■阿蘇カルデラ火山の破局的噴火 破局的噴火により原発が立地不適となる問題では、「火山噴火は予測できない」というのが火山学者や司法の総意となっているのに、九州電力は「噴火は起きない。100年以上前に前兆をとらえることができる」と繰り返しました。具体的に聞いても、「傾向として分かる」「総合的に判断して」などと根拠も示さず曖昧な言葉で逃げるばかりでした。
■神戸製鋼データ不正 データ不正が発覚した神戸製鋼と三菱マテリアルの部材が玄海原発にも使用されていた問題。九電は「問題はないと確認している。大丈夫だ」と繰り返しました。私たちは「40年にわたる組織的不正があった中で、1年分の自主点検だけで『問題なし』と言われても、信用できない」として、第三者機関の検証を求めました。
■使用済みMOX燃料:搬出先「今はない」 (やりとり抜粋) 私たち:使用済みMOX燃料何年貯蔵するのか? 九電:一概には言えないが、通常の燃料と同様に一般的には10~20年。十分安全な冷却ができる期間貯蔵する。 私たち:MOXですよ!?確実に冷却するのにどれくらいか? 九電:(答えられず黙ってページをめくり続ける)それに関しては今答えられない。(会場から小声で「500年たい…」の声。) 私たち:それで冷やしたらどこに搬出するんですか? 九電:六ケ所再処理工場へ… 私たち:嘘ついたらいかん!核燃料サイクルは破綻しています。処理技術が定まらないままで見切り発車するということか?行き場もないのに再稼働するんですか? 九電:(答えられず黙る)今はない、これから取り組んでいく。 最後に、破局的噴火はないという根拠を示す資料など、今回答えてもらえなかった点を複数再確認し、回答してからでないと再稼働はあり得ないと強く求めました。 こうした質疑で露呈する、九電の「安全」に対する意識の低さ、「リスク」に対する想定の甘さは致命的です。「安全神話に陥らないように安全性の向上を目指す」としながらも、使用済み核燃料の処理計画もないまま再稼働に踏み切ろうとする姿勢からは、原発の稼働に住民の命がかかっているという自覚など微塵も感じられません。
そんな九州電力が、3月23日にも玄海原発3号機を再稼働しようとしています。 まだまだできることがあります。止めるために、一緒に声をあげましょう!
要請・質問書
国の審査を通っても「リスクゼロではない」
玄海原発3・4号機再稼働の中止を求めます
2018年3月1日
(株)九州電力 代表取締役社長 瓜生道明 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹
玄海原発反対からつ事務所 代表 北川浩一
九州電力は今月下旬にも玄海原発3号機を起動しようとしています。3号機は猛毒プルトニウムを使ったプルサーマルであり、事故時の放射能の範囲は4倍になるなど危険性は増します。
東京電力福島第一原発事故から7年、事故は今なお収束しておらず、原子力緊急事態宣言は発令中です。そうした中、フクシマの教訓を踏みにじり、住民の不安と疑念の声を無視した原発再稼働という暴挙を私たちは絶対に許すことはできません。
以下の要請を受け止め、質問への回答を求めます。
【 要請事項 】
玄海原発3・4号機再稼働の中止を求めます。
【 質問事項 】
※下記質問は1月9日付要請・質問書に追加するものです。(1)①~⑥と(2)①~⑦はその際に提出済
みです。下記の(1)⑦~⑨、(2)⑧、(3)~(6)が追加質問となります。
(1)<伊方原発差止決定>阿蘇カルデラ噴火で玄海原発も立地不適となる問題について
⑦更田委員長は2月11日、唐津市にて11自治体の首長らと面談した時(瓜生社長も同席)に「(火山について)発電所のリスクを定量的に示せるような技術的段階にあるといえない。たとえば地震とか故障、人的過誤ではこれぐらいのリスクと分かっても、津波はまだまだ、火山はまったく分からない。」と発言した。規制委員会が分からない火山リスクについて、九州電力は分かるのか。
⑧火砕流について川内原発ではシミュレーションを行ったが、同様のシミュレーションをなぜ玄海原発では行わないのか。
⑨破局的噴火について九電はモニタリングを行い、国土地理院の地殻変動データと気象庁の地震活動データを基に地下のマグマ溜まりの変化を「総合的に判断する」という。今までに予兆を捉えることができた例を具体的に示されたい。「総合的判断」の規準を具体的に示されたい。
(2)神戸製鋼所データ不正問題について
⑧昨年発覚した三菱マテリアルの子会社、三菱電線工業、三菱伸銅の2社のデータ不正に続き、今年2月8日、新たに三菱アルミニウム、立花金属工業、ダイヤメットの3社の不正が発覚した。これらの製品は玄海原発と川内原発で使われていなかったか。
(3)使用済み核燃料について
①再稼働すれば使用済MOX燃料がすぐに出てくる。3サイクル使用した後、使用済み燃料プールに何年間貯蔵するのか。その後、具体的にどこへ搬出する予定か。
※前々回質問「使用済み燃料はウラン、MOX、それぞれどこに何年保管し、いつどこへ搬出することになっているのか」の質問に、前回具体的回答がなかった。
②使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の建設をする予定があるのか。あるとすれば、それはどこか。
(4)造成中の12haの敷地の利用目的について
発電所敷地に隣接する場所(薬草園近く)に12haもの土地の造成が進んでいる。現場には「資機材等の受け入れ場所や機器の予備品を保管する倉庫などを設置する目的で用地の整備をしている」と説明書きがあった。工事期間は来年3月31日までとも記されている。広大な敷地に具体的に何をつくろうとしているのか。土地は誰から、いくらで取得したのか。
(5)原子炉容器上蓋未交換問題について
安全上きわめて重要な部位である玄海原発3号機の原子炉容器上部蓋について、九電は2010年2月8日に原子力安全・保安院に対して交換工事の申請を行った。米国の原発の上部蓋で激しい応力腐食が発生し、全国すべての加圧水型原発で改良型への取り換えが「予防保全」として進められた。しかし、3.11の後、審査が中断し、交換計画は放棄された。玄海3号機のみ全国で唯一交換されていないのである。そして、今、交換計画もないまま再稼働しようとしていることは安全軽視甚だしい。
「審査完了後に上蓋交換の申請をする」と決めたのはいつか。また、いつ交換するのか。(前回2017年7月26日未回答)。
(6)消費者と向き合わない九電の姿勢について(別紙)
要請・質問書
九州電力CSR憲章と山口佐賀県知事との約束を守ってください
2018年3月1日
(株)九州電力 代表取締役社長 瓜生道明 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会 共同世話人 野中宏樹
玄海原発反対からつ事務所 代表 北川浩一
2月20日付の九電プレスリリースで「玄海3号機の原子炉への燃料装荷作業が同日終了しました。国の検査に真摯かつ丁寧に取り組むとともに、安全確保を最優先に、工程にとらわれることなく慎重に進めてまいります」とあります。しかし、審査する国のトップの更田豊志原子力規制委員会委員長は「リスクはゼロではない」と繰り返しています。壱岐市長も「リスクがゼロでないと不安なのが人間だ」(2月11日)とまで言っています。消費者住民は、原発への不安は消えていません。国民は、7年前の東京電力の事故で原発事故は生活を根こそぎ奪うものと学びました。貴社の経営のために消費者である私たちが、否応なしに被ばくの犠牲になる理不尽極まりない問題だからこそ、私たちは幾度となく要請・質問を繰り返してきました。
去る2月16日も核燃料装填に抗議する要請書を発電所にて提出してきました。この日の要請書受け取りのアポイントを取ろうと数日前に電話で連絡しました。玄海原発の環境広報課長は「どうしてもというのなら受け取るが、玄海原発で受け取る事は今回限りとさせていただく」との返事でした。到底納得いく話ではないので、「なぜか」と問うと、「いろいろ仕事があるので」という話でした。消費者の話を聞くのも仕事です。しかし、次回はないという一方的な約束を受け入れざるをえませんでした。企業はお客様あって経営が成り立つものです。お客様の声は聞くのは当然のことです。
九州電力グループCSR(企業の社会的責任)憲章には、次のように書いてあります。「皆さまからの信頼を強固なものにしていくため、社会の情勢変化に対する高い感度をもち、社会に与える影響に配慮した事業活動を行うことはもとより、地域・社会の課題解決に貢献するCSR経営を徹底します。安全・安心の追求:設備の安全対策を徹底し、地域の皆さまへ丁寧な説明を行うとともに、作業従事者の労働安全衛生を確保し、安全・安心を最優先した事業活動を行います」と。
また九電理念には、「ずっと先まで、明るくしたい。快適で、そして環境にやさしい。そんな毎日を子どもたちの未来につなげていきたい。それが九州電力の思いです。私たちは、お客さまの信頼を第一に、さまざまな声や思いをきっちりと受け止め、お客さまに楽しさや感動をもって『なるほど』と実感していただけるようなサービスでお応えしていきます」と掲げてあります。
また、山口祥義佐賀県知事は瓜生社長に対して3つの約束、『①うそをつかない②風通しを良くする③あらゆる事象(事故)に対応できる体制を作る、想像力を働かせること』を何度も確認しています。知事との約束は佐賀県民への約束です。誠意を持って守っていただきたい。お客様あっての企業とは思えないこれまでの貴社の私たちに対する対応に、本日この件についての質問・要請をいたします。
【質問事項:「今回限り」について】
質問①:九州電力のCSR憲章には「皆さまからの信頼を強固なものにしていく」とあります。この言葉に従えば、当然住民の声に真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。今回対応した課長の言葉「今回限り」は九電としての言葉になります。九州電力の理念とは相反する対応になるのではありませんか。納得いく説明を求めます。
質問②:私たちは納得して約束をしたのではありません。住民の声に真摯に耳を傾けるためにも、要請書などの受け取りに関して課長の「今回限り」を九電として撤回してください。もしそれができないのであれば、その理由を御社の憲章と理念に基づいてお応えください。
◆九電交渉資料(全8頁)
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