【玄海原発再稼働差止仮処分、今年度中に決定へ!】

11月17日、佐賀地裁にて玄海原発再稼働を止めるための仮処分裁判の審尋が行われました。
2011年7月7日に申し立てた3号機差止仮処分に加えて、4号機も先日10月26日に申し立て、今、236人の債権者(原告)で闘っています。
私たちはこれまで、基準地震動の過小評価の問題、配管損傷により重大事故に至る危険性などについて訴えてきました

■主張のポイントは--

(1)基準地震動が過小評価になっている
地震国日本における原発の安全性における最重要課題は耐震安全性である。しかし、
①地震モーメント(地中の震源の地震規模)を算出する入倉・三宅式は過小評価になっており、武村式を用いるべきである。
②地震モーメントを算出する場合その数値は平均値であるので、さらにばらつきを考慮すべきだが、ばらつきの考慮がされていない。
③地震モーメントから短周期レベル(地表面に伝わった時の地震動の大きさ)を算出する「壇他の式」が過小評価であり、「片岡他の式」を用いるべきである。

上記の武村式と片岡他の式を用いれば、竹木場断層の現行524ガルは2017ガルに跳ね上がる。
玄海・3・4号機は2017ガルの地震動に耐えられる耐震性を有していない
熊本地震が新たに定期した地震動評価の問題も未検討である。

(2)配管損傷による重大事故に至る危険性
かつて玄海2号機において放射能を含んだ一次冷却水が流れる余剰抽出配管で技術基準を大きく割り込むほどに深く長いひび割れが生じ、長年検出されず放置されて、念のための検査によって偶然に発見された。同様の配管の劣化が3・4号機の他の配管にも起こっている可能性が高い。
・九電はこれまで具体的な検査内容を回答してこなかったが、審理終了直前の今回初めて、検査内容を明らかにする陳述書を出してきた。重要な「クラス1」機器においても10年で25%しか検査しないということ(=寿命の40年でやっとすべての検査を終えるということ)、超音波探傷試験は一部しかやらないということなどが新たに分かった。
九電の姿勢は結局のところ「今、欠陥があることが確認できなければ、法規違反ではない」、つまり「地震が起きなければわからない、漏れなければわからない」ということであり、これでは、基準の意味がまったくない。
伊方原発最高裁判例を踏まえ、原発が安全だというなら立証する責任は事業者にある。

(3)結論
玄海原発3・4号機は安全基準に違反してその安全性が証明されていない。ひとたび重大事故が起これば、債権者ら住民に大きな被害をもたらすことは必定であり、再稼働を差し止める必要がある。

  ※以上、今回提出の書面と記者会見などより


■審理終結予定の1月16日審尋の傍聴を!
今回は仮処分審尋だけであり、ラウンドテーブルの協議室には債権者が10名程度しか入れないので、裁判所集合の呼びかけを控えめにしてました。
そのことを今、反省しています。
裁判所からはいつも「何人ぐらい来られますか?」と直前に聞かれるのですが、今回「場合によっては対応も考えます」とも言われました。
来年1月16日の審尋で審理終結し、3月までには決定が出る見込みです。(決定日が分かるのは1週間前ぐらい)
原告、債権者はみな当事者。
玄海再稼働を止められるかどうか、私たちは崖っぷちに立たされています。
裁判所の判断に我々の命がかかっています。
次回1月16日の仮処分審尋は裁判所を取り囲むぐらいの圧倒的な人数で集まって、私たちの本気度を裁判所に示しましょう。
そして、審尋後の報告集会を、勝利のために結束を深める場としましょう。
玄海再稼働何としても止めるために、みなさまのご注目・ご支援をお願いします!

■裁判予定<いずれも佐賀地裁>
12月16日(金)14:00~行政第12回口頭弁論 14:30~全基第19回口頭弁論
 1月16日(月)15:00~仮処分第24回審尋(終結)
 2月10日(金)14:00~全基第20回口頭弁論
 3月17日(金)14:00~行政第13回口頭弁論
 ※他の裁判も佳境に入っています。ぜひお集まりください!


■裁判書面

ダウンロード
債務者・準備書面13(9月8日付)126ページ<基準地震動>
20160908玄海仮Y準13●.pdf
PDFファイル 8.5 MB
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債務者・陳述書(11月7日付)47ページ<配管問題>
20161107仮処分債権者配管陳述書●.pdf
PDFファイル 5.4 MB
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仮処分債務者答弁書(11月16日付)
20161116仮処分債務者答弁書●.pdf
PDFファイル 69.5 KB
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債務者・準備書面14(11月4日付)22ページ<基準地震動>
20161107玄海仮Y準14●.pdf
PDFファイル 2.3 MB
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債権者・主張書面14(11月14日付)35ページ<基準地震動>
20161114仮処分債権者主張(14)●.pdf
PDFファイル 2.3 MB
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仮処分求釈明書(11月17日付)
20161117仮処分求釈明書●.pdf
PDFファイル 188.7 KB


■報道

◆NHK

 

【原発仮処分申し立てで審尋】11月17日18時43分
https://youtu.be/1tDLN9IuhR0


11月9日、新しい規制基準の審査に事実上合格した佐賀県の玄海原子力発電所の3号機と4号機をめぐり、市民グループのメンバーが、3号機に続いて4号機についても再稼働しないよう求める仮処分を申し立てたことを受けて双方が主張を述べる「審尋」が17日、佐賀地方裁判所で開かれました。
原発の再稼働に反対している佐賀県や福岡県などの市民グループのメンバーは、5年前に、再稼働しないよう求める仮処分を申し立てた玄海原子力発電所3号機に続いて10月に、4号機についても同様の仮処分を申し立てました。
これを受けて17日、佐賀地方裁判所は、原告と被告の双方から主張を聞く「審尋」を非公開で開きました。
原告の弁護団などによりますと、3号機と4号機に関する申し立てを合わせて審理することが決まったあと、耐震性などに関する書面が双方から提出されました。
この中で原告側は、「九電側が想定している原発周辺の地震は過小評価されており、評価するために用いる『評価式』を別のものでやり直すべきだ」などと主張したということです。
これに対し九州電力は、用いている評価式に問題はなく、原発周辺で想定される最大の地震が発生したとしても、十分な安全性があるという内容の主張を行い、申し立てを却下するよう求めたということです。
来年1月16日に行われる「審尋」で法廷の審理は終わり、その後、裁判所が決定を出すことになるということです。
玄海原発3・4号機をめぐっては今月9日、原子力規制委員会が、新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案をとりまとめていて、このまま手続きが進めば来年夏にも再稼働する見通しです。