だけではなく、サポート機能を付けたものも一体として免震機能をつくるものしていた。しかし免震構造の評価の問題だとか、緊急時対策所のサポート機能を早くつくりたいということで、新しくサポート機能だけを独立させてそれをつくるということになった。それは、免震棟と『同等』ということで考えている。耐震は技術的に経験があるので早くつくれる」
●審査資料に明記しておきながら、具体的には
私達「川内審査資料にメリット、デメリットが詳細に書かれている。免震棟完成をもって、緊対所は廃止するとまで赤字で書いているが、そう書いてあるのは認めるか?」
九電「そのとおりです。」
私達「そこまで書いておきながら、『同等』だというのですか。明らかに違うでしょう!」
その後も九電は同じことの繰り返しに終始。中でも、「早く」「早く」という言葉を連発しました。
●(免震機能のない)耐震支援棟を「早くつくりたい」と連発。
私達「『早く、早く』というが、『早く』よりも『安全』が大事だ。免震棟のメリットも、九電資料でよくわかった。機能も揃っている。これをつくればいいではないか。再稼働をいったん止めて、時間をかけてつくればいいではないか」
九電「耐震支援棟つくることで安全性が高まる。支援棟なら早くできるからだ」と、堂々めぐりの発言。加えて「勘違いされているとようだが。今、危ないということじゃない。今、耐震機能はすでにあるけれども、あくまで安全性をさらに高めたほうがいいという観点からの対処である。」
●狭くても「十分なスペース」だという、最悪の想定を無視した九電の言い分
私達「代替緊対所では170㎡、免震棟は600㎡。スペースも十分でない。作業員の安全をどう守るのか?」
九電「十分なスペースがある」
私達「100名が170㎡にどうやって入るというのか?」
九電「いつも100名いるわけじゃない。プルームが通過する時に待避する時等ぐらいだから問題ない」
●「建設予定」としながら、仕様も予算も具体的には何もなし!
私達「玄海についても、去年8月時点で「27年度内に完成予定」と審査資料に明記し、マスコミや市民にもそう説明していたが、実際、工事計画はどこまで進んでいたのか、またコストや仕様は決まっていたのか?」
九電「基本的に経営にかかるような設備投資、安全対策ということなので、そこのところをどうするかを検討していた」
私達「つまりお金のことなんですね。」
九電「いやいや、そんなこと一言もいってません。安全対策ということですし、お金のことを言われるのは『安い方を考えたのだろう』と言いたいのだろうが、仕様も決まっていなかった」
私達「いくらでつくる予定だったのか?」
九電「それは仕様も決まっていませんので」
私達「川内再稼働時に予算も決まっていなかったのか?」
九電「そうです。決まっていませんでした」
私達「まったくつくる気がなかったということなのか!」
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安全よりも再稼働。約束破ってでも再稼働。とにかく早くに「再稼働」。
九電は「早くつくりたい」という言葉を何度も繰り返していました。「早く再稼働させたい」という本心をもはや隠すこともなく平然と言ってのけるところに、この企業の腐敗ぶりを見せつけられます。
再稼働を前にして尚、住民の命の安全を軽視し未来の世代への責任を放棄するような会社に、私たちの命をゆだねることはできません!