【火山で立地不適!神鋼データ不正は未解明!玄海再稼働中止を!九州電力に要請してきました】

1月9日、九州電力本店に対して、阿蘇巨大噴火で玄海原発は立地不適となることと神戸製鋼データ不正事件の全貌が未解明であることから、玄海原発3・4号機再稼働の中止を求める要請を31団体連名で行ってきました。
石丸初美代表は「日本中が心配している。火砕流が到達する可能性があるのだから、立地不適は当然。九電はお客様である消費者を守るために強い立場で、ウソをついていた神鋼に対して、1年分の自主検査で済ますのでなく、徹底した調査を強く求めてほしい」と求めました。
事前に質問をFAXを九電に伝え、可能な範囲で口頭で答えるよう求めていましたが、担当課長は「今、お答えできません。後で調整してお答えします」の一点張りでした。
それでも、阿蘇の巨大噴火時に10メートルの火砕流が玄海原発30キロ圏に到達したことについて九電は「そういうことがあったことは聞き及んでいる」、神戸製鋼が自主検査をしたのは1年分だけであることについて「...はい」ということだけは、当事者九電の口から確認はできました。それらの詳細を九電には説明する義務があります。
2月末から3月上旬にかけて時間をとっての交渉の場を設定することは約束してもらいましたので、引き続き追及していきたいと思います。 国や自治体、議員に対しても粘り強く働きかけ、再稼働を引き延ばし、そして止めましょう! 権力者と私達の根競べですね。
みなさんからもぜひ九州電力に対して不安や疑問の声を伝えてください→
九州電力本店:092-761-3031

  要請・質問書  

伊方原発3号機差止決定:玄海原発も阿蘇巨大噴火で立地不適

神戸製鋼所データ不正事件の全貌は未解明

玄海原発34号機再稼働の中止を求めます

 九州電力社長 瓜生道明 様

 「原発をもう動かしてほしくない」という住民の不安を無視して玄海原発34号機の再稼働が強行されようとしています。しかし、神戸製鋼所データ不正事件により起動予定が2か月延期となりました。

問題はそれだけにとどまらず、山積しており、さらに次々と噴出しています。安全性に関する専門家の警告を無視し、放射能に対する住民の不安に何も応えず、核のゴミのツケを未来の世代に押し付けるのが原発です。

一企業である貴社の経営のために、住民に被ばくの犠牲を押し付けてまで、原発をなぜ動かすのですか。何より東京電力福島原発事故は終わっていないのです。玄海原発34号機再稼働の中止を求めます。

 

【 要請事項 】

 (1)伊方原発3号機運転差止決定を重く受け止め、同様に立地不適となる玄海原発の再稼働を止めること。

(2)神戸製鋼所と三菱マテリアルから玄海原発に納入された部品・材料等について、この1年間だけでなく、原子炉建設当初からの徹底した調査を、時間で区切ることなく行い、品質管理データや検査結果の数値をすべて公表すること。

  

【 要請理由 】

 (1)伊方原発3号機運転差止決定:玄海原発も阿蘇巨大噴火で立地不適

1213日、広島高等裁判所は仮処分抗告審において伊方原発3号機の運転差止めを認める画期的かつ当然な判断を下しました。

新規制基準で火山の審査に用いられる火山影響評価ガイド(火山ガイド)は、立地評価において、原発の運用期間中に火砕流が到達する可能性が十分に小さいことを示すように電力会社に要求しています。評価対象は、国内最大規模の阿蘇カルデラ破局的噴火において火砕流が到達した距離が160キロであると考えられていることを根拠に、原発から「半径160キロ」の範囲とされました。

広島高裁は火山ガイドを厳格に適用し、阿蘇カルデラから130キロの距離にある伊方原発では破局的噴火により火砕流が到達する可能性があり、その可能性は十分小さいと評価することはできないとして、伊方原発の立地は不適であると断じたのです。問題なしとした原子力規制委員会の判断を「不合理」だと認定しました。

阿蘇カルデラから同じく130キロにある玄海原発は、そのまま同じ理由で立地不適となります。

玄海原発30キロ圏内にも9万年前の阿蘇巨大噴火による火砕流が到達し、層厚10メートル以上の火砕流堆積物が確認されています。九州電力は審査会合(2016年9月16日)において、原子力規制委員会からの指摘を受けてこの事実を明らかにしました。しかし、九電は阿蘇カルデラの火砕流について「敷地到達可能性は認められない」として、考慮の対象からはずしたのです。そして、規制委は「(火砕流は)もっと先まで流れていったに違いない」(石渡委員)と指摘しておきながら、九電の判断を追認しました。

川内原発も姶良カルデラ(桜島)など3つものカルデラの破局的噴火による火砕流の到達範囲にあります。

いずれも、「原発の運用期間中に破局的噴火が発生し、火砕流が到達する可能性が十分に小さいこと」が、九州電力により立証されておらず、「立地不適」なのです。

  九電の瓜生社長は伊方決定を受け、破局的噴火の際の使用済み核燃料の搬出について、「兆候から噴火までの時間は今日、明日という短さではないので十分対応できる」と述べましたが(1215日記者会見)、多くの火山学者が「破局的噴火の前兆現象など誰もわからない」「“少なくとも数十年以上前に兆候を検知できる”という九電の主張は荒唐無稽であり、学問への冒涜」(岩波『科学』20156月号「火山学者緊急アンケート」)などと指摘しているように、事前に対処するのは現状の科学では不可能なのです。

また、広島高裁決定は、たとえ火砕流が敷地に到達しない、より規模の小さな噴火であっても、火山灰評価における火山灰の濃度・層厚は過小評価になると指摘しています。濃度が3.8グラム/立方メートルと想定されている玄海原発についても、3.3グラム/立方メートルと想定されている川内原発についても火山審査のやり直しが必要です。

こうしたことから、玄海原発と川内原発は立地不適であり、稼動ならびに再稼働準備をただちに中止すべきです。

 

(2)神戸製鋼所データ不正事件:すべての部材について徹底調査を

今年10月、神戸製鋼所とその子会社がアルミや鉄鋼製品の品質管理データなどを改ざんしていたことが発覚しました。

原発及び原子力関連施設でも、東京電力福島第二原発や日本原燃のウラン濃縮工場に納入された金属製部品に不正品が見つかりました。神戸製鋼所及び関連グループ企業の製品は、原子炉容器や配管、燃料被覆管、燃料輸送、貯蔵施設に至るまで原子力産業で広く使用されていますが、強度不足などの欠陥があれば、放射能の大量放出を含むような過酷事故にも繋がりかねないことを深刻に受け止め、改善策に全力を注ぐのが企業として最大の仕事です。

124日、九州電力は玄海原発34号機において、原子炉格納容器の鉄筋や溶接継手、燃料被覆材、溶接材料等に神戸製鋼等で製造された部材が確認されたと発表しました。その中で「不適切行為のあった製品ではないことを検査記録より確認」、「検査プロセスにおいて自動化が図られたり、複数人による確認が実施されていて、検査データへの人的関与による改ざんは確認されなかった」として、「品質に問題がないと判断する」としています。しかし、神戸製鋼所自身が「組織ぐるみ」で不正を行った(108日、梅原副社長記者会見)と認めている中で、検査の「自動化」や「複数人による確認」がなされたことなどでは不正がなかったと判断できる根拠になりません。

さらに、神戸製鋼所の「自主点検」はこの1年間に製造された製品についてだけです。品質データも3年しか保存されていません。40年以上前から改ざんが行われてきた中で、これでは改ざんの全貌が明らかになるわけがありません。10万年単位での安全管理が厳格に求められる原発において、企業倫理が欠如しているとしか言えません。

また、一部の弁や配管、神戸製鋼所がアレバ社と共同で設計・製造した使用済核燃料およびMOX燃料の輸送容器等についても、まだ明らかになっていません。

1226日には神戸製鋼所に続き三菱マテリアルの子会社でも玄海原発における検査データの改ざんが発覚しました。

九電は神戸製鋼所にとって「お客様」であり、データ不正事件についての被害者の立場にあります。九電のお客様である消費者の安全を守るために、当然徹底的に調べて公表すべきです。

事業者を厳しくチェックせず、このような状況を許してきた原子力規制委員会に、国民を守るための機関としての資格はありません。

  

【 質問事項 】

 (1)<伊方原発差止決定>阿蘇カルデラ噴火で玄海原発も立地不適となる問題について

①広島高裁決定を九電としてどのように受け止め、今後、原発の安全にどう活かそうとしているのか。

②阿蘇カルデラ噴火で玄海原発に火砕流が到達する可能性について、九電の資料では「認められない」としている。なぜそのように言えるのか、検討経過を具体的に示されたい。その根拠となる専門家の見解や資料を示されたい。

9万年前の阿蘇カルデラ噴火では、火砕流が玄海原発30キロ圏にも到達していることを九電自身が規制委に報告しているが、それはどのようなものであるか具体的に示されたい。

前述のように規制委・石渡委員が指摘した「(火砕流が)もっと先まで流れていったに違いない」という可能性について、九電は否定するのか。どのように考えているのか示されたい。

④破局的噴火による火砕流到達可能性について関係自治体と住民(少なくとも30キロ圏にかかる3県と8市町)に対して詳細に説明する必要があるが、上記の点などについてこれまで説明してきたか。また、これからする予定はあるのか。

⑤火山灰濃度については、今行われている規則改定(広島高裁決定前)により従来の100倍規模に引き上げられたが、破局的噴火やそれに準ずる規模の噴火を考慮すれば、その改定値(玄海原発は3.8グラム/立方メートル)さえも過小評価となる。この改定にともなった対策についての資料を示されたい。また、見直す予定はあるか。

⑥九電はこれまで「少なくとも数十年以上前に破局的噴火の兆候を検知できるから、使用済み核燃料搬出は事前に対処可能」と言ってきたが、多くの火山学者から「現状の火山学ではそこまで言えない」「九電の主張は荒唐無稽」などと批判の声があがっている。「対処可能」だという根拠や専門家の見解を示されたい。また、使用済み燃料の搬出先の場所、施設の規模、費用、建設期間、運搬経路・手段等具体的に示されたい。

 

(2)神戸製鋼所データ不正問題について

①神戸製鋼所がデータ不正発覚を受けて調査したのは、20169月から20178月にかけて出荷した1年分の製品についての自主検査のみだと認識しているが、その通りか。

②神戸製鋼所の元社員の証言では不正は40年前からあったという(毎日新聞1017日付)。不正のあった製品の中に原発関連のものがあったか調べたのか。原子炉建設当初からの製造記録を、時間を区切らず、すべて確認するべきではないか。神戸製鋼所に40年前からの調査を要求するのは当然だが、要求したのか。今後するつもりはあるのか。

③溶接部材に関して「検査プロセスは自動化が図られ、また複数人による確認が実施されていることから、人的関与による改ざんは確認されなかった」として「品質に問題がないと判断する」と、九電124日付の報告には記載されている。神戸製鋼所が組織ぐるみの不正を認めている中で、なぜ「問題ないと判断」できるのか、根拠を示されたい。

④原子炉格納容器のテンドンや原子炉容器の溶接材も神戸製鋼所製である。このような安全上非常に重要な部材で強度不足があればどのような事態となるのか。

また、テンドンや溶接材については「建設時の検査と定検の実施をしており、異常は認められていない」と記載があるが、原子炉容器の内側にある溶接部や、格納容器のコンクリート内部にあるテンドンをどのように検査するのか。

⑤神戸製鋼所はアレバ社と共同で使用済核燃料およびMOX燃料の輸送容器も製造しているが、九電はこれを使用しているのか。不正はあったのか。

⑥三菱マテリアル子会社については、玄海34号機の原子炉冷却用ポンプや格納容器内の機器の部材においてデータ書き換えが行われていた製品が使われている可能性があるという。九電は「JIS規格を満足している」ことから性能に影響しないというが、ではなぜデータ書き換えを行ったのか。

⑦関係自治体と住民(少なくとも30キロ圏にかかる3県と8市町)への説明はしたのか。これからする予定はあるのか。

以上

 2018年1月9日

 

<提出団体> あしたの命を考える会 / 生命(いのち)を考える福島と鹿児島の会 / 今を生きる会 / 大村きんもくせいの会 / 風ふくおかの会 / 玄海原発対策住民会議 / 玄海原発反対からつ事務所 / 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 / 原発いらない!おおむら市民の会 / 原発知っちょる会 / 原発なしで暮らしたい・長崎の会 / 原発を考える鳥栖の会 / 原発なくす蔵☆全国原発関連情報☆ / 子どもを守りたい母の会 / 佐賀県平和運動センター / さよなら玄海原発の会・久留米 / 戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会 / 全九電同友会(長崎) / 脱原発!電力労働者九州連絡会議 / たんぽぽとりで / 怒髪天を衝く会 / 博多湾会議 / 東区から玄海原発の廃炉を考える会 / 被ばく医療を考える会かごしま / 福岡で福島を考える会 / プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 / 放射能市民測定室・九州 / ボノワitoshima  (28団体)

<賛同団体>「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団・弁護団  / さよなら原発!佐賀連絡会 / 佐賀県原発問題対策協議会  (3団体)

 

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■報道

◆NHK

◆朝日新聞