【全基差止第21回弁論:地震動過小評価問題、被告データを読み取り被告の主張の誤りを指摘。仮処分は新証拠提出へ】

■5月12日全基差止第21回弁論

5月12日、玄海原発全基差止裁判の第21回口頭弁論が佐賀地裁で開かれました。
大雨の降る中、知事「同意」への怒りとともに、たくさんの仲間が傍聴に集まりました。

◆全基差止口頭弁論で被告主張の誤りを指摘
基準地震動過小評価問題について被告九州電力が被告準備書面(12)で――

  • 「入倉・三宅式」は信頼性の高い震源インバージョンデータに基づいて作成された経験式である。
  • 国内の最新の18個の内陸地殻内地震に関する震源インバージョン結果とも整合性が確認された合理的なものである。

――と主張したことに対して、原告弁護団は準備書面(17)において

  • 被告の出した図からデータを読み取ってみたところ、「入倉・三宅式」のデータセット53個のうち、震源インバージョンに基づくものは12個(23%)に過ぎず、「入倉・三宅式」は震源インバージョンに基づいて作成された経験式という被告の主張は誤りである。
  • 震源断層面積は研究者が最初に仮定して設定するが、トリミング(切り縮め)という方法で「適切な面積に減ずる」ことが不可能であることがわかった。断層面積は研究者の勝手な仮定によって決まってしまう(熊本地震の断層面積は研究者によって2倍の開きがある)ことになる。研究者の仮定にすぎない数値を「入倉・三宅式」と対比しても何ら意味がない。

――と反論を展開、法廷でもその概要を説明しました。被告が「ばらつき」の考慮をしていないこと、現行評価が<「入倉・三宅方式」による地震モーメントの算出>及び<壇他の式による短周期レベルの算出>という二重の過小評価になっていることもあらためて指摘し、玄海原発の危険性が事実上推認されることになり、運転は許されないと主張しました。

次回弁論が7月28日(金)14時(前回指定済)次々回が9月8日(金)10時ということで決まりました。次々回には1日かけて証人尋問も行われることとなりました。2011年12月に提訴した本裁判もいよいよ大詰めです。
データを1つ1つ追及してきた市民側の気持ちが裁判官に届くことを願うばかりです。

◆再稼働仮処分、新証拠提出へ
3・4号機再稼働差止仮処分は1月16日の審理終結後、いまだに決定日の通知がありません。この日も裁判長からは何の言及もありませんでした。
しかし、4月24日に名古屋高裁金沢支部において原子力規制委員会委員長代理を務めた島﨑邦彦東大名誉教授が証人に立ち、「地震が起こる前に『入倉・三宅式』で算出した地震の規模(地震モーメント)は実際よりも過小評価になる。使い方が間違っている」と指摘する重要な証言を行ったことを受けて、玄海においても共通する重要な内容を含んでいることから、証言調書を証拠として提出するために審理再開の申し立てを行いました。決定日は2週間前に分かります。

再稼働、そして、運転そのものを止めるべく、みなさんのご注目&ご支援をよろしくお願いいたします。

<参考>
◆元規制委島崎氏「地震想定に欠陥」 大飯原発差し止め控訴審
 福井新聞 2017年4月25日
http://fukunawa.com/fukui/25300.html
◆大飯3・4号運転差止行訴-国・第16準備書面の批判
  地震動問題で改ざんデータまで持ち出し、なりふりかまわず過小評価にまい進する
http://www.jca.apc.org/mihama/News/news146/news146zisin.pdf

<玄海全基差止・行政訴訟@佐賀地裁の日程>
6月16日(金)14:00~行政訴訟第14回口頭弁論
7月28日(金)14:00~全基差止第22回口頭弁論
9月  8日(金)10:00~全基差止第23回口頭弁論(証人尋問)
9月15日(金)14:00~行政訴訟第15回口頭弁論


■裁判書面

ダウンロード
【全基差止】準備書面(17)
2017年5月8日原告提出 23ページ<基準地震動>
20170511全基原告準書17証拠説明書.pdf
PDFファイル 2.7 MB
ダウンロード
【仮処分】審理再開申立書
2017年5月8日 原告提出 5ページ<島﨑証言>
20170508仮処分審理再開申立書.pdf
PDFファイル 790.0 KB