原子力規制委員会は今日1月18日午前、玄海3・4号機再稼働の審査書を正式決定しました。
東京電力福島第一原発事故がいまだ収束せず、原子力緊急事態宣言発令中であるにもかかわらず、事故大前提の再稼働を許可したことを断じて許すことはできません。
パブリックコメントで寄せられた約4,200通の意見の概要と「規制庁の考え方」一覧、審査書最終案、修正履歴版、が下記にアップされています(全986ページ)
http://www.nsr.go.jp/data/000175362.pdf
細かな字句修正はたくさんありますが、内容上の変更はまったくありませんでした。
10時半に始まった委員会では、規制庁職員が説明した後、若干のやりとりを経て、審査書が「確定」。
そして、委員一人ひとりが「許可することに異存ございません。」と述べ、
11時15分頃、田中委員長が
「全員から設置変更許可について賛成ということでしたので、設置変更許可を決定いたします」
ということで、予定通り許可されました。まさにセレモニーでした。
私たちはただちに田中俊一委員長あての抗議文を佐賀・福岡の13団体連名で発表(FAXで送信)し、佐賀の街頭で抗議のアピール行動を行いました。
佐賀中心部では約40人の仲間が集まり、リレートークしながら、道行く人にチラシを配布しました。
石丸初美代表は
「合格証は甘々の基準。住民の命・健康を守る合格証ではありません。
福島の今も続いている大きな犠牲を、私たちは学んだはずではないでしょうか。
なのに、この国の権力者や電力会社は今なお愚かな道をたどっているとしか思えません。
佐賀県知事と玄海町長は、愚かな判断をして、住民を放射能の恐怖に陥れるような同意は絶対許されません。
私たちの運動は市民一人ひとりの運動です。
子ども達やこれから生まれ来る人たちのためにも、私たちが安心して暮らせるためにも、
原発のいらない社会を目指すこの運動にぜひご加わってください!」
と訴えました。
チラシを受け取った市民からも
「そうですか...福島の事故も終わっていないのに、おかしいですよね」
「避難しなきゃならない原発なんておかしい」
などの声を聞きました。
佐賀県原子力専門部会(推進派学者ばかり)の現地視察が行われた玄海原発ゲート前でも、唐津・玄海と福岡の仲間7人が抗議アピールを行いました。
今後、「地元同意」をどうさせないかが重要になってきます。
無責任にも「再稼働やむを得ない」と発言している佐賀県知事に対して、同意させないよう、各地から次々と働きかけていきましょう。
また、すでに伊万里市長、神埼市長が再稼働反対を明言していますが、他の首長からも反対の声が出してもらえるよう働きかけていきたいと思います。
事故時の被害は佐賀県内にとどまりません。各地からも、佐賀県知事に対して、「再稼働反対!」「同意しないで!」の要請をぜひ直接届けてください!
◆佐賀県原子力安全対策課
TEL:0952-25-7081 FAX:0952-25-7269
genshiryokuanzentaisaku@pref.saga.lg.jp
◆佐賀県庁(代表)TEL:0952-24-2111
佐賀玉屋前
玄海原子力発電所ゲート前(「玄海原発反対からつ事務所」の仲間たち)
東京・原子力規制委員会前(原子力規制を監視する市民の会などの仲間たち)
抗 議 文
緩すぎる規制基準 命と生活を守れない
玄海3・4号機再稼働「審査書」決定の撤回を求めます
原子力規制委員会委員長 田中俊一様
本日1月18日、国・原子力規制委員会は九州電力玄海原子力発電所3・4号機再稼働の「審査書」を決定しました。
東京電力福島第一原発事故は大量の放射能をまき散らし、5年10か月経った今なお収束せず、「原子力緊急事態宣言」発令中のままです。事故原因も検証されていません。約9万人もの住民が故郷を追われたままです。そうした中での玄海原発の再稼働強行は、フクシマの甚大な犠牲を踏みにじるものであり、国民を再び原発事故の恐怖に陥れるものです。審査書決定に抗議するとともに、撤回を求めます。
田中委員長は、これまで審査について「基準の適合性は見ているが、安全だとは申し上げない」と繰り返し発言してきました。さらに、昨年11月9日の玄海の審査書案を了承した際には、「住民が安心するかどうかは審査とは別問題」と述べました。安全が保障されない、つまり、事故を大前提とした再稼働に、私たちが安心できるわけがありません。この国の規制当局トップのあまりに無責任な発言に、怒りを禁じえません。
直近でも、昨年12月、島根原発2号炉の中央制御室の空調配管が腐食で穴だらけだったことが判明しましたが、玄海原発も保温材をはがしての検査を1度も行っていません。
また、昨年フランスで大問題となった原子炉等の強度不足について、玄海3・4号機の原子炉容器の上蓋と胴部、2号機の上蓋が、問題となった日本鋳鍛鋼製のものでしたが、現物検査も行わず、書類の確認だけで、規制委は問題なしとして幕引きを図りました。
それだけではありません。これまで私たちは、おびただしい数の問題点を国や九電にその都度指摘してきました。
1.地震が頻発する日本列島では原発震災の危険性が高い。しかし、基準地震動が過小評価となっている。熊本地震のような連続大地震に耐えられる設計となっていない。
2.水素爆発や水蒸気爆発等、重大事故時の安全対策が過小想定であり緩すぎる。
3.最も重要なクラス1配管について、内側の損傷等発見できる検査体制になっていない。
4.猛毒プルトニウムを使う3号機プルサーマルはウラン燃料よりもさらに危険性が高まる。核燃料サイクルは破たんしており、プルサーマルは中止すべきである。
5.福島原発事故で有効だった免震重要棟の建設を「工期短縮」を理由に撤回した。
6.原発事故時の避難計画は放射能被ばくを前提としており、住民の命を守ることはできない。
7.使用済み核燃料(=核のゴミ)の処分方法が決まっておらず、10万年の管理を未来の世代に押し付けることになる。
8.ウラン採掘から廃炉に至るまで、被ばく労働は命を傷つける。
危険性を危惧する専門家からの指摘や、市民の不安の声に、あなたはどれだけ真摯に向き合ったのでしょうか。そして、もし事故が起きたら、責任をどう取るつもりでしょうか。命の責任は、取りようがありません。原発の最大の問題は放射能を生み出し、私たちの命の安全を将来にわたって脅かし続けることなのです。
玄海原発で事故が起きれば否応なしに放射能の被害を受けるのは私たち住民です。佐賀、福岡、長崎はもちろんのこと、偏西風により日本中の国土を放射能汚染で失うことになりかねません。
海の幸、山の幸、大地の恵みをいつまでも安心して食べたい。子ども達をのびのび育てたい。そんな平凡な暮らしを一瞬で奪い去るのが原発事故なのです。
私たちのふるさとの大地と自然、命と暮らしを守るために、玄海原発再稼働に絶対反対です。
審査書の撤回を求めます。
2017年1月18日
提出者:玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/玄海原発反対からつ事務所/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/えとう真美とレインボープロジェクト/怒髪天を衝く会/市民連合オールむなかた/さよなら玄海原発の会・久留米