【免震重要棟を約束通り建設を!佐賀県知事・議長へ要請】

九州電力に対して川内原発と玄海原発の免震重要棟を約束どおり建設させるよう求めて、2月9日、山口祥義・佐賀県知事と中倉政義・佐賀県議会議長に対して要請をしてきました。

今回の私たちのアクションは、知事と県の姿勢を後押ししたいと思っての要請でした。それは--
・1月20日の記者会見で山口知事は「信頼関係の問題だ。やるといったものはやるべき」(記者会見)と九電を批判
・佐賀県は2013年に新築移転した「佐賀県医療センター好生館」において、基幹災害拠点病院としての機能を充実させるために免震構造を採用。「耐震では破損・転倒・落下しても、免震ならOK」とそのメリットをうたっていました。
--ということがあったからです。佐賀県民の命を第一とするこうした姿勢はすばらしいことです。

まず、要請書を読み上げました。
「1.知事は、九州電力に対して、約束通り、原発敷地内における免震重要棟建設を実施するよう要求して下さい。
 2.知事は、国・原子力規制委員会に対して、再稼働の前提条件が崩れたにもかかわらず川内原発の稼働を止めさせない理由を明らかにするよう求めてください。」
国は許可の前提が崩れた川内原発の稼働を中止させるべきです。出し直して通るなら、後から『できない』と言えば良いという悪しき前例をつくってしまうことになり、それは許されることではありません。知事は県民の命を守る立場から国や九電に対してものを言ってほしい、と強く要望しました。

対応した県原子力安全対策課の職員は「これは要請ですか?回答せよとはどういうことですか?」などと言い、しょっぱなから一悶着。
そして、こちらからポイントの説明。まず、共通の認識を持ちたいと思い、免震と耐震の違いがでひとめでわかる映像(たった14秒)も見せようとすると、「ちょっとそれは待ってください」などと拒否する態度をしました。要請に関連した資料の一部だと訴え、なんとかその場で見てもらい、知事用にとDVDを渡しました。
次に、柏崎刈羽や福島原発の写真、九電資料、「好生館」資料などを説明しました。免震のメリットが詳細に記載されている九電自身が作成した申請説明資料に基づいて話そうとすると、担当者は「それは川内の話ですよね」と、関係ないかのような言いぶり。
そのうえ「免震でなくても耐震で十分、基準を満たす」など、九電と同じ説明を繰り返しました。
「あなたは九電社員ですか!」と仲間の声。
免震構造の県立病院をつくった佐賀県だからこそ言えることがあるだろうに、それをさておいて、相変わらず九電の“虜”になっているようでした。
最後に、「要請を知事に伝え、対応を回答する」ことだけは約束させました。

この後、県議会議長あてにも「県議会は、原子力安全対策等特別委員会などにおいて、九州電力の免震重要棟建設計画撤回の経過を糺し、県民の安全を守るための議論を深め、九州電力に対して、約束通り原発敷地内における免震重要棟建設を実施するよう要求して下さい。」とする要請書を提出しました(事務局が対応)。

免震重要棟は放射能被害の拡大を防ぐための、命の安全に関わる重要な施設であり、今回の事態は住民や自治体と九電との信頼関係が崩されるような問題でもあります。各地の自治体・議会からも声があがるように、市民が動いていくしかありません。そして、メディアにも報道してもらい、世論をつくっていきましょう!


要 請 書 

九州電力に約束通りに免震重要棟を建設する事を要求して下さい

2016年2月9日
佐賀県知事 山口祥義 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
共同世話人 野中宏樹

 九州電力は昨年12月17日、川内原発の「免震重要棟」建設を放棄することを明らかにしました。さらに、これまで佐賀県議会において「2015年度中に建設する」と説明してきた玄海原発の免震棟建設についても、「再検討」することを本年1月7日の玄海町議会で表明し、同12日には瓜生道明社長自ら「白紙」だと佐賀県庁にて表明しました。これは住民及び、住民の代表者たる県議会を欺き愚弄する約束違反の許されない行為です。

 福島事故当時の清水正孝東京電力社長は12年6月の国会事故調査委員会の聴取において、「あれ(免震重要棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と証言しました。福島の事故の教訓を真摯に学ぼうとすれば、万が一の事故の時には、当然原発敷地内になくてはならない最重要施設です。
 この九州電力による住民の命を軽視する行為に対して、山口祥義佐賀県知事が1月20日の定例記者会見で「やるといったものはやるべき」と言われたのは、私たち県民の立場に立った当然の反応であると理解いたします。また、田中俊一原子力規制委員会委員長は1月6日の記者会見で「設置を前提として再稼働の許可を得ている。基本的に(約束を)守ってもらわないといけない」と述べています。
 私たちは、1月20日に九州電力本店において交渉を行いましたが、九電は「免震重要棟」ではなく、耐震構造の「代替緊急時対策所」及び、新しく建設する、同じく耐震構造の支援施設を作れば十分対応は出来ると回答しました。当初の川内原発審査申請書に免震構造のメリットを詳細に記載するなど、耐震と免震の性能の違いを九電は明確に認識していながら、建設放棄の理由を「免震は実績がないが、耐震は実績があるので、早くつくれるから」「経営上の判断」などと述べました。九電は堂々と、命を守ることよりもお金のほうが大事だと開き直ったのです。
 佐賀県は2013年に新築移転した「佐賀県医療センター好生館」において、基幹災害拠点病院としての機能を充実させるために免震構造を採用しています。「耐震では破損・転倒・落下しても、免震ならOK」とそのメリットをうたっています。これは人の命を何よりも最優先に考え、巨大な災害にも耐え、その後の速やかな災害救援活動にあたるための万全の備えが施された、建設に関わられた各位の努力が窺われるものです。それゆえ、私たち住民は安心と信頼を深めております。
 この「好生館」の事例に鑑みる時、今回の九電の対応は経営を優先させ、住民の命を第一とするために万全の備えをなすという発想に乏しいことが明白です。
よって私たちは、知事が県民の安心、安全を最優先するために、九電に対して免震重要棟建設が最重要施設であり、譲ることが出来ない約束である事を断固とした姿勢で要求していただきたくここに要請いたします。
 また、原子力規制委員会は、九電に対して、変更申請を再提出させるだけでなく、許可の前提が崩れたわけですので、川内原発の稼働を中止させるべきです。出し直して通るなら、後から「できない」と言えばいいという悪しき前例をつくってはなりません。玄海原発でも同様のことが起きた場合に、稼働は止めずに書類を出すだけで通ってしまうことを私たちは危惧しています。
 私たちは規制委・規制庁の出先機関である玄海原子力規制事務所に直接要請しようとしましたが、要請文の受け取りを拒否されました。規制委は「国内外の多様な意見に耳を傾ける」のが使命と謳いながら、住民に寄り添っていないのが実態です。
 以下、要請いたします。

 要請事項 
1.知事は、九州電力に対して、約束通り、原発敷地内における免震重要棟建設を実施するよう要求して下さい。
2.知事は、国・原子力規制委員会に対して、再稼働の前提条件が崩れたにもかかわらず川内原発の稼働を止めさせない理由を明らかにするよう求めてください。


※前回、10月9日に佐賀県に対する質問要請書の提出を行っていましたが、その文書回答が私達の手元に郵送されてきたのが4か月経った2月5日。日付は2月2日付となっていました。
2日午前に今回の件でアポ取りの電話した時に「回答がまだ来ていないが」と糺したので、慌てて回答をまとめたのだろうと推測します。
(4か月の間、こちらから何度も催促をしてきましたが、この有様です。)
「回答期間が4か月は非常識」「話し合いの場を求める」ということも前回質問書に記載していましたが、それについては言及なしでした。本日の要請行動の際に、再再度、話し合いの場を求めました。

2月2日付回答書を下記にアップしました。この回答に対しての反論、コメントは後日行います。
http://saga-genkai.jimdo.com/質問-要請書-発行物


ダウンロード
2016年2月9日 佐賀県知事宛 免震重要棟に関する要請書
【九州電力に約束通りに免震重要棟を建設する事を要求して下さい】
要請事項:
1.知事は、九州電力に対して、約束通り、原発敷地内における免震重要棟建設を実施するよう要求して下さい。
2.知事は、国・原子力規制委員会に対して、再稼働の前提条件が崩れたにもかかわらず川内原発の稼働を止めさせない理由を明らかにするよう求めてください。
20160209知事免震要請★.pdf
PDFファイル 126.3 KB
ダウンロード
2016年2月9日 佐賀県議長宛 免震重要棟に関する要請書
【九州電力に約束通りに免震重要棟を建設する事を要求して下さい】
要請事項:
県議会は、原子力安全対策等特別委員会などにおいて、九州電力の免震重要棟建設計画撤回の経過を糺し、県民の安全を守るための議論を深め、九州電力に対して、約束通り原発敷地内における免震重要棟建設を実施するよう要求して下さい。
20160209県議長免震要請★.pdf
PDFファイル 127.2 KB

報道

佐賀新聞


朝日新聞

NEW!! 

朝日新聞は、「2013年新設の佐賀県立病院が県内初の免震構造」であること、また前回10月の質問が4か月も後に回答されたこと、話し合いを求めたことについても報じてくれました。
朝日新聞は、「2013年新設の佐賀県立病院が県内初の免震構造」であること、また前回10月の質問が4か月も後に回答されたこと、話し合いを求めたことについても報じてくれました。

サガテレビ


動画

「九電は免震重要棟建設の約束を守れ!」知事要請行動の一場面です。
佐賀県原子力安全対策課(画面右)の「九州電力佐賀県庁支店」であるかのような酷い説明に対して、3:10あたりから、石丸初美代表が市民の声をストレートに、佐賀弁を交えて、バシッと伝えました。