2月8日、第二回佐賀県「玄海原発再稼働に関して広く意見を聴く委員会」が開かれ、傍聴してきました。
今回は、資源エネルギー庁、原子力規制庁、内閣府(防災・避難)、九州電力からそれぞれ1時間ずつの持ち時間の中で説明と質疑が計4時間ありました。
委員には山のような資料の事前配布もなく、今日いきなり渡されたそうです。それぞれの仕事などを抱えている一般県民に対して、いきなり“PAZ”とか“基準地震動Ss-1”とか“触媒式水素再結合装置”だとかの専門用語を使った一方的な説明。質問を出そうにもなかなか出せなかったのではないかと思いました。
それでも4人の委員は重要な質問、指摘をしてくれました。しかし、国と九電は、もごもごと誤魔化すかスルーするだけでした。県は、主体性のなさが露わになった1回目と同様、時間通りに進めることにしか関心がないようでした。「アリバイづくり」の意図がありありと見える酷い会合でした。
そもそも、30人の委員のうち出席が15人だけであり、これで成立したと言えるのか、はなはだ疑問です。(傍聴者は13人でした。)
以下、気になった説明や質疑を紹介します。
●最初はエネルギー庁が原発の「必要性」について説明しました。資料の項目の一番目は「福島廃炉汚染水対策・復興再生」という項目でしたが、「福島の復興が一番の課題でありますが、今日はここは飛ばさせてもらいます」として話を始めました。今も東京電力福島第一原発が「原子力緊急事態宣言」発令中であることをまったく顧みない形での再稼働だということを象徴していました。そして、「コストが安い、環境にやさしい、安定供給確保、安全」という3.11以前の安全神話の世界の話を始めたのでした。
●規制庁は、避難についての説明の中で、SPEEDIを使わない理由を時間割いて説明しました。
曰く「風向きは常に変わるため予測がはずれることがあるから、SPEEDIは使わないことにした」と。「風向きは常に変わる」のはその通り。だったら、逃げる方向、逃げ先を1つにしか決めていない計画はそもそもおかしい。言っていることが矛盾してるんです!
●内閣府は、冒頭、省庁組織の仕組みを説明しました。そして、「自治体まかせでなく、策定過程から国が関与し、対応体制が機能することを知事や官僚がハイレベルで協議の上、確認している。国の訓練では総理大臣にも参加いただいて、確認した。「玄海避難計画」についても総理の出席の下、了承したところだ」と。安倍首相の「了承」時の写真までスライドに入ってました。
だから、何なんですか!嘘八百の安倍がどうのとか関係ありません!
原発事故による放射能被ばくの危険性、どうしたら被ばくすることなく逃れることができるのか、住民目線での説明が一切ない国からの説明でした。
●審査結果についての規制庁からの説明に対して、県連合青年団の委員が「今の説明を聞いただけでは、私たち一般人にはわけがわからない。説明が分かりやすくならないのか。本当に安全なのか」と質問。
国は「従来、保安院は簡単な説明をしていて、因って以て“安全です”と言っていた。我々は田中規制委員長が常に言っているように“絶対安全とは申し上げられない”。“因って以て安全です”とならないように詳しく説明させていただいている」と、事故大前提の発言をこの場で強調しました。
地域婦人連絡協議会の委員、平和運動センターの柳瀬委員から「絶対安全でなければ動かしてはならない」と重ねて意見が出されると、規制庁は「絶対安全だと規制当局自ら言ってしまうと、福島以前の慢心の状態に戻ってしまう。だから自戒をこめて、安全とは申し上げることはできないと言っている」と繰り返しました。
「事故は起きる」と国が自ら開き直って言っていること、それでいいのかと、私たちは引き続き声を大にして訴えていきたいと思います。
●九電から使用済み燃料の処理方法について漠然とした話がされると、柳瀬委員は「九電は六ケ所再処理工場が平成30年度に竣工予定だとさらっと言ったが、もう20数回も延期しているではないか。言い方が欺瞞的だ。事実をきちんと伝えてほしい。そして、九電としてどうするつもりか具体的に示してほしい」と追及しました。
すると司会の佐賀県担当者は「ただいまのご発言はご意見ということで...」で終わらそうとしたので、「答えて!」と会場からも声があがりました。
九電は「事業者として工期を守っていただきたいと応援しているところでございます。使用済み核燃料は必ず出て来るものでございますので、みなさまに検討結果をお知らせしたいと思います」と無責任な回答をするだけでした。
●司会が閉会にしようとしたところで、全労連の委員が「進め方を一言言わせてほしい」として、「世間は原発に反対という意見が多い。今日は安全だという意見を1日聞いた。素人はそれでいいかなと思ってしまいがちだが、できたら、原発の安全性に疑問を持っている専門家の意見を聴く場もこの場で設けていただけないか」と提案。
これに対して、締めくくり挨拶に立った副知事(委員会の“委員長”ということになっている)は
「これだけの委員を集めてまたやるとなれば大変なので、様々な見解については県が意見を聴取してホームページ上で公開するので、それにかえたい」と回答。
委員は「いや、だから、この場でやってほしい」と切り返しましたが、副知事は
「いや、多くの意見を聴きたいので、この場ではなく...」
会場の傍聴者からも「多くの意見を聴きたいからこそ、この場でやるべき!」との声が次々にあがりました。
しかし、副知事はそうした声に見向きもせず、そそくさと閉会させてしましました。
「国と九電の説明はしましたよ」「意見は聞きましたよ」というだけで、県民の不安に真摯と向き合わず、ただただ再稼働の手続きを進めようとする佐賀県の姿勢がまた一段と鮮明になった今日の委員会でした。
こんな再稼働“茶番劇”を許してはなりません!
21日の唐津市を皮切りに始められる「県民説明会」も今日のような感じで、国、九電、県は行おうとするのでしょう。
「これをやれば再稼働は止まる」などという特効薬はありません。
が、一人ひとりが、自らの生活を守るために、学習し、広め、国、県、九電に意見をぶつけていくこと、それをみんなでやっていけば、必ず原発を止めることになると思います!
<来週から住民説明会前の「市民学習会」を唐津から始めます。チラシポスティングなど、応援お願いします!!>