【使用済MOXは300年プールで冷却?プルサーマル運転再開中止を!知事要請行動報告】

8月14日、猛毒で300年間プールで冷やし続けなければならない使用済MOXをつくりだす玄海3号機プルサーマルの運転再開をさせないよう山口祥義・佐賀県知事に要請してきました。
九州電力は定期検査中の3号機を8月20日にも運転再開させようとしています。3号機はもう1サイクル運転すると、猛毒で発熱量の高い使用済MOX燃料が出てきます。使用済MOXは、6月の市民と政府の交渉の場で「300年プールに保管しなければならない」ことが判明。使用済MOXの問題は2009年にプルサーマルが始められる前から、私たちは現地永久保管への不安の声をあげてきましたが、その不安が現実のものとなろうとしているのです。
「理解し、納得できる」としてプルサーマルを事前了解した古川康・前知事、そしてプルサーマル3号機の再稼働に同意した山口知事の責任は重大です。
こうしたことから、プルサーマル事前了解を撤回し、3号機の運転再開の中止を求めました。

対応した県原子力安全対策課副課長は、「300年」ということを初めて聞いたというばかりでなく、「私は去年から副課長をしているが、九電からは使用済MOXをどうするのかというのは具体的には聞いていない」などと、のらりくらりと回答。
私たちは「なぜ主体的に九電や国に聞こうとしないのか。放射能の危険から住民の命の安全を守るべく具体的に行動してほしい」と訴えました。運転再開前の早急な文書回答を求めました。


要請・質問書

使用済MOX燃料は300年プールで冷やし続けなければならない
玄海3号機プルサーマルの運転再開中止を求める

2019年8月14日

佐賀県知事 山口祥義 様

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
玄海原発反対からつ事務所/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/原発知っちょる会
風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/たんぽぽとりで
東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/あしたの命を考える会/怒髪天を衝く会


 九州電力は定期検査で停止中の玄海原発3号機について、次の運転に向けて全燃料193体のうち72体を交換した。3号機はプルサーマル運転を実施しており、MOX燃料はこれまでの32体に新燃料4体を追加して、計36体使う予定という。

 

 MOX燃料は、核兵器の材料であり超危険な猛毒の放射性物質プルトニウムを混ぜた燃料である。ウラン燃料よりも制御棒の効きが悪くなり、事故時の放射能被害の範囲は4倍になると言われている。
 さらに、MOX36体のうち16体は3サイクル目の使用となり、次の定検で使用済MOX燃料となって出てくる。
 使用済ウラン燃料の場合、九電が今建設しようとしている乾式貯蔵のキャスクに移すためにはプールで約 15 年間冷却する必要があるが、他方、使用済MOX燃料の場合はウランと同等の発熱量になるのに 100年以上もかかる。6月21日の市民と政府の交渉では、資源エネルギー庁の担当者(原子力立地・核燃料サイクル産業課専門官)は「使用済MOX燃料は使用済ウラン燃料より発熱量が高い…ウランと同じぐらいになるには 300 年以上かかるというのは事実」と述べた。プールのコンクリートや金属の腐食・劣化は年月とともに確実に進む。300年という年月の間、安全に管理できるという根拠の説明を九電から当然受けていなければならない。

 

 また、使用済MOX燃料の搬出先は決まっていない。再処理を前提にしていると国は言うが、6月21日の交渉では、①六ヶ所再処理工場では使用済MOX燃料の再処理はできない、②第二再処理工場については具体的に決まっておらず検討中、と述べるだけであった。

 住民は、使用済ウランよりも一層厄介な使用済MOXという放射能"死の灰"と隣り合わせの生活を未来にわたって強いられるのは必至だ。核燃料サイクルが破綻する中、危険なプルサーマルは中止し、MOX燃料の使用を即刻やめるべきである。住民はモルモットではない。

 

 放射能ゴミの最終処分に10万年かかると言われる中、最初の300年はプールで冷却し続けなければならないというリスクを、子や孫や次の世代にまで押し付けることになることが今回明らかになった。今を生きている人間の都合で、このような無責任なことをやっていいわけがない。
 プルサーマル運転を行う3号機の再稼働に同意した佐賀県知事の責任は重大である。
 住民の安全安心を守るのが、知事最大の責務である。そうした職責の立場から、 以下の要請と質問への回答を早急に求める。


【要請事項】

 プールに300年保管する必要があり、その先の処理方法も決まっていない使用済MOX燃料をつくりだす玄海3号機プルサーマルの運転再開をさせないよう、九州電力に求めること。


【質問事項】

(1)使用済MOX燃料が使用済ウラン燃料と同じぐらいの発熱量まで下がるのに300年かかるという事実について、九州電力と国から知らされていたか。それはいつか。この事実を聞いて、知事はどう思うか。

(2)使用済MOX燃料保管中に事故が起きれば、放射能被害は玄海町のみならず、佐賀、長崎、福岡の周辺自治体をはじめ、世界中に及ぶ。これら住民に、この事実を説明したのか。これから説明をするのか。

(3)使用済燃料プールの設計上安全が保証される期間は何年か。

(4)300年間、誰が管理すると、九電や国から説明を受けているか。

(5)使用済MOX燃料の処理方法については、1994年の原子力長期計画では「2010年頃に方針を決定」としていたが、2000年の原子力長期計画では「2010年から検討開始」となった。昨年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」では、「使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ、検討を進める」と記載された。検討を進めた結果、具体的に何が決まったのか。知事はどう認識しているのか。

(6)2006年に知事がプルサーマル事前了解をした時から、私たちは使用済MOX燃料の現地永久保管への不安の声をあげてきた。その不安を解消するために知事は何をしてきたか。

(7)使用済MOX燃料の処理の問題が現実のものとなり、目の前に迫っている。プルサーマルを事前了解した知事の判断は誤りであった。住民の不安を取り除き、安全・安心の暮らしを守るために、知事はプルサーマル事前了解を撤回すべきではないか。

ダウンロード
20190814使用済MOX知事要請●.pdf
PDFファイル 267.0 KB
ダウンロード
20190814使用済MOX知事要請資料.pdf
PDFファイル 315.9 KB

◆報道