11月29日、佐賀で行われた「科学的特性マップに関する意見交換会」に参加してきました。
参加者24人。ほとんどが年配の男性とネクタイ・スーツ姿の男性でした。
報道関係者が20人ぐらいおり、中には東京からの記者もいました。
また、スーツ姿のNUMOや経産省の職員が多く見られ、参加者よりも大人数に感じました。
冒頭、NUMO理事が、カネでの学生動員問題について「申し訳ない。お詫び申し上げる」と謝罪。
経産省調整官は「動員問題は政策の根幹にかかわる問題。今後細心の注意を払う」としたうえで「福島のことを胸に刻み、エネルギー問題に全力で取り組んできた。核ごみは現世代で解決の道筋をつける必要がある」などと述べました。
まず、施設完成予想図が整然と映し出される説明動画15分。
続いて、NUMO理事と経産省課長補佐からの地層処分と「科学的特性マップ」の説明が1時間半ありました。中身は下記のパンフレットの通りです。
http://www.chisou-sympo.jp/iken2017/
要約すると――
「人間が管理し続けるのは困難だから、地下深くに埋めてしまおう。
それこそが、我々の責任だ。
10万年の安全性はシミュレーションで確認している。
全国どこでも処分地になりうるマップをつくった。これで一歩前進。
原子力を安心して進めよう」
京都大の佐々木隆之教授と、九電の電源地域コミュニケーション部長もコメント。
「皆さんにも、長い道のりの一歩を踏み出していただいた」(佐々木氏)そうです。
こんな無責任な道のりを共に歩むなんて、とんでもないことです!
後半のグループセッションに入る前に短時間ですが全体質疑がありました。後半は所用で参加しないつもりだったので、ここで言うべきことを言っておこうと挙手しました。挙手したのは、あとYさんだけでした。
以下を質問しました――
・10万年も人間の生活環境から遠ざけておく必要があるという、とんでもないものを人間がつくってしまった。未来の世代に対して無責任極まりない。この責任を、あなた方一人ひとりはどう感じているのか。
・カネでの動員、佐賀では古川康前知事に端を発した九電やらせメール事件もあったが、不信感がたまる一方。佐賀会場でも事件発覚前にそのような呼びかけがされたのではないか。これまでの検証と、結果の公開をいつするのか。責任はどうとるのか。
・参加申し込みに氏名、住所、電話、メール、年齢まで必ず書かせているが、個人情報収集をやめてもらいたい。
・そもそもNUMO=「原子力発電環境整備機構」ってどういうこと?原発を進めるための環境づくりの組織ということか。そもそもの姿勢が間違っているのではないか。
つくってしまった以上、処分はしなければならないが、安全な方法などないではないか。今、必要なのは、これ以上、核のゴミを未来の世代におしつけないこと。再稼働を止めることだ。垂れ流しをやめることだ。その点こそ、議論の出発点、前提になるべきだ。議論しないのは間違っている。
回答は――
経産省「国の方針として原子力依存を可能な限り低減させ、原発は重要なベースロード電源…」
九州電力「福島を教訓に、安全を期して…。核のゴミ問題は私たちの世代で問題解決しなければならない」・・・と、お決まりの酷い言葉でした。
NUMOは「佐賀ではなかった。評議委員会で調査チームをつくることを検討している。いつまでに結果を出すか期限は設けていない」と答えました。「政策の根幹に関わる」と言いながら、未だに本格的調査チームを起動さえしないままに、アリバイ作りのためのスケジュールをこなしているように見えました。
後半のグループワークに残った参加者は5人だけ。2つのグループに分かれて、たくさんのスーツ職員に囲まれての話になったようです。
今回の取り組みの後援団体は「文部科学省、日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、全国商工会連合会、日本原子力学会、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構、電気事業連合会、九州電力株式会社となっていました。経済団体がなぜ入っているんでしょうか。原発推進が大前提というのがこんなところに現れています。
いずれにしても今後も、原発推進勢力は「核ごみ問題をとりくんでいる」姿勢を見せるために、カネ(血税)と組織をふんだんに使って、色んなことを仕掛けてくるでしょう。
私たちも、その危険な問題点ひとつひとつをよく知り、声をあげていかねばと、強く思いました。