【玄海原発使用済み核燃料:リラッキング&乾式貯蔵施設建設の拒否を!知事要請行動】

7月26日、玄海原発の使用済み核燃料のリラッキングと乾式貯蔵施設建設を認めないよう求めて、山口祥義・佐賀県知事に要請を行いました。
九州電力は玄海原発3・4号機を再稼働させましたが、玄海の使用済み燃料プールは稼働後5~7年で満杯となることから、九電はリラッキングと乾式貯蔵施設の建設を検討しています。しかし、「搬出先」としている六ケ所村の再処理工場は動くあてもなく、核のごみとして玄海の地に半永久的にとどめおかれることになりかねません。安全性も保証されていません。
九電は明日にでも国に申請するかもしれない状態です。公表される時には詳細がかなり進んでしまっていることが予想されることから、今の段階で「事前了解」の権限を持つ佐賀県知事に対して施設建設を拒否するよう求めました。

対応した県原子力安全対策課の担当者は「九電からは電話などで話は聞いているが、正式な話はまだない。九電が言ってきてから対応したい」とのらりくらり。
私たちが「核燃料サイクルは実質的に破綻しており、使用済み燃料の持って行き場もないではないか」と質すと、
「使用済み燃料は六ケ所再処理工場へ搬出することにしているので...」との空文句。
私たちが「使用済み燃料を県内にとどめおくという約束はしていないはずだが」と指摘すると、
「とどめ置くことを『良』としているような言われ方をしたが、そうじゃない」と、担当者は語気を荒げて答えました。
私たちは「とどめ置くことを『良』としないのなら、九電に言われるがままでなく、県民の命を守る立場の県として、施設建設を認めるべきではない。これ以上核のごみを増やすことはやめてほしい。再稼働に同意した知事の責任も重大だ」と指摘しました。

 

また、九電の新社長に就任した池辺和弘氏の「原発の技術の伝承は国民の責任」「核のごみ処分へみんなで努力を」などとあまりに無責任な発言をしたことに対して、知事として撤回を求めるよう要請もしました。(知事は先日、池辺氏と初面談をしましたが、このことについて何も糾していませんでした)

 

前回5月のポンプ事故時の要請質問には回答書が届くまで、連絡もなく2か月待たされましたが、そのことを批判したうえで、2週間以内の文書回答を求めました。

 

リラッキングも乾式貯蔵施設建設も、原発の稼働を推進し、核のごみをただただ増やすだけです。
原発稼働の停止を!強く求めていきましょう。
住民にチラシポスティングで本当のことを知らせていきましょう。


要請・質問書
玄海原発 リラッキング・乾式貯蔵施設建設を認めないでください
核のごみをこれ以上増やしてはならない

2018年7月26日

佐賀県知事 山口祥義様

 

 

【要請事項】

玄海原発の使用済み核燃料のリラッキング及び乾式貯蔵施設の建設を認めないでください。

 

【要請理由】

九州電力は多くの住民の反対の声を無視して、玄海原発3・4号機を再稼働させました。

稼働させれば必ず出てくる使用済み核燃料の搬出先とされる青森県六ケ所村の再処理工場の使用済み燃料プールはすでに満杯(98.9%)です。玄海のプールも8割(管理容量1130tUに対して貯蔵量900tU=電事連2017年10月24日付資料)がすでに埋まっており、稼働後5~7年で満杯となります。それ以上は稼働させられなくなることから、九電は燃料をぎゅうぎゅうに詰め直すリラッキングと、新たな「乾式貯蔵施設」の建設を検討しています。

しかし、核燃料サイクルは実質的に破綻しており、核のごみが玄海の地に半永久的にとどめおかれることになりかねません。核のゴミをこれ以上増やすことは未来の世代に対してあまりに無責任です。

私たちは以下の理由からこれらに反対します。

 

(1)使用済み核燃料が半永久的にとどめ置かれることになる
乾式貯蔵施設の貯蔵期間は、九州電力は示していませんが、関西電力は「約30~50年」としています。しかし、再処理工場はいまだ稼働の目処が立たず、原発敷地で保管した後に搬出できる保証はなく、そのまま最終処分施設となる可能性が高まっています。
佐賀県は玄海町に4基の原発を受け入れてきましたが、その前提は使用済み核燃料については県内にとどめ置くという約束はしていないということです。

(2)金属キャスクは蓋を開けて点検・修理ができない
乾式貯蔵施設で使用済み燃料を収容する金属キャスクは、一度蓋をしたら搬出先に行くまで、蓋等をあけないとしている(新規制基準)ため、損傷などがあっても蓋を開けて点検・修理ができず、安全は全く保証されていません。また、乾式貯蔵施設に入れる前にプールで15~20年冷やす必要があると言われており、プールの危険性もそのまま残ります。

(3)リラッキングにより再臨界のリスクが高まる
リラッキングは核燃料の棚(ラック)の配置間隔を詰めて貯蔵量を2倍にするものです。発熱量が高くなり事故時に燃料露出や溶融の時間が早まり、再臨界のリスクも高まるといわれています(2011年7月4日西日本新聞)。福島第一原発の使用済み燃料プールもリラッキングしたものでしたが、その影響について技術的な分析もなされていません。

 

(4)使用済みMOX燃料は一層危険
プルサーマル発電をした後の使用済みMOX燃料は、使用済みウラン燃料に比べて発熱量が大きく、プールでは100年近く管理が必要と言われています。
そのうえ、使用済みMOX燃料は現在建設中の「六ケ所再処理工場」とは別の「第二再処理工場」に搬出するとしていますが、現在建設の目処も立っていないし、世界中どこにも存在していません。敷地内に一体何年とどめ置くことになるのか、誰も具体的に言えないままです。

(5)10万先の未来の人々にこれ以上押し付けてはならない
そもそも、原発は“トイレなきマンション”と言われるように、その最終的な処分方法も決まらないままに、大量の放射能を含んだ核のゴミを増やし続け、10万年先の未来の人々にまで負の遺産を押し付けることはあまりにも無責任です。

(6)知事は新たなものについて「同意するつもりはない」と約束した
山口知事は昨年4月24日に「再稼働はやむを得ない」と同意を表明した記者会見において「もし仮に、今新たに原子力発電所をつくるという判断を求められたとしても、私は決して同意するつもりはありません。しかし、私が愛する佐賀県には、現に玄海原子力発電所が存在しています…」と述べました。昨年5月16日の定例会見では記者からの「(核のゴミについて)新たなものは受け入れたくないという考えに変わりはないか」との質問に対して、4月24日の会見時の言葉を引用して、「基本的な方向はそういったことでご理解いただきたい」と答えました。乾式貯蔵施設も新たな原子力施設です。

 

 リラッキング、乾式貯蔵施設建設ともに、九州電力との安全協定上の事前了解事項です。県民の安全・安心を守る立場から、知事がこれらを認めないよう求めます。

 

 

【質問事項】

 

(1)知事は記者会見で、核のごみを含めた新たな原子力施設の建設について「同意するつもりはない」という発言をしているが、九電が新たに建設しようとしている乾式貯蔵施設についても新たな原子力施設と理解していいか。「いいえ」の場合、その理由も示されたい。

(2)使用済み核燃料の処分について、敷地内・敷地外、県内・県外、期間等、九電とどのように約束してきたのか、具体的に示されたい。

(3)2015年11月、九電は敷地内外での乾式貯蔵施設建設を検討中であることを公表した。佐賀県はこのことに抗議をしたが、その内容は、九電から県に事前に説明があったが県として公表していなかったことを九電が先に公表したことに対しての抗議だった。現在も県と九電は県民に公表しないままに使用済み燃料問題について協議を行っていると推測される。それはいつどのような内容なのか示されたい。

(4)3号機で使用しているMOX燃料はあと2サイクルで、使用済みMOX燃料となる。それは燃料プールに何年貯蔵する計画か。搬出先とする第二再処理工場はいつ完成し、運用可能状態となる予定か。

(5)他の電力会社が保有するプルトニウムを玄海原発などでMOX燃料として使って消費するよう、政府が電力会社に検討を求めているという(2018年6月10日、日経新聞)。実施されれば、処理できない使用済み核燃料がさらに玄海の地にとどめ置かれることになる。県としてはどのように対処するのか。

(6)九電は玄海原発に隣接する12haの敷地で「重大事故時の資材置き場」等として用地整備を進めている。県はこの土地の開発に許可を与えているが、それはどういうものか。乾式貯蔵施設建設等に用途変更することはないのか。

(7)リラッキングによる危険性はどのように県として検証しているのか。また、福島第一原発の使用済み燃料プールのリラッキングによる影響はどのようなものか。


 以上の要請と質問に対して、2週間以内の文書回答を求めます。

 

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
玄海原発反対からつ事務所/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/原発知っちょる会
風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/たんぽぽとりで
東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/あしたの命を考える会/怒髪天を衝く会


要請・質問書
「原発の伝承」「核のごみ処分」は「国民の責任」ではありません
九州電力社長に対して発言撤回を求めてください

2018年7月26日

佐賀県知事 山口祥義様

 

6月27日、九州電力社長に池辺和弘氏が新たに就任し、新聞各紙で池辺氏へのインタビューが相次いで掲載されました。その中で池辺氏は「原発技術の伝承は国民の責任」、「(核のごみ)処分場確保へみんなで努力を」(6月28日付朝日新聞)などと語っています。
私たちは唖然とした口がふさがりません。一企業の活動の伝承が何故私たちの責任なのでしょうか。一企業の出したゴミの処分に関して何故みんなが努力をしなければならないのでしょうか。
さらに「(再エネよりも)原子力のほうが成熟した技術だ」と、10万年先の未来に後始末をおしつける未成熟の技術を「成熟」だと強弁し、事故時の対応を問われ「私が原子炉を止めに行く」などと、稚拙な精神論を語りました。
これらの言葉は、九州一を標榜する九州電力という会社が究極の無責任体質であり、甚だしく倫理観の欠如していることを露呈しています。私たちはこのような企業が原子力という人類の手に負えない技術を弄ぶことを決して認める事は出来ません。
知事はどう思われたでしょうか。また、7月5日に池辺社長と直接面談した際に、この発言についてどう質したのでしょうか。
池辺社長に対して、これらの無責任な発言の撤回を求めるよう、知事に要請いたします。

 

以上の要請と質問に対して、2週間以内の文書回答を求めます。

 

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
玄海原発反対からつ事務所/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/原発知っちょる会
風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/たんぽぽとりで
東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/あしたの命を考える会/怒髪天を衝く会


ダウンロード
2018年7月26日 佐賀県知事宛 乾式貯蔵施設要請質問書
【要請・質問書】玄海原発 リラッキング・乾式貯蔵施設建設を認めないでください
/核のごみをこれ以上増やしてはならない
20180726知事要請乾式貯蔵●.pdf
PDFファイル 270.0 KB
ダウンロード
2018年7月26日 佐賀県知事宛 九電社長発言撤回を求める要請質問書
【要請・質問書】「原発の伝承」「核のごみ処分」は「国民の責任」ではありません/九州電力社長に対して発言撤回を求めてください
20180726知事要請九電社長発言●.pdf
PDFファイル 148.5 KB

◆報道

■佐賀新聞