【広島高裁・伊方差止決定を受け 阿蘇巨大噴火で玄海原発も立地不適!神鋼不正事件を受け徹底調査を!再稼働撤回を求める知事要請行動の報告】

【阿蘇巨大噴火で玄海原発は立地不適!神鋼不正事件を受け徹底調査を!再稼働撤回を求める知事要請行動の報告】

12日26日、阿蘇巨大噴火を理由に伊方原発を止めた広島高裁決定と、神戸製鋼データ不正事件を受けて、山口祥義・佐賀県知事に再稼働同意撤回を求める要請行動を、九州各地30団体の連名で行ってきました。

玄海原発も伊方原発と同様に阿蘇巨大噴火の火砕流が到達する可能性があり、玄海原発30キロ圏には9万年前の10メートルの高さで押し寄せたことも分かっている(※資料参照)ことから、玄海原発も当然立地不適となるはずです。

また、玄海原発3・4号機には原子炉容器や格納容器の重要部位に神戸製鋼製の部材が使われていますが、神戸製鋼による自主検査がたった1年だけであり、不正があったかどうか全貌が未解明のままです。

こうしたことから、知事に対して再稼働同意撤回と、県独自の原発の安全について専門委員会の常設・検証を求める要請を行いました。

 

知事は広島高裁決定を受けて「精査したい」とコメントしていたが、その後、具体的に何をしたのか、知事とどういう話をしているのかを問うと、県担当者は「今日は要望を聞きにきただけなので、それは答えられない」と突っぱねるばかりでした。直接会って話をしている時に、こういうことの概略さえ話そうとしない県の姿勢に、今日も最初から不信感が募るばかりでした。

知事同意にお墨付きを与えただけで終了した「原子力安全専門部会」において、阿蘇巨大噴火による火砕流到達可能性ついて議論はされたのかを問うと、「議論もしていなかった」ということでした。その後も専門家などからの意見聴取も進めていないとのことでした。

神戸製鋼データ不正について「1年分の自主点検だけであること」などを承知しているのか問うと「詳細は把握していない」「県として詳しいことは調べられない」と回答しました。住民の命にかかわる重大な問題に対して、あまりに無責任な佐賀県の姿勢が今日もまた露わになりました。

要請に対するすみやかな回答を求めました。

 

火山や神鋼データも大問題。さらに、それだけでなく、問題は山積・噴出しています。

再稼働を止めるため、引き続き自治体や議会などへの要請を強めていきましょう。

さしあたっては、九州電力本店(1月9日午前10時~)、国・原子力規制委員会に対して、同じ趣旨での要請を行う予定にしています。


  要 請 書  

伊方原発3号機差止決定:玄海原発も阿蘇巨大噴火で立地不適

神戸製鋼所データ不正事件の全貌は未解明

再稼働同意撤回と、県独自の専門委員会の常設と検証を求めます

 

佐賀県知事 山口祥義 様

 

「原発をもう動かしてほしくない」という住民の不安を無視して玄海原発34号機の再稼働が強行されようとしています。しかし、神戸製鋼所データ不正事件により起動予定が2か月延期となりました。

問題はそれだけにとどまらず山積しており、さらに次々と噴出しています。424日の知事の再稼働同意の撤回を求めます。

 

(1)伊方原発3号機運転差止決定:玄海原発も阿蘇巨大噴火で立地不適

1213日、広島高等裁判所は仮処分抗告審において伊方原発3号機の運転差止めを認める画期的かつ当然な判断を下しました。

新規制基準で火山の審査に用いられる火山影響評価ガイド(火山ガイド)は、立地評価において、原発の運用期間中に火砕流が到達する可能性が十分に小さいことを示すように電力会社に要求しています。評価対象は、国内最大規模の阿蘇カルデラ破局的噴火において火砕流が到達した距離が160キロであると考えられていることを根拠に、原発から「半径160キロ」の範囲とされました。

広島高裁は火山ガイドを厳格に適用し、阿蘇カルデラから130キロの距離にある伊方原発では破局的噴火により火砕流が到達する可能性があり、その可能性は十分小さいと評価することはできないとして、伊方原発の立地は不適であると断じたのです。問題なしとした原子力規制委員会の判断を「不合理」だと認定しました。

 

阿蘇カルデラから同じく130キロにある玄海原発は、そのまま同じ理由で立地不適となります。

玄海原発30キロ圏内にも9万年前の阿蘇巨大噴火による火砕流が到達し、層厚10メートル以上の火砕流堆積物が確認されています。九州電力は審査会合(2016年9月16日)において、原子力規制委員会からの指摘を受けてこの事実を明らかにしました。しかし、九電は阿蘇カルデラの火砕流について「敷地到達可能性は認められない」として、考慮の対象からはずしたのです。そして、規制委は「(火砕流は)もっと先まで流れていったに違いない」(石渡委員)と指摘しておきながら、九電の判断を追認しました。

川内原発も姶良カルデラ(桜島)など3つものカルデラの破局的噴火による火砕流の到達範囲にあります。

いずれも、「原発の運用期間中に破局的噴火が発生し、火砕流が到達する可能性が十分に小さいこと」が、九州電力により立証されておらず、「立地不適」なのです。

 

 九電の瓜生社長は伊方決定を受け、破局的噴火の際の使用済み核燃料の搬出について、「兆候から噴火までの時間は今日、明日という短さではないので十分対応できる」と述べましたが(1215日記者会見)、多くの火山学者が「破局的噴火の前兆現象など誰もわからない」「“少なくとも数十年以上前に兆候を検知できる”という九電の主張は荒唐無稽であり、学問への冒涜」(岩波『科学』20156月号「火山学者緊急アンケート」)などと指摘しているように、事前に対処するのは現状の科学では不可能なのです。

また、広島高裁決定は、たとえ火砕流が敷地に到達しない、より規模の小さな噴火であっても、火山灰評価における火山灰の濃度・層厚は過小評価になると指摘しています。濃度が3.8グラム/立方メートルと想定されている玄海原発についても、3.3グラム/立方メートルと想定されている川内原発についても火山審査のやり直しが必要です。

こうしたことから、玄海原発と川内原発は立地不適であり、稼動ならびに再稼働準備をただちに中止すべきです。

 

(2)神戸製鋼所データ不正事件:すべての部材について徹底調査を

今年10月、神戸製鋼所とその子会社がアルミや鉄鋼製品の品質管理データなどを改ざんしていたことが発覚しました。

原発及び原子力関連施設でも、東京電力福島第二原発や日本原燃のウラン濃縮工場に納入された金属製部品に不正品が見つかりました。神戸製鋼所及び関連グループ企業の製品は、原子炉容器や配管、燃料被覆管、燃料輸送、貯蔵施設に至るまで原子力産業で広く使用されていますが、強度不足などの欠陥があれば、放射能の大量放出を含むような過酷事故にも繋がりかねないことを深刻に受け止め、改善策に全力を注ぐのが企業として最大の仕事です。

124日、九州電力は玄海原発34号機において、原子炉格納容器の鉄筋や溶接継手、燃料被覆材、溶接材料等に神戸製鋼等で製造された部材が確認されたと発表しました。その中で「不適切行為のあった製品ではないことを検査記録より確認」、「検査プロセスにおいて自動化が図られたり、複数人による確認が実施されていて、検査データへの人的関与による改ざんは確認されなかった」として、「品質に問題がないと判断する」としています。しかし、神戸製鋼所自身が「組織ぐるみ」で不正を行った(108日、梅原副社長記者会見)と認めている中で、検査の「自動化」や「複数人による確認」がなされたことなどでは不正がなかったと判断できる根拠になりません。

さらに、神戸製鋼所の「自主点検」はこの1年間に製造された製品についてだけです。品質データも3年しか保存されていません。40年以上前から改ざんが行われてきた中で、これでは改ざんの全貌が明らかになるわけがありません。10万年単位での安全管理が厳格に求められる原発において、企業倫理が欠如しているとしか言えません。

また、一部の弁や配管、神戸製鋼所がアレバ社と共同で設計・製造した使用済核燃料およびMOX燃料の輸送容器等についても、まだ明らかになっていません。

1220日には神戸製鋼所に続き三菱マテリアルの子会社でも、高浜原発、大飯原発における検査データの改ざんが発覚しました。

事業者を厳しくチェックせず、このような状況を許してきた原子力規制委員会に、国民を守るための機関としての資格はありません。

 

県民の命と安全・安心を守る義務のある知事に対して、以下、要請します。速やかな回答を求めます。

 

【 回答を求める要請事項 】

(1)問題山積の玄海原発34号機の再稼働を止めるよう、九州電力と国に求めること

①伊方原発3号機運転差止決定を重く受け止め、同様に立地不適となる玄海原発の再稼働を止めるように九州電力と国に求めること。

②神戸製鋼所から玄海原発に納入された部品・材料等について、この1年間だけでなく、原子炉建設当初からの徹底した調査を、時間で区切ることなく行い、品質管理データや検査結果の数値をすべて公表させるよう、九州電力と国に求めること。三菱マテリアルや、他のデータ不正が明らかになった企業の製品についても、同様の調査をさせること。

 

(2)佐賀県独自の原発に関する専門家委員会を常設すること

①上記で述べたような火山影響や品質データ不正などの問題について、県原子力安全専門部会を早急に招集し、検証し、県民に明らかにすること。

②原発事故の被害は佐賀県民にとどまりません。九州をはじめ全国に及びます。住民の不安を取り除くことが知事の第一の務めです。原子炉の安全性、地震・津波、火山、避難計画、健康影響など山積する課題についても、原子力に慎重な立場の方を含めた専門家による専門委員会を常設し、住民の命と暮らしを守る立場から検証すること。

 

 2017年12月26日

 <提出団体> あしたの命を考える会 / 生命(いのち)を考える福島と鹿児島の会 / 今を生きる会 / 大村きんもくせいの会 / 風ふくおかの会 / 玄海原発反対からつ事務所 / 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 / 原発いらない!おおむら市民の会 / 原発知っちょる会 / 原発なしで暮らしたい・長崎の会 / 原発を考える鳥栖の会 / 原発なくす蔵☆全国原発関連情報☆ / 子どもを守りたい母の会 / 佐賀県平和運動センター / さよなら玄海原発の会・久留米 / 戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会 / 全九電同友会(長崎) / 脱原発!電力労働者九州連絡会議 / たんぽぽとりで / 怒髪天を衝く会 / 博多湾会議 / 東区から玄海原発の廃炉を考える会 / 被ばく医療を考える会かごしま / 福岡で福島を考える会 / プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 / 放射能市民測定室・九州 / ボノワitoshima  (27団体)

<賛同団体>「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団・弁護団  / さよなら原発!佐賀連絡会 / 佐賀県原発問題対策協議会    (3団体)

(連絡先団体)玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

 

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■報道

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◆佐賀新聞