【提訴6周年活動報告会】

2010年8月9日、原告130人で九州電力を相手に玄海原発3号機MOX燃料使用差止を提訴してから6年を迎えます。
3.11をはさみ、私達は4つの裁判を、MOX控訴人98人、仮処分債権者90人、全基原告176人、行政訴訟原告382人の合計746人の原告と、支える会・サポート会員871人の合わせて1617人の仲間で闘ってきました。
原告、支援者のみなさんに対する活動報告の場として、本年も7月2日に「提訴6周年・年次活動報告会」を福岡市ふくふくプラザにて開催しました。

◆開会にあたり石丸初美代表は 「2006年2月、古川康前佐賀県知事がプルサーマル安全宣言をした時から、市民が新たに立ち上がり、県民投票や様々な運動をやってきた。 とうとうプルサーマルが始まったことで裁判を起こすことになったが、私たちは生活を守る運動、子育ての延長という気持でやっている。 2010年8月9日からはじまったMOX裁判は、先日6月27日に福岡高裁で不当判決が下された。 3.11福島原発事故の犠牲を無視し、国策に追随した高裁の姿勢を絶対に許すことはできない。 プルサーマルの危険性は終っていないし、命のことだから、私達はあきらめない。 支援者の皆様、弁護団の皆様、裁判補佐人の小山さんの大きな後押しがあって、今日まで歩んで来ることができたことに、心より感謝申し上げるとともに、これからも、皆さんの力なしには前に進むことはできません。ご支援をどうぞよろしくお願いします。」 と挨拶しました。

◆次に、事務局から、MOX控訴審をはじめとするこの1年の裁判と法廷外の運動について、スライドで駆け足で報告しました。 「一人ひとりに伝えていくこと」を基本にして、めいっぱい動いた1年でした。
会計報告、会計監査報告では、裁判運動を続けるには多額の費用がかかること、みなさんからの支援がなければ運動を進めることができないことを、共有しました。

◆続いて、弁護団長の冠木克彦弁護士から「画期的2判例と今後の展望」と題してお話していただきました。
大飯原発再稼働を止めた2015年4月14日の福井地裁決定(樋口決定)と、高浜原発再稼働を止めた2016年3月9日の大津地裁決定。 冠木さんは、樋口決定の意義はその「破壊力」にあったとし、「原発訴訟の人権宣言」(澤山保太郎会長の言葉)ともいうべき決定だと評価。大津決定は「伊方最高裁判決の曖昧さを払拭し、明確な原発訴訟における立証責任論を宣言。以後の原発訴訟を方向付けた画期的な決定」だと評価しました。 その上で、玄海の裁判で中心的課題となっている耐震性の問題、基準地震動計算式における“ばらつき”問題を解説しました。 9月16日に予定されている佐賀地裁における「説明」の場を経て、向こう1年の間に重要な問題について裁判所の結論が出てくる可能性があり、我々も画期的判決を基にして集中して活動を進めれば、勝利の見込みは充分存在していると、展望を示されました。

◆続けて、裁判補佐人の小山英之・美浜の会代表から「熊本地震を教訓として原発の耐震性の見直しを」と題してお話いただきました。
・熊本地震のような繰り返し地震による原発事故が起きたら避難計画が成り立たないこと
・政府交渉での規制庁の酷い回答を紹介しながら、繰り返しの揺れが襲えば配管の劣化許容値を超えること
・現行の基準地震動の計算式において入倉・三宅式が過小評価であることを私たちが裁判で主張してきた経緯に触れながら、島崎・元規制委員長代理が同内容を規制委に提言したことが大きな意味を持つこと
小山さんは、これらを解説され、「運動として広め、要求していこう」と、呼びかけました。

◆講演の後、MOX裁判の今後について、石丸団長、荒川謙一副団長から 「上告した場合、最高裁は事実審理はせず、憲法違反がないかどうかを調べるだけとなる。商業機密も開示されない中で、これ以上の原告側からの追及は難しい。今の司法のあり方の中で、勝つ見込みは非常に厳しいし、悪しき『最高裁判例』となることも避けたいので、上告はしないこととしたい。私たちは他に3つの裁判を闘っているので、玄海原発を止めるために3号機プルサーマルも含めて、これらの裁判での勝利へ向けて全力を尽くしていきたい」と提案し、参加者一同から了承を得ました。また、再稼働をストップさせる上で重要な避難計画に関する取り組みの様子などを参加者で共有しました。
http://saga-genkai.jimdo.com/2016/07/03/a/
(7月3日のトピックス【玄海MOX控訴審、上告せず。審理中の3つの裁判と運動で、玄海原発を全基を止めるために全力を尽くします!】ご覧ください。


◆締めくくりに、澤山保太郎・裁判を支える会会長は 「控訴審判決は非常にひどい内容だった。ただ自分達として反省するところもあった。立派な弁護団を抱えながら、それを支えきれなかった。運動の主体的な力が弱かったということだ。県民の意識を変えていくような運動ができているか、僕らに問いかけている。これまで以上の運動を起こし、裁判で勝利しよう」と訴えました。

本報告会では、みなさんと想いを共有し、原発を止めるための覚悟を新たにすることができました。 みなさん、今後とも力を合わせて行動していきましょう! ありがとうございました。


■1年間の活動内容(2015年6月28日~2016年7月1日)

 提訴6周年・年次活動報告会で使用したスライドショーです。