3月25日に九州電力が川内原発の免震重要棟建設計画の撤回をあらためて表明・申請したことに対して、本日3月31日、九電本店に行き「地域住民や自治体との約束を破るものであり、暴挙だ。再稼働の中止を!」と抗議の要請をしてきました。
九電は「免震構造をつくろうとすると試験などであと2年かかる。耐震施設なら2年早くつくれるから」などと、安全性を無視してまで「早く動かしたい」んだということを平然と言ってのけ、初っ端から私たちは怒り心頭でした。
私達「安全を最優先するのなら、せめて免震機能の施設ができるまで2年でも3年でも待って、安全が確保されてから動かすのが筋だ」
九電「ですから、免震と同じ機能を確保して、今、国に申請している。これから審査の中で説明させていただいて...」
私達「事故起こせば、一方的に被害を受けるのは私たち住民だ。なぜ私たちの安全を最優先しないのだ。説明もしないのだ」「林田原子力管理部長は『早くつくることが安心につながる』と会見で言ったが、誰が“安心”していているというのか!」「当初、免震のメリットも九電としてしっかり認識していたではないか。ウソを言わないでほしい!」...
九電は同じような言い訳を繰り返すのみでした。
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なお、要請行動の際にはいつも30分前に九電本店ロビーに集合していますが、今回のアポ取りの電話で「早くに来られても他のお客様の迷惑になるから15分前より早い時間に来ないでほしい」と言われました。いつも同席するメンバーは10数人です。ロビーにも充分座れるし、別に集会をやるわけでもありません。にもかかわらず、このような高圧的な態度を示したことについても「遠いところから早めに来ることもいけないのか。時間が限られているから早めに来ているのではないか。そもそも、私達も消費者であり同じ『お客様』ではないのか。自分達の生活や命がかかっている、用事があるから来ているのだ。制限するのはおかしい」と抗議しました。
九電は「15分前制限」をやめるとは言いませんでしたが、「こちらの言うとおりにしないと、交渉に応じないぞ」という九電の姿勢を私達は引き続き糺していきたいと思います。
(九電とも佐賀県とも、いつもアポとりの電話だけで、彼らの高圧的な態度に頭に血がのぼってくるのが実際です。怒りは直接対話の時にとっておきたいんですけどネ)
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今日は2015年度の最終日。本来であれば川内も玄海も免震重要棟は今日までには完成していなければいけなかったはずです。
そもそも、再稼働の前には当然完成してなければならなかったはずですが、それも猶予されていたことがおかしいのです。挙句に「つくらない」。
3.11の犠牲と教訓を踏みにじるのもいい加減にしてほしい。
今日は、私達の抗議の意を示すべく、緊急に行動をおこしました。
今後も事あるごとに声をあげ、再稼働をじりじりと遅らせ、その間に世論をつくり、力を大きくしていき、必ずや原発のない社会を実現していきましょう!
要 請 書
川内原発と玄海原発の免震重要棟建設撤回は許されない
3.11の犠牲と教訓を学び、再稼働の中止を求めます
2016年3月31日
九州電力(株)代表取締役社長 瓜生道明 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
共同世話人 野中宏樹
3月25日、貴社は川内原発の重大事故時の拠点施設について、免震重要棟建設計画の撤回方針を維持し、耐震構造の「緊急時対策棟」を設ける計画を原子力規制委員会に再提出しました。
免震重要棟の建設撤回は地域住民や自治体との約束を破るものであり、撤回方針表明後に湧き上った不信の声を再度無視する暴挙であり、抗議します。
九州電力は、地震力の揺れそのものを建物に伝えにくくする免震構造のメリットや耐震性能との違いについて川内原発審査申請資料<川内原子力発電所1号炉及び2号炉重大事故等対処施設のうち緊急時対策所(免震重要棟内)の耐震設計の基本方針(平成26年6月17日)>等に九電自身が記載しているとおり、明確に認識していました。
にもかかわらず、今回、九州電力は「免震構造の原子力施設はつくった経験がないが、耐震構造なら実績があり、2年程度早くつくれる」ことを理由として示しました。安全を最優先するのなら、免震機能の施設ができるまで2年でも3年でも待って、安全が確保されてから動かすのが筋ではないでしょうか。「早く再稼働」させるために、安全性を捨ててまで、利益追求にひた走っているとしか思えません。
そもそも免震重要棟は、2007年の中越沖地震の際に柏崎刈羽原発の緊急時対策室のドアが壊れ、ホットラインがつながらなかった等の教訓の上に、福島第一原発においても事故の8ヵ月前につくられました。
清水正孝東京電力社長(当時)が国会事故調査委員会の聴取において、「あれ(免震重要棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と証言するほどに重要な役割を果たした施設なのです。
だからこそ、田中俊一原子力規制委員会委員長が「設置を前提として再稼働の許可を得ている」(1月6日記者会見)と発言したように、再稼働の前提条件となっているのです。
山口祥義佐賀県知事が1月20日の定例記者会見で「やるといったものはやるべき」と発言したのも当然のことです。
3.11から丸5年。福島では今なお事故収束の目途さえ立たず、10万人もの方がふるさとに帰れないでいます。そうした中で規制委員長自らが「安全とは申し上げない」と言う緩い規制基準と、被ばくを前提とした机上の避難計画の下、再稼働が強行されています。
私たちは、ふるさとを絶対に奪われたくありません。玄海原発と川内原発で事故を起こしてもらっては困るのです。
福島では、それでも免震重要棟があったからこそ、辛うじて現状にとどまっています。九州電力は福島の犠牲と教訓を学び、住民の健康や安全を最優先にして、事故収束のための最大限の企業努力を惜しまずするべきです。このたびの撤回表明は、断じて許されません。
以下、強く要請します。
【要請事項】
川内原発と玄海原発について、再稼働の前提条件となっている免震重要棟の建設撤回は許されません。ただちに、再稼働を中止するよう求めます。