【佐賀新聞投稿欄「私の主張」で「安定ヨウ素剤の事前配布を」掲載!】



佐賀県内全20市町に安定ヨウ素剤事前配布を求めた要請行動のことを佐賀新聞に投稿したところ、8日付で掲載されました。
実は、8月18日の山口祥義・佐賀県知事の記者会見で、記者が要請行動をどう思うか質問し、知事が「事前配布をやみくもにやるのはどうか」と回答していました。知事の見識を疑うようなこの発言を批判したいと思っての投稿です。
国の言うことを「やみくもに」信じるな!と、言わせていただきました。

投稿時のタイトルは「安定ヨウ素剤の事前配布は闇雲か」としていましたが、そこだけ無難に修正されていました。後は文章ほぼそのままです。
以下、原稿全文です。

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安定ヨウ素剤の事前配布は「闇雲」か

市民団体の一員として県内全二〇市町に対して、玄海原発事故時の備えとして安定ヨウ素剤を全住民に事前配布するよう要請してきました。各市町の首長、議長、担当課長らは熱心に聞いてくださいました。
原発事故時に命を守るためには、放射能から逃げることが基本です。さらに、数多ある放射性物質のうち放射性ヨウ素だけは安定ヨウ素剤を服用することで体内摂取を阻止し、甲状腺を守ることができます。ただし、放射能到達前に飲むというタイミングが重要であり、効果は二四時前後なので、いざという時に手元になければいけません。
しかし、現在、原発五キロ圏にしか事前配布されていません。五~三〇キロ圏には公民館などに備蓄されていますが、実測値で高線量の放射能検出後に避難指示が出され、それから自治体職員が配布します。三〇キロ圏外では備蓄も配布もされていません。これでは間に合いません。ましてや、熊本地震のように道路網が寸断される中での配布は困難です。だから、事前配布が必要なのです。また、手元に持つことで、原発・放射能の危険性と隣り合わせの生活をしているということを自治体も住民も常に意識することにもなります。
高浜原発などから約50キロ離れた兵庫県篠山市は、希望する市民全員にヨウ素剤の事前配布を実施しています。兵庫県が行った放射能汚染シミュレーションにより市域が高濃度で汚染されることが分かったので、科学的根拠を基に住民の命を最優先にした施策を進めたのです。
一方、山口祥義知事は八月一八日の記者会見で事前配布を「闇雲にやるのはどうか」と発言しました。知事は今年二月、私達の質問に対して「原子力災害は想定外に発生するもの。最悪の想定は具体的にできない」と回答しました。想定外はあってはならない、というのが3.11福島原発事故の教訓であり、最悪に備えるのが防災の基本ではなかったでしょうか。原発事故シミュレーションも行わず、最悪の想定もせず、科学的根拠もなく「事前配布は闇雲の行為だ」と決めつける知事の見識を疑います。
今、玄海原発再稼働の動きが加速しています。原発の危険性を県民にもっと知らせ、ヨウ素剤事前配布など最低限の防御策を市町と協議しながら県ももっと進めるべきです。
私はそれでも命を守り切れないと思っています。知事は国の言うことだけを「闇雲に」信じて、再稼働を容認しないでください。