原発50キロ圏にありながら「原子力災害対策検討委員会」をつくり、安定ヨウ素剤事前配布にまでこぎつけた兵庫県篠山市。
その原動力となった玉山ともよさんを10月1日、佐賀にお招きしました。
安定ヨウ素剤や原子力防災について、たくさんのヒントがありました。
市長のリーダーシップも素晴らしいのですが、それを突き動かしたのは市民の行動でした。
市長は「こんにちは市長室」「おでかけ市長室」という市民と対話する機会を定期的に開催。ここに「おしかけ市長室(笑)」といって何度も、しつこく仲間数人で“おしかけ”たそうです。
さらに、担当職員、ジャーナリスト(守田敏也さん)、理解ある医師...いろんなご縁がつながりあっていきました。
保守的な政治的風土の強い地域でどうしたら「原子力防災」が前に進むかを常に考えながら、しつこく、しつこく。
そして、その根本にあるのは、「環境正義」という考え方。
玉山さん自身、アメリカのウラン鉱山採掘地域を訪れ、そこで出会った方たちが健康被害で亡くなっていくというつらい経験をされ、
「困ったことは、より困っている人のところへしわ寄せされる」、こんなことが許されていいのかと。
その最大のものが放射性廃棄物。
誰も助けてくれない中で、どうしたらいいのか?
大事なことは、自分たちが立ち上がること、自分たちの声をとどけること!
これを実践されたのでした。
佐賀県の場合は直接の立地県であり、「再稼働反対」を一方で断固叫び続けなければならないと思いますが、一方で「原子力防災」という角度から、命を守る課題として地域で具体的にできることをさらに進め、原発と放射能を正しく怖がる人を増やしていきたいですね。一足飛びにはいかないにしても、「原発はいらない!」という世論をじわじわとつくっていくしかありません。
篠山だけが特別な好条件があったわけでなく、市民が根本思想をブレずに中心に据えながら、良い条件を活かして(引き出して/作り出して)、しつこく取り組んでいったこと、そこに学びたいと思います。
お話会の後半は、玄海原発周辺地域での安定ヨウ素剤の備蓄・配布状況、特に離島住民の避難の状況なども共有しました。
10月5日の安定ヨウ素剤事前配布を求める佐賀県知事要請など、次の行動につなげていきましょう。