4月12日、玄海原発3号機配管蒸気漏れ事故について、九州電力本店とやっと交渉の場を持つことができました。
原子炉をただちに止めることと、全原発の配管の総点検を求める要請書を署名2,080筆とともに提出しました。ご協力ありがとうございました。
私達は事前質問(4月2日付と6日付)を文書で渡しているにもかかわらず、九電は資料一つ用意せず、すでに報道などで出ている話を繰り返すだけで、肝心なところは「分からない」などと逃げるばかりでした。
住民に対して説明しようとする姿勢が微塵も感じられず、事故を「脱気器のサビ」という部分だけの問題に矮小化しようとしているようでした。
●なぜ原子炉を止めないのか
九電は事故を起こしたというのに、原子炉を動かしたままです。「なぜ止めないのか」を問うと、「停止する必要がないからだ」の一点張りでした。臨界状態のままに、低出力運転を続けていることへの危機感もなく、住民の不安を一顧だにしませんでした。異常が起きたら原子炉を「止める、冷やす、閉じ込める」という基本中の基本さえも守らず、「事業者が損する」(規制委員会・更田委員長)ことだけを避けようとしたのです。
●配管の内面の写真の公開を
配管に開いた1センチもの穴の写真は、外側から遠目に写したものが公開されているだけ。「ファイバースコープで内面を確認した」と報告書に記載があるのだから、その内面の写真を公開せよと求めましたが、「それは私どもでは分からない」とすっとぼけました。途中、九電の担当者同士で「あると思うけど」と小声で言ったのを聞き逃しませんでした。
九電は「雨水の影響を受けたのは屋外の脱気器だけで、一次系には影響は存在していない」と繰り返しましたが、なぜ、雨水による腐食で、配管のあの位置にあのような白い断面の穴がパックリと開いたのか、素朴に疑問です。第三者による事故原因の究明のためにも公開すべきです。
●「微少」の根拠を示さず
九電は事故当初から「微少」の蒸気漏れだと発表してきました。微少という根拠、数値を示すよう求めましたが、「蒸気漏れの量は測定していない」「アラームが鳴らなかったから微量」だと。アラームが出る量はいくらなのかを聞いても答えませんでした。具体的な根拠もなく「微少」をなどというのは印象操作だとして、撤回を求めましました。
また、脱気器の仕様書で給水量が「企業機密」となっていることについては、その理由を明かしませんでした。
●起動時にはサビを見つけていたのに、再稼働強行したのは誤った判断
少なくとも3月23日には配管の外装版のサビを確認していながら、保温材を剥がして配管を調べずに再稼働を強行したことについて「判断を誤ったということでいいか」と質すと、「誤ったということではなく、蒸気漏れにつながるという認識はなかった」と、「認識不足」だとは認めました。
●「別の立場」の専門家の意見聴取を独自にすべき
「誤り、認識不足があったのだから、他の配管もすべて点検すべきではないか」と質すと、「専門家のご意見などをいただきながら、今回の原因究明をしていきたい」と回答。そこで「山元取締役が『我々とは別の知見の専門家の意見も取り入れたい』」と発言したが、原発に慎重・反対の立場の専門家の意見も聞くべきだ」と指摘すると、「そういうご意見としてお聞きします」と逃げました。
●理不尽な情報制限
今回、会場での動画録画を「(マスコミ含めて)冒頭のみ許可する」と一方的に通告されました。事故が起きて被害を一方的に受けるのは私達。だから、九電には住民に対してオープンな場で説明する義務があります。3.11前に逆戻りした九電の理不尽な通告は断じて受け入れられません。
本題に入る前にこの情報制限問題の話で時間を食ってしまったため、時間切れを理由に担当者ら引き上げてしまったため、早急に次回交渉の場の設定を求めました。
九州電力は事故を起こしてしまったにもかかわらず、「申し訳ない」という気持ち、住民に対して説明しようとする姿勢が微塵も感じられない、住民をあまりにもバカにした対応でした。
大きな事故が起きるまで、九電は何が何でも原発を動かし続けるつもりです。
そんなことは許されない!
九州電力、国、佐賀県、自治体、議会などに、再稼働を止めるまで抗議・要請を続けていきましょう!
玄海原発3号機の配管穴あき蒸気噴出
九電は直ちに原子炉を止めなさい!
全原発で配管の総点検を!
緊急署名 2080筆
原子力規制委員会委員長 更田豊志様
九州電力社長 瓜生道明様
3月30日19時ごろ、九州電力玄海原発3号機で、配管に開いた穴から蒸気が噴き出す事故が発生しました。23日の再稼働からわずか1週間のことでした。九州電力は25日に発電を止めました。しかし原子炉は止めておらず、核分裂反応は続いています。住民が要請しても、止めない理由すら明らかにしていません。直ちに止めるべきです。稼働中の川内原発2号機も止めて調べるべきです。
問題の配管は、保温材を剥がしてみると腐食によるさびで覆われており、1センチほどの穴が開いていました。なぜこのような状態になったのでしょうか。玄海原発3号機は、福島原発事故後の長期の停止期間に特別点検を行っていました。再稼働に際しての点検も行われました。しかし、保温材を巻いたまま外からみるだけで、腐食や穴あきを見つけることはできませんでした。保温材を剥がす点検は12年前に行われました。九電はその時配管はあと47年もつとの評価を行っていました。このようなずさんな点検が今回の事故を招いたのです。
原発には同じようにずさんな点検ですませている配管が何万とあります。これは玄海原発にとどまる問題ではありません。すべての原発について、配管の総点検が必要です。私たちは、九州電力及び原子力規制委員会に対し、以下のことを強く求めます。
一.玄海原発3号機の原子炉を直ちに止めること
一.稼働中の川内原発2号機も直ちに停止して調査すること
一.情報を全て公開し、徹底した事故究明を行うこと
一.住民の要請に応じ、随時、説明会等を開き説明すること
一.配管点検のやり方を改め、すべての原発で総点検を行うこと
2018年4月12日
呼びかけ
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/原子力規制を監視する市民の会
玄海原発3号機 配管穴あき蒸気漏れ事故
瓜生社長「何があるか分からない」
無責任発言に対する抗議・要請書
2018年4月12日
(株)九州電力 代表取締役社長 瓜生道明 様
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
玄海原発反対からつ事務所/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/原発知っちょる会
風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/たんぽぽとりで
東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/あしたの命を考える会
玄海原発3号機の配管穴あき蒸気漏れ事故について、瓜生社長は4月2日のテレビのインタビューで「再稼働については6~7年止めていたので何があるか分からないと言っていたのが、現実になってしまって非常に残念だ」と半笑いしながら述べた。
「何があるか分からない」、原発はそんな危険なものだと自ら認めながら、住民の不安を無視して再稼働させたのである。そして、今、まさに事故を起こしたのだ。住民を不安に陥れた最大の責任者が、住民に謝罪もせず、「残念だ」とは無責任甚だしい。
今回の事故で、原発に何万とある配管の危険な現状、ずさんな点検体制が明らかになった。他の配管・機器・設備にも重大事故に至る可能性のある損傷があることが想像される。
昨年8月の使用前検査に際し、佐賀県の副島良彦副知事は「万が一にも事故を起こさない覚悟を持ち、ボルト1本まで真剣に取り組んでほしい」と九電に求めたが、またも住民は裏切られたのである。
原子炉を即刻止めるのは当然のこと、再稼働の中止を求める。