【安定ヨウ素剤の事前配布を求める佐賀県内全市町への陳情・要請行動】

【安定ヨウ素剤の事前配布を求めて佐賀県内全市町への陳情・要請スタート!】
~万が一の備えとして。放射能の危険性を知らせ、「原発いらない!」の世論を高めていくために~

安定ヨウ素剤の事前配布を求める佐賀県内全市町議会への陳情と全首長への要請を、今日5日の佐賀市からスタートしました。


「ヨウ素剤」は、万が一の時のための最低限の備えです。同時に、再稼働を容認するものでは決してなく、行政に責任をもって取り組ませ、放射能の危険性を市民に知らせることを通じて、「そもそもこんなものを肌身離さず持っていなければならないような原発などいらない」という意識を広げていくことになると確信しての取り組みです。

今日は佐賀市と神埼市の議会事務局と市防災担当課にそれぞれまわってきました。
佐賀市は、白倉和子議員が一般質問でヨウ素剤を取り上げたことを契機に、市職員を(全市民を対象に事前配布を実施している)兵庫県篠山市に派遣しましたが、「佐賀市は篠山市よりも人口が多い」「3年で期限が切れて交換する作業が大変」などと、やや後ろ向きな話をされました。とはいえ、「検討は続けていきたい。しかし、他の市町と足並みをそろえないと難しい。県にもっと主導してほしい。県との話し合いの際に要望するようにしたい」とのことで、市民からの働きかけがますます重要だと感じました。

佐賀市議会は事務局の対応でしたが、「議員は市長よりも敷居が低いはずですから、何かあればいつでも資料や情報をもってきてください。その中から、議員が質問として取り上げたりすることもあるでしょうから」と、市民のこうした行動を歓迎してくれました。

暑い中の県内行脚に対して、行く先々で各担当者や記者の皆さんから労りの言葉をかけていただき、私たちも次の行動への元気もいただきました。

8月10日、伊万里市。12日、嬉野市、鹿島市。他市町も8月中に順次提出します。福岡の16市町(糸島市とその避難先市町)も提出していく予定です。
各市町提出の際に一緒に行きませんか?ご連絡をお待ちしています!

市民・行政が一体となって「原発避難」と正面から向き合い、ヨウ素剤の事前配布までこぎつけた篠山市に続く自治体を、玄海周辺でつくっていきましょう!
放射能の危険性を知らせ、「原発いらない!」の世論を高めていくために。


 

玄海原発事故への備えとして
安定ヨウ素剤の市民への事前配布を求める陳情書
2016年8月5日
佐賀市議会議長 福井章司 様
提出者 住所 佐賀市伊勢町2-14
氏名 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
共同世話人 野中宏樹
 
【陳情の趣旨】

 3.11東京電力福島第一原発事故は、大量の放射性物質を撒き散らし、住民の命や暮らしに甚大な被害をもたらしました。避難が大混乱する中、多くの住民が無用な被ばくを強いられました。
チェルノブイリ原発事故後のウクライナやベラルーシにおいては様々な健康障害が報告されていますが、その1つに甲状腺がんの発病の増大があります。放射性ヨウ素が体内に吸収され甲状腺に蓄積したことが理由と考えられています。
福島においては事故時18才以下だった県民約38万人のうち166人がこれまでに甲状腺がんを発症しました(福島県民健康調査報告、2016年2月公表)。甲状腺がんの発症率は「100万人に2~3人」と言われていたのに対し、異常に高い数値です。このような苦しみを絶対に押し付けてはなりません。


 数多ある核種のうち唯一、放射性ヨウ素だけは安定ヨウ素剤を服用することで体内への取り込みを阻止し、甲状腺を守ることができます。
 放射性ヨウ素が取り込まれる24時間前から直前までに飲めば阻止効果が90%、取り込まれた2時間後までなら80%、8時間後なら40%と下がり、16時間以降ではほとんど効果がないとされています。効果は24時間前後しかなく、そのタイミングを住民はどうやって知ることができるでしょうか。住民が手元に持って、放射能到達前に「危ない」と思ったらただちに飲める体制を整えておかなければなりません。


 福島原発事故では、放射性物質の飛散は250キロ圏にまで及んだにも関わらず、安定ヨウ素剤を配布し住民に服用させた自治体は三春町ただ1つでした。なぜ配布・服用されなかったのか。理由は――
・事故前に住民に事前配布されていなかったこと。
・国の指示が市町村長に届かなかったこと(FAXが混乱の中で埋もれてしまった)。
・国の指示がない場合、福島県知事が服用指示を出せるのに出さなかったこと。
・国・県の指示を待たずとも市町村長の独自判断もできたはずなのに副作用を恐れるなどで服用指示を出さなかったこと
――などが挙げられます。
 この経験に学ぼうとするなら、まず自治体自身が放射性物質の危険性とヨウ素剤の効能を正しく認識し、住民の命を守る防御策の1つとして、安定ヨウ素剤を事前配布することが求められます。
 また、副作用はどの予防接種より少なく、発生率は0.0001%、インフルエンザの予防接種と比べても20 分の1 で安全と言われていますが、こうした正しい知識も周知徹底する必要があります。


 しかし、現在の玄海原発避難計画では安定ヨウ素剤が事前配布されているのは原発5キロ圏の住民だけです。5~30キロ圏内には役所・支所や公民館などに備蓄はされているものの、避難指示が出される際に、自治体職員が配布することになっています。30キロ圏外の本市においては、配布も備蓄もされていません。5キロ圏外においては、放射能が毎時20マイクロシーベルトを超えると「1週間以内に避難」、毎時500マイクロシーベルト超で「ただちに避難」と国から指示が出されることになっていますが、20マイクロは通常時の0.05マイクロ/時程度の400倍、500マイクロ/時は1万倍という高線量です。実測値で高線量の放射能に襲われてからの避難となるのです。
 そうなってからヨウ素剤を配布してもとても間に合いません。ましてや、熊本地震のように道路網が寸断されるような事態の中での配布は困難を極めます。

 
また、甲状腺被ばくの影響は特に乳幼児が大きいと言われています。国は3歳未満の乳幼児用にゼリー状のヨウ素剤を本年9月から30キロ圏内の自治体への配備を始め、30キロ圏外の自治体でも希望があれば来年度以降に配備を検討するということですが、本市においてもただちに配備、事前配布することが求められます。


 福井県の高浜原発などから50キロの距離にある兵庫県篠山市では、市民の粘り強い活動と市長のリーダーシップにより、希望する市民全員に安定ヨウ素剤の事前配布を実施しています。行政にできることと住民に任せることを、住民に丁寧に説明し、住民の命を守ろうとしているのです。
 自治体には住民の命を守る責務があります。原発が近くに存在する以上、放射能の危険性を住民に正しく知らせた上で、最低限の備えをする必要があります。
以上に基づき、下記陳情いたします。


 玄海原発において重大事故が起きた時に、放射性物質から住民の命を守る最低限の備えとして、安定ヨウ素剤をすべての住民に対して事前配布できるように、国、県、市に働きかけること。

以上
 
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ダウンロード
2016年8月5日 佐賀市宛 安定ヨウ素剤の市民への事前配布を求める要請書
玄海原発事故への備えとしてー安定ヨウ素剤の市民への事前配布を求める要請書
20160805ヨウ素剤要請佐賀市.pdf
PDFファイル 255.8 KB
ダウンロード
2016年8月5日 佐賀市議会宛 安定ヨウ素剤の市民への事前配布を求める陳情書
玄海原発事故への備えとしてー安定ヨウ素剤の市民への事前配布を求める陳情書
20160805ヨウ素剤陳情佐賀市議会.pdf
PDFファイル 258.7 KB

■報道

◆サガテレビ

【住民に安定ヨウ素剤を 事前配布求める要請】
(サガテレビ2016/08/05 19:23)

玄海原発の重大事故への最低限の備えとして脱原発の市民グループが5日、甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤をすべての住民に事前配布するよう佐賀市に要望しました。要望したのは脱原発の2つの市民グループで、市長あての要請書を職員に手渡しました。玄海原発から5キロ圏内が対象のヨウ素剤の事前配布を全県民に拡大するよう求めているもので、原発と放射能の危険性を住民に正しく知らせたうえで最低限の備えとして甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤を、すべての市民に事前配布するよう訴えました。【市民グループ事務局長永野浩二さん】「ヨウ素剤を手元に持つことで考えるきっかけになって、やっぱり、原発いらないよね、というような市民の中で意識が芽生えていけばなと」市民グループはこれに先立ち佐賀市議会にも議長あての要請書を提出し、安定ヨウ素剤の市民への事前配布に向け国などへの働きかけを求めました。市民グループは今月下旬までに、県内すべての市町と議会に同様の要請を行う計画です。