【国が地震動データ改ざん~12/1佐賀地裁口頭弁論報告】


12月1日、佐賀地裁で玄海原発の稼働差止を求める行政訴訟第16回口頭弁論、全基差止第24回口頭弁論が開かれました。
神戸製鋼データ不正問題の影響で、玄海再稼働の時期が2か月延期されるという“朗報”の中で迎えた法廷となりました。

※原告意見陳述の様子はコチラから→
https://saga-genkai.jimdo.com/2017/12/03/a/


<国のデータ改ざんが明らかに>
行政訴訟では、神鋼ならぬ、国のデータ改ざん問題が浮上しています。
最大の争点、基準地震動過小評価問題で国がデータ改ざんを行ったことが明らかになりました(被告第13準備書面)。国が証拠として出した図表にある地震動の数値を原告が実際に読み取ってみると、引用元の論文とまったく違った数字になっていたのです。数値を置き換えることで、彼らの主張を正当性しようとしたとしか思えません。私たちの命の安全に関わる重大な問題で、このような改ざんを行うなど、断じて許されません。釈明を求めました。
また、地震のエネルギーの大きさを求める経験式について、国や電力会社が金科玉条のように扱う「入倉三宅式」がいかに根拠薄弱なものかを、具体的な検証に基づいて指摘しました。これらを全面的に盛り込んだ原告準備書面(12)のポイントを、弁護団は鋭く熱く主張しました。
次回、国はどう釈明、反論してくるでしょうか、大注目です。

<行政訴訟に九電参加>
行政訴訟は国に対して「設置変更許可処分(再稼働合格)の取り消し」を求めるものですが、11月8日、九電が利害当事者としての参加を求めました。私たちは反対する意見書を出しましたが、裁判所はこれを認めました(決定書)。最近の全国の原発訴訟で同様のことが起きているそうですが、裁判がここまで進んだ段階での参加申立の背景には電力会社の危機感があるのでしょうか。今回の行政訴訟の弁論から、国代理人と並んで、九電代理人弁護士も被告席に並んで座りました。

<全基差止、九電は2号機についての主張計画>
全基(2・3・4号機)差止では、九電の「2号機分離」提案は裁判所から認められませんでしたが(7月)、九電が今回、分離されない下で2号機についての主張方針を示して(上申書)、今回の法廷は終わりました。

<次回3/23傍聴を!>
次回法廷は3月23日(金)14時~行政訴訟第17回口頭弁論、14時半~全基差止第25回口頭弁論です。
原告意見陳述も予定しています。次々回、6月1日(金)も同じ時間です。
常に動きがあり攻防の激しさが増す法廷を、傍聴者でいっぱいにして、その行方を一緒に見守ってください!
また、原告団では定期的に書面学習会にも取り組んでいます。私たち自身が内容を基本的なことから理解し、運動のチカラで、たくさんの人たちに知らせていきたいと思います。学習会にもぜひご参加ください。


■裁判書面

ダウンロード
原告 準備書面12
2017年11月24日 原告提出
20171124行政原告準備書面12.pdf
PDFファイル 2.2 MB
ダウンロード
被告 2号機上申書
2017年11月24日 被告提出 主張立証方針についての上申書
20171124全基被告2号機上申書.pdf
PDFファイル 196.4 KB

■追記:2017年12月1日の法廷より、新たに弁護団に加わっていただきました中井雅人弁護士を紹介します。

 

中井雅人弁護士 

 

自己紹介 :2015年弁護士登録、弁護士3年目に入ります。私は、法学部出身ではなく、しかも在学中のほとんどは学業とは無関係なことで過ごしましたが、卒業前の約1年、一念発起し、外国人労働者に関する卒論を書いたことや、大阪にあるTRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)という支援団体に加わって活動したことなどをきっかけに、労働者や労働組合、外国人をはじめとしたマイノリティの権利のために闘う弁護士になりたいと思い、弁護士を志しました。弁護士登録と同時に暁法律事務所(東京)に入所し、2017年1月、生まれ育った大阪で「暁法律事務所」を独立開業しました。  

 思い返してみれば、大学時代に広島の平和記念式典に参加したり、法科大学院在学中に福島原発事故があったり、司法試験浪人中は斉藤和義さんの「ずっとウソだった」を聞きながら勉強したり、司法修習中には原発訴訟も取り上げたシンポジウムに実行委員として参加したり、と原子力や原発にも関心があり、「きっかけ」があれば原発訴訟に関わりたいと思っていました。このたび「きっかけ」をいただきました。運動から勉強させていただくと同時に、微力ながら運動の成功に貢献したい所存です。