10月17日、九州電力が玄海原発3号機を危険な「プルサーマル」で再稼働でしようとしていることについて抗議の申し入れを行ってきました。
9月28日の佐賀県議会原子力特別委員会において、九電の山元春義取締役は玄海3号機をプルサーマルで再稼働すると明言しました。
私たちは--
・核燃料サイクル政策が完全に破たんする中、プルサーマルの継続はまったく意味のないことであること
・猛毒放射性物質プルトニウムを使うプルサーマルは住民を実験台にするようなものであること
・使用済みMOX燃料という一層厄介な「核のゴミ」の処理方法も未解決であること
・福島第一原発3号機もプルサーマルであったが、その検証もまったくなされていないこと
・MOX燃料の品質データについて真っ黒にされるなど隠されたままであること
--などの理由から、プルサーマルからの完全撤退と再稼働中止を求めました。
申し入れには市民20人が集まり、12団体連名の申し入れ書を交代しながら読み上げた後、石丸初美代表は
「プルサーマルの危険性を世界の科学者も心配してきた。そのリスクを全部地域の人や国民におしつけてしまっては困る。データの公開を求めても真っ黒塗の資料ばかりで、安全の立証はされていない。私たちの思いを真摯に受け止めていただきたい」と訴えながら、九電に手渡しました。
対応した九電エネルギー広報グループ課長は「上層部に伝えます」とだけ答えました。
(前もそうでしたが、自社幹部のことを「上層部」と言うんですね…)
九電は佐賀県議会で、MOX燃料について「これまでの16体に加えて新たに16体、合計32体を装荷する予定である」こと、佐賀県と玄海町の事前了解が必要であることについて「一概には言えないが、今までの感覚では必要ないのではないか」と表明していました。
これらについて事実確認をしようと質したところ、九電課長は
「新聞に出ている範囲内でしか分からないので、確認してから後日回答する」と回答しました。
私たちは「社を代表してここにきている広報課が『新聞でしかわからない』とはどういうことだ。私たち住民の命がかかったこれほど重大な問題についてあまりにも無責任だ」とあきれ果てました。
澤山保太郎・裁判の会共同代表は
「MOX燃料をどのぐらいの量を使うのかは重大なことだ。佐賀県庁に尋ねたが、数を増やすことについて確認がとれないということだった。唐津市は従来どれだけ使っていたかということも全然知らなかった。今回も増やすかどうかもわからないと言っている。玄海町で尋ねたところ『16本だ』と職員が言ったと思ったら、その隣にいた管理統括官が『いや24本だ』という答えがかえってきた。全然説明していないではないか。
石油などとも違って、非常に危険な核燃料だ。原子力規制委員会にどういう内容のものを燃やすのか確定しているはずだが、関係市町、佐賀県、玄海町、唐津市との安全協定上の重要な内容であるにもかかわらず、それを知らない、知らせていないというのは無責任じゃないか。
国に許可をもらえばいいということではない。被害をこうむるのは県民、国民だ。国民に真っ先にどんな燃料を使うのかということを説明する必要がある。
そういうことができないようだったら、稼働させるべきじゃない!」と糺しました。
11月には2時間の交渉の場の調整をかねてから要請しているので、その日程調整を再度強く要請しました(これまでもズルズル引き延ばされてきました)。
先日14日の玄海町長への要望行動の中で、「事前了解」について質したところ町管理統括官は「事前了解が必要となる」とはっきり言われました。
九電が県・町の了解もなく勝手にできないこと、九電や県との交渉などで確認・追及していきたいと思います。
核燃料サイクルは破たん。
犠牲はすべて住民に。
プルサーマルからの徹底を!再稼働の中止を!
■報道
◆NHK佐賀放送局
【住民G玄海再稼働反対申し入れ】(10月17日 18時30分)
https://youtu.be/talx7KyIS0o
再稼働に向けた国の審査が大詰めを迎えている佐賀県の玄海原発3号機で、九州電力がプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使うプルサーマルを継続する方針を示したことについて、住民グループが、17日、九州電力に対して、プルサーマルから撤退し、再稼働を中止するよう申し入れました。
玄海原発3号機をめぐって、九州電力は、先月28日の佐賀県議会で、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランを混ぜたMOX燃料を使うプルサーマルを継続する方針を示しました。
これについて、原発の運転に反対する福岡市や佐賀市などの12のグループのあわせておよそ20人が17日、福岡市の九州電力本店を訪れ、担当者に申し入れ書を手渡しました。
申し入れ書では「プルサーマルの中心となるプルトニウムは、危険な放射性物質であり、使用済みMOX燃料の処分方法も明確になっていない」としたうえで、「プルサーマルから完全に撤退し、再稼働を中止するよう求める」としています。
これに対し九州電力の担当者は「上層部に伝えます」と答えました。
申し入れを行ったグループの石丸初美代表は「プルサーマルは安全性も立証されておらず、住民にとって不安でならない。何かあれば私たち住民が悲しむことになるので、今後も事あるごとに訴えていきたい」と話していました。