2月21日より3月3日まで県内5か所で玄海再稼働に関する佐賀県主催県民説明会が開かれました。
県は広報を周知徹底せず参加者は限られ、国と九州電力からの説明は「再稼働ありき」で一方的、県民の声に真摯かつ丁寧に耳を傾けたとは到底言えないものでした。
そうした中、出てきた県民の意見は「福島原発事故は終わっていないのになぜ再稼働ですか」「命のことを考えてください」「佐賀は水もきれいだし空もきれい。おいしい食べ物もいっぱいある。住めなくなるようなことになってほしくない」等々、ほぼすべて再稼働反対の立場からでした。
私達佐賀の脱原発9団体は今日3月9日、説明会や第三者委員会などであぶりだされた住民説明のあり方の問題について、知事に対して24項目の緊急要請を行いました。
県担当者に対して要請文を読み上げ提出し、早急に回答するよう求めました。
知事はまず説明責任をきちんと果たすべきです!そして県民の命を背負っている自覚をもって、再稼働に同意しないでください!
※昨年、知事宛に提出した「玄海原発の再稼働を認めないでください」の署名1,019筆も追加提出しました(合計94,396筆)。
要 請 書
“命のことを考えてください”
5回の再稼働説明会は周知徹底されていなかった
全市町で公平な住民説明会と公開討論会の開催を求めます
2017年3月9日
佐賀県知事 山口祥義 様
2月21日より3月3日まで県内5か所で玄海原発再稼働に関する佐賀県主催県民説明会が開かれました。
説明会では九州電力と国がフクシマの教訓から学ばず、住民の命を犠牲にしてでも経済やエネルギーを優先し、再稼働を急いでいることが明らかになりました。県民からの質問は「1人1分1問」と制限される一方、九電と国の回答は長々とした説明、はぐらかし、同じ内容の繰り返しばかりで、県民の声に真摯かつ丁寧に耳を傾けたとは到底言えないものでした。
そうした中、県民の意見は「福島原発事故は終わっていないのになぜ再稼働ですか」「命のことを考えてください」「佐賀は水もきれいだし空もきれい。おいしい食べ物もいっぱいある。住めなくなるようなことになってほしくない」等々、ほぼすべて再稼働反対の立場からでした。
山口知事をはじめ県内各地の市長、町長、県市町の議員、担当職員のみなさんも「再稼働しないでほしい」という参加者の声を実感できたことと思います。
知事は「県民の理解が得られれば再稼働はやむを得ない」と発言してきましたが、県民の理解などまったく得られていないことが示されたのです。
知事は「同意権」さえ自ら放棄しましたが、県民の命を背負っている自覚をもって、再稼働に同意しないでください。
私達は昨年11月9日、12月26日、今年2月13日、説明会や第三者委員会や専門部会のあり方について要請を行ってきましたが、ほとんど採用されませんでした。会合が進められる中で、県民への説明のあり方、意見集約の仕方について、多くの問題点が浮かび上がってきました。
これから、佐賀県議会原子力特別委員会(16日)、知事・市町長会議GM21ミーティング(18日)など、知事が同意判断の材料にする重要な会合が続きます。
あらためて下記の点を要請いたします。
どのように対応されるのか、対応しないのであればその理由についてそれぞれの項目について早急に回答を求めます。
(1)十分に時間をとった住民説明会を全市町で追加開催すること
①全市町の地区ごとに説明会を開催すること。
②説明会の場において慎重・反対の立場の専門家にも登壇してもらい説明と討論に加わってもらうこと。
③周知期間を十分とり、回覧板をまわすなど、全世帯に行き届くようにすること。
④特に避難計画については、県の責任を明確にした上で細やかな説明をすること。
⑤子育て中の人、放射線の影響が大きい子ども達、離島の住民などが参加しやすいよう、平日夜の開催だけでなく、住民が参加しやすいように週末や昼間の時間帯での開催も行うこと。
⑥要援護者は説明会場に行くのさえ困難です。個別に説明の場を持つこと。
⑦参加対象者を「佐賀県民及び県内に勤務する人」に制限しないこと。
⑧質問を1人1分1問に制限しないこと。「スタート」「あと30秒」「あと10秒」「終わってください」などの大きなプラカードで発言者にプレッシャーを与えないこと。
⑨説明者が延々と同じことを繰り返したり、回答をはぐらかしたりするのをやめさせること。
⑩今般の説明会で国や九電がきちんと回答しなかったものについて、回答を求め、住民に開示すること。
⑪説明会での意見、県政提案箱やホームページなどの意見投稿について順次ホームページ上に掲載されていますが、これらの質問や意見に対して、県として回答し公開すること。意見受付は県外からも受け付けること。
(2)原発に慎重・反対の立場の専門家も入れた公開討論会を開催すること
⑫今般の説明会のように原発推進側からの一方的な説明だけでは、多くの住民には本当に「安全」かどうかはわかりません。原発に慎重・反対な立場の専門家も入れて討論することで、問題点が明確になります。説明会でも要望が出たように、公開討論会の開催を求めます。
⑬知事は公開討論会について「再稼働のような課題には主義主張を戦わせることは私は意義を見いだせない」と発言(3月2日県議会本会議)しました。再稼働推進も一つの「主義主張」ではないのですか。
⑭県民や専門家から国、九州電力、佐賀県に対して具体的な要請や質問がなされている問題について、討論のテーマとして取り上げること。
(3)広く意見を聴く委員会において幅広いテーマで時間をかけた議論をすること
⑮委員から「再稼働のアリバイに利用されるのなら許せない」「結論ありきではなく、もっと時間をかけた議論を促すべきだ」との声が出ています。アリバイづくりの場にしないでください。委員会で出された意見をどのように県の政策として反映させるのか、明確にすること。
⑯第二回委員会にて「一方的に説明されても理解できない。原発に慎重な専門家の意見を聴く場も設けてほしい」という意見も出ましたが、そういう場を設けること。
⑰意見聴取を行った専門家等の意見について、県としての姿勢と合わせて、委員に明らかにすること。
⑱原発は私達の命を傷つけ、生活の場、ふるさとを奪ってしまうような重大な問題です。県民各界の代表の方達に集まっていただいているからこそ、「安全性」についてだけでなく、幅広い観点での議論、意見聴取が必要です。説明会での意見も踏まえて、以下についても時間をかけて討議してください。
・福島原発事故の検証、住民の健康被害についての検証
・熊本地震のような連続大地震に対する原発の耐震性の検証や、全国の原発で問題となっている基準地震動過小評価の問題についての検証
・原子力防災・避難計画についての専門家と当事者による具体的な検証
・生命倫理的な観点
・知事が放棄した「同意権」は本来住民にあるもの。原発稼働に対する民主的な意志決定のあり方
(4)原子力安全専門部会に慎重・反対の立場の専門家を追加選任した上で、部会として県民への説明責任を果たすこと
⑲委員会が5回開かれた中で1回しか出席していない出光委員を解任すること。
⑳原発に慎重・反対の立場の専門家を追加選任すること。必要な参考人招致なども行うこと。
㉑そのうえで、テーマを「新規制基準の審査結果」と限定せず、説明会や広く意見を聴く委員会で出された意見・質問について、討議を深めること。
㉒意見聴取を行った専門家等の意見について速やかに公開し、指摘に対する県としての姿勢を明らかにすること。住民説明会や「広く意見を聴く委員会」などでも説明の場を設けること。
㉓田中委員長は「放射線被ばくによる健康影響は一人も出ていない」と発言しています。一方で、福島県では小児甲状腺がんの子どもが疑いを含めて184人見つかっています。こうした県民の命と健康にかかわる問題について、医療関係者の様々な立場の意見を委員会や専門部会で聴取し、県は積極的にそれらの情報を開示すること。
㉔柏崎刈羽原発を抱える新潟県では東京電力福島第一原発事故の原因究明を進めている現行の技術委員会に加え、健康への影響を検証する健康委員会と避難計画の実効性を検証する避難委員会を近く新設し、これら3つの検証を統括する検証総括委員会も立ち上げる方針を示しています。佐賀県においても住民の健康や避難計画について検証する委員会や専門部会を立ち上げること。
玄海原発対策住民会議(藤浦晧会長)
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会(石丸初美代表)
玄海原発反対からつ事務所(北川浩一代表)
原発を考える鳥栖の会(野中宏樹代表)
原発なくそう!九州玄海訴訟原告団(長谷川照原告団長)
佐賀県原発問題対策協議会(河西龍太郎会長)
さようなら原発1000万人アクション佐賀県実行委員会(原口郁哉委員長)
さよなら原発!佐賀連絡会(豊島耕一代表)
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会(野中宏樹共同世話人)
■報道
◆サガテレビ
◆脱原発訴える9団体が知事に要請書(2017/03/09 18:49)
https://youtu.be/A_L1Ff3ae5Y
脱原発を訴える県内9つの市民団体が知事に対し全ての市や町での住民説明会と公開討論会の開催などを要請しました。知事あての要請書を手渡したのは県内の脱原発を訴える9つの市民団体です。市民団体は、先月から今月にかけて県内5カ所で開かれた原発再稼働に関する県主催の住民説明会について「県民の声に真摯かつ丁寧に耳を傾けたとは言えない」と批判。県内の全ての市や町で説明会を開くことや、再稼働に慎重な専門家を交えた公開討論会を開くことなど24項目を盛り込んだ要請書を県の担当者に手渡しました。
【脱原発9団体の世話人豊島耕一さん】「参加してもどうせ事はそのまま進んでしまうのではないかという諦めている人は、ひょっとしたらいるかもしれない。何と言っても、本当に周知されているのかというのが問題だと思う」県の担当者は要請内容について知事に伝え、できるだけ速やかに文書で回答するとしています。