【2/11佐賀県原子力安全専門部会第5回会合傍聴メモ】

2月11日、「玄海原発再稼働に関して広く意見を聴く委員会 原子力安全専門部会」の第5回会合が開かれ、傍聴してきました。

今回は、佐賀県として国に確認する事項について県から案が示され、専門家の委員がそれに「アドバイス」するというものでした。

県は18項目の質問案を提示しましたが、その中にはこれまで市民や原発に慎重・反対の立場の専門家が九州電力・国・県に対して質してきた基準地震動の過小評価問題や重大事故対策の問題点、根本的な安全性への疑問はほとんど含まれていませんでした。

 

それにしても、質問案には、国が曖昧にしている点、素朴な疑問点が出されていました。

 

-①「原子炉敷地の地下構造に関して『S波速度が約1.35km/sの硬質な岩盤が相当の範囲にわたり基盤を構成していることを確認している』としているが、『相当の広範囲』の規準はあるのか。1.35km/sを下回る1.30km/sという結果も見られるが、安全評価上の問題はないか」

-②「竹木場断層の断層長さ4.9kmに対して不確かさを考慮して20kmとしているが、城山南断層においても断層19.5kmに対して20kmとして評価している。20kmを上限としているのか」

-③「『震源を特定せず策定する地震動』に採用した鳥取西部地震と留萌支庁南部地震の観測記録は、それぞれ震源直上2kmと震源から12kmの場所で観測されたもの。震央付近だったらさらに大きな加速度が観測されている可能性もあるが、そうした考慮はされているのか」

-④「地震によって塑性変形が起きた場合、その機器や配管の耐震強度は変わってくると思うが、基準地震動Ss程度の大きな地震が繰り返し発生した場合の考慮はされているのか」...etc。

 

①について、竹中博士委員(岡山大学教授)は「1.35か1.30は誤差の範囲だが、それよりもその図を見ると、3号機直下に急傾斜があると見られる。3次元での評価もすべきではないか」とさらに追及しました。地震が専門の竹中委員と井嶋克志委員(佐賀大学教授)からは他にも複数の指摘がありました。

②については、私たちが専門家委員として推薦していた(採用されなかった)半田滋・佐賀大学教授らが「城山南断層の延長線上に呼子リニアメントという直線的地形があり、活断層の可能性がある。これらを一連のものとすると、想定される地震の大きさは大きくなる」ことを以前より指摘してきました。

④の「繰り返しの地震に耐えられるか」は、全国の市民団体の政府交渉で何度も取り上げてきた質問ですが、昨年11月28日の政府交渉では「累積疲労係数などについて、二回の揺れは考えていない、審査していないということか」という私たちの質問に対して、原子力規制庁担当者は「考えていません。評価していません」と回答しました。国は今回の佐賀県からの質問にはなんと答えるのでしょうか。

 

県は質問書として完成させ、近日、国に提出するそうです。まったく新たな問題でもないのに、これまで、国に質す機会はなかったのでしょうか。佐賀県原子力安全対策課はこれまで仕事として一体何をやってきたのかだろうかと思います。

そもそも重大な問題を問わない専門部会のやりとりであり、限定的な質問内容ではありますが、国がどう回答し、県がそれに対してあっさり「分かりました。安全を確認できました」とするのか、県民の命を守る姿勢をいくらでも見せて追及を続けるのか、注目したいと思います。

アリバイ的な質疑-回答は許されません。

 

なお、今回は7人の委員のうち6人が出席。九電と密接な関係にある出光一哉・九州大教授は今回も欠席しました。第1回会合しか出席していません。なぜそのような人を委員に就任させたのでしょうか。出光氏を解任し、市民の推薦してきた専門家を就任させたらどうでしょうか。

 

次回日程は示されませんでしたが、「広く聴く委員会」、専門部会、県議会への傍聴・監視を続けていきましょう。

玄海再稼働を止めるために、まずは21日から始まる「県民説明会」事前学習会への参加、チラシ・ポスティング行動への参加をよろしくお願いします!

 

◆佐賀新聞:原子力専門部会が審議 県、国に18項目確認へ

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/404687