【3月16日、佐賀県議会原子力安全対策特別委員会傍聴記】

「説明会は、理解してもらうためでなく、話を聴かせるため」
「国が責任を持つべきもの。だから同意権はいらない」
2017年3月16日佐賀県議会原子力安全対策特別委員会傍聴記

3月16日、今日は佐賀県議会原子力安全対策特別委員会が開かれ、傍聴してきました。
再稼働県民説明会、「広く意見を聴く委員会」などの地元同意手続きについて、執行部への質疑となりました。知事は出席せず、主に新産業エネルギー課長、原子力安全対策課長が答弁しました。
県民ネットワークの徳光清孝県議(社民党)と、共産党の井上祐輔県議が、それぞれ1時間半以上追及。井上県議は、3月9日に9団体で提出した知事宛要請書に出した要請項目も多数取り上げてくれました。
が、県は県民の声を真摯に受け止めず、受け流すだけでした。

こんなふうに、再稼働は進められていくのです。

いつものことながら、終了後ため息が出てしまう傍聴でしたが、世論の力でじりじりと包囲していくしかありません。
4月には臨時県議会が開かれるかもしれませんし、その後の6月議会で議会としての「同意」が出てくるかもしれません。大事なのは、最後の局面にみんなで集まることではなく、そうなる前に議会や県市町、各団体などへ要請などを進めていくことです。
みなさん、どうぞ佐賀にいつでも集まってください!
できることがたくさんあります。

以下、主なやりとりを報告します。傍聴者は午前22人、午後8人でした。


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(1)説明会について
県「説明会は県民が説明を聞く必要があるということで開催。県として意見を聴きたいということ」
「参加者数は少なかったが、様々な観点から意見が出され、意義があった。すべてが反対、慎重だったと思っている。立地県として真摯に向き合っていかなければならないと気持ちを新たにした。再稼働について県民の思いは様々であり、引き続き幅広い意見を聴きたい」。
「そもそも説明会をもって、県民理解を進めようという目的ではなかった。このことだけをもって県民理解が進んだとは考えない。説明会の意見も判断材料の1つであり、メール投稿や、広く聴く委員会、GM21、県議会、そういったもろもろで知事は判断する」。
「追加開催は特段の事情がない限り、考えていない。市町が開催するなら県として支援はする」

(2)要望が出ている公開討論会開催について
県「当事者であるエネ庁、規制庁、内閣府、九電の話を聴くのが説明会の目的。賛成反対を壇上にあげて意見をたたかわせることを考えていない」
井上県議は「知事は本会議答弁で『主義主張をたたわかせるべきでない』といったが、推進も主義主張ではないのか。賛成反対それぞれの意見を同じ場所できいてもらう必要がある」と食い下がりましたが、
県は「3省庁と事業者は当事者。反対する質問が出たのだから、討論になったのではないか」と開き直りました。

(3)広く意見を聴く委員会について
県「賛成、反対、いろいろ意見を聴いた。賛成も条件付きが多い。福島事故からの不安。緊張感をもって真摯に向き合いたい。」
「団体の代表としての思いは3回目でしっかり出していただいた。特段の状況の変化がなければ、一同に会しての集まりはもうない。意見があれば出していただく。」

(4)同意権放棄について
井上県議が「県民の安全安心を守るために、強い意志をもって国に同意権の範囲の拡大を求めていただきたい」と迫りましたが、
県「きわめて国政レベルの課題なので、もっぱら国が責任をもつべき、どう位置づけられるかの議論が必要。同意権というのは、一方で責任を負うということだ。責任を持つのは国、事業者であり、自治体に負わせるべきではない」などと、県民の安全安心を守る責任を平然と放棄しました。

(5)「二元代表制」を持ち出す自民党
「わが国の地方自治体制度の根幹は二元代表制度。議会は知事と対等の機関であるから、執行部として認識して対応してほしい」と強調した自民党の井上常憲県議は、質問棒読みで予定どおりの問答で終わりました。二元代表制の意味がどこにあるのでしょうか?
また「説明会に瑕疵などはなかった。原子力を不安に思う信条、再稼働に理解を示すという個人の考えには埋めがたい差がある。県民すべてが賛成、すべてが反対というのはありえないから、十分な広報活動をやったかどうかが評価軸となる。現時点で、地元手続きに加えて、新たに実施すべき手続きがあるのか」と早期の判断を促すような質問をしました。


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