【玄海原発乾式貯蔵施設・リラッキング事前了解を許さない!佐賀県知事・九電社長・玄海町長要請行動報告】

九州電力が玄海原発の使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」建設と貯蔵プール「リラッキング」工事を国に申請したことについて、佐賀県知事と玄海町長に事前了解をしないよう求め、また、九電社長には撤回を求めて、2月4日、佐賀・福岡・大分の13団体で要請を行ってきました。唐津、佐賀、鳥栖、福岡から12人が参加しました。

「搬出先」としている青森県六ケ所村の再処理工場はいまだ完成しておらず、玄海の乾式施設で貯蔵した後で搬出できる保証はありません。このままでは、猛毒の「核のごみ」が玄海の地に永久にとどめおかれることになりかねません。先の見通しがまったくないもとで、稼働を推進・容認してきた無責任な三者に対して、稼働中止を求めました。

あわせて、数字のごまかしや、見通しのなさをはっきり確認するため、核燃料の貯蔵量や乾式施設の設計貯蔵期間などの諸データ提示を求めました。

 

佐賀県庁では原子力安全対策課副課長ら2人が対応。
「まずは国の審査を注視していく」「今日は話し合いの場ではなく、ご意見を聴くだけ。文書で回答する」というばかりで、県民の命を守ろうという積極的な姿勢が、いつもそうですが、まったく見られませんでした。
回答の際には文書だけ送られてきても、はぐらかされたり、抽象的な言い回しが多いので、回答文書を出す際に話のできる責任者(知事)との直接話し合いの場を求めました。県はそのことさえも「文書で提出してもらわないといけない」と受け付けませんでした。文書はすぐに提出したいと思います。

 

九電佐賀支社では立地コミュニケーション部長ら4人が対応。原発をやめてほしいという私達のそれぞれの強い思いを伝えるとともに、基本的なことを問いただしました。
私達「使用済み核燃料の六ケ所再処理工場への搬出はいつなのか」
九電「まだわからない」「2021年には稼働するということですから...」
私達「本当に稼働するのか。稼働する保証はあるんですか」
九電「保証はないが、最新の発表からすると、21年上期と言っていますので、我々としてはそれをめがけてやっていく」
私達「保証がないんでしょう。少なくとも、それまでは止めてください。空約束をしないで!」
  「迫っている問題として、あと2サイクル後に、使用済みMOX燃料は出てくるが、どうするのか?」
九電「・・・今、明確な答えはない。今、検討している」
私達「無責任だ!」
九電:無責任とは思っていません。しっかり検討しています。」
・・・このようなやりとりでした。回答の場の期日については、連絡を待つこととしました。
(なお、10月19日に九電本店に提出した要請質問書への回答の場は、何度も催促していますが、いまだに設定されていません。)

 

玄海町では、担当職員に渡すだけでしたが、「使用済み核燃料をずっと玄海に置いておくことになるというのは、九電の約束違反でしょう。九電になぜ強く迫れないのか。玄海町長の判断が、6000人町民だけでなく、佐賀県民83万、福岡県民500万をはじめ多くの人達に影響を及ぼすことになることを自覚してほしい」などと訴えました。

 

大飯原発再稼働の条件だった中間貯蔵の福井県外候補地を公表できず約束違反となった関西電力のように、市民のチカラで九電を追い詰め、乾式貯蔵施設建設とリラッキングをやめさせ、玄海原発の稼働をなんとしても中止させましょう。
そのために、連携して声をあげていきましょう!

 

<追記>
佐賀県知事に対して、「回答の際に知事と責任ある担当者との直接対話の場を求めます」との要請書を翌5日に追加提出しました。


要請・質問書
玄海原発 使用済み核燃料乾式貯蔵施設・リラッキング
事前了解を許さない
原発稼働は核のごみ増やし!稼働中止を!

2019年2月4日

佐賀県知事 山口祥義 様

 

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
玄海原発反対からつ事務所/原発を考える鳥栖の会/今を生きる会/原発知っちょる会
風ふくおかの会/戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/たんぽぽとりで
東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会/あしたの命を考える会/怒髪天を衝く会


1月22日、九州電力は玄海原発の使用済み核燃料の「乾式貯蔵施設」建設と、貯蔵プールの「リラッキング」工事について、国・原子力規制委員会に申請し、佐賀県と玄海町に事前了解願を出した。

 

九電は「使用済み核燃料は、青森県六ケ所村の再処理工場に搬出するのが基本」と説明してきたが、再処理工場は1993年の着工開始から24回の完成延期を経て、いまだに完成をみていない。
九電は乾式施設の貯蔵期間さえ具体的に明らかにしていない。搬出できる保証は何もない。しかし今回の計画が進められれば、猛毒の放射能を出しつづける「核のごみ」が玄海の地に永久にとどめおかれることになる恐れは十分に考えられる。
考えられる問題として、地震で建屋が倒れたらキャスクの安全は保証されていない。使用済み核燃料をぎゅうぎゅうに詰め直す「リラッキング」を行えば、発熱量が高くなり、事故時に燃料露出や溶融の時間が早まり、再臨界のリスクも高まるといわれている。
また、3号機で実施しているプルサーマル発電で出てくる使用済みMOX燃料は、使用済みウラン燃料に比べて発熱量が大きく、プールでは100年近く管理が必要と言われている。そのうえ、使用済みMOX燃料は現在建設中の「六ケ所再処理工場」とは別の「第二再処理工場」に搬出するとしているが、現在建設の目処も立っていないし、世界中どこにも存在していない。
今後、使用済み核燃料がどんどん増えていくことで、事故時の危険は増大し、住民の安心した暮らしは守れない。

 

貴職は、先の見通しもまったくないもとで、住民の不安を切り捨ててきた。10万年もの管理が必要と言われる核のごみを増やし続けることは、未来の世代に対してあまりにも無責任だと言わざるを得ない。
「核燃料サイクル」がすでに破綻していることを正面から受け止めるべきである。
再稼働しなければ使用済み核燃料が増えることはなく、乾式貯蔵施設建設とリラッキング工事の必要もない。

 

以上のような理由で、以下の要請と質問を提出する。2週間以内の文書回答を求める。


【 要請事項 】

(1)使用済み核燃料の乾式貯蔵施設建設とリラッキング工事について、事前了解しないこと。
(2)原発容認の立場の専門家だけでなく、慎重な立場の専門家からも意見聴取を行い、技術的な問題や核燃料サイクル全体についての公開討論の場を設けること。
「広く意見を聴く委員会」や、県民説明会を開き、県民に説明すること。
(3)玄海原発稼働の中止を求める。

 

【 質問事項 】

(1)乾式貯蔵とリラッキングの今回の申請の前は、「使用済み核燃料の貯蔵量は、あと5~7年でいっぱいになる」と言われてきた。また、すでに廃炉となった1号機貯蔵プールには使用済み燃料240体があり、これは4号機プールに移送する計画という。さらに2号機は「今年度の廃炉へ向けて検討中」と報じられているが、2号機の使用済み核燃料も他の場所へ移送する必要がある。
①現状の号機別の使用済み核燃料の貯蔵量、管理容量、貯蔵容量、空き容量、取替可能回数、取替可能年数はそれぞれいくらか。5~7年と言っていた根拠を示されたい。
②その際、管理容量はどう定義しているか。これまで電気事業連合会等では<管理容量=貯蔵容量―(1炉心+1取替)>で定義してきているが、それを変えたのであれば、その理由と根拠を示されたい。
③1号機廃炉による使用済み核燃料240体について、貯蔵計画にどう反映させているのか、具体的に示されたい。
④2号機の廃炉については、貯蔵計画にどう反映させるのか、具体的に示されたい。
⑤乾式貯蔵施設について「審査期間は3年程度、事前了解後に約6年かけて建設」、リラッキングについて「審査期間は2年程度、工期は4~5年」と言われている(1月23日付佐賀新聞)。審査+工事の期間を考えると、「5~7年」に間に合わないのではないか。

 

(2)キャスクの耐用年数は60年と報道があった。一方で、六ケ所再処理工場の寿命は2006年に総合資源エネルギー調査会・原子力部会がまとめた報告書「原子力立国計画」に「40年」と明記されている。
①乾式貯蔵施設の設計貯蔵期間、最大貯蔵期間は何年か。
②乾式貯蔵施設の「貯蔵期間」に達した時、六ケ所再処理工場はすでになくなっている可能性がある。貯蔵していた使用済み核燃料を具体的にどこに運びだすのか。六ケ所再処理工場がその頃には存在しないことについてどう考えるのか。

 

※九電社長宛と玄海町長宛は、【要請事項】部分のみ以下のように変えました。
■九電社長宛要請事項
(1)使用済み核燃料の乾式貯蔵施設建設とリラッキング工事について、撤回すること。
(2)玄海原発稼働の中止を求める。

■玄海町長宛要請事項
(1)使用済み核燃料の乾式貯蔵施設建設とリラッキング工事について、事前了解しないこと。
(2)私たちは個別訪問で玄海町民の不安の声を聞いてきた。九電や原発容認の専門家の話だけでなく、慎重な立場の専門家からの話を聞く住民説明会を開催すること。
(3)玄海原発稼働の中止を求める。


ダウンロード
2019年2月4日 佐賀県知事宛 使用済み核燃乾式貯蔵施設 要請質問書
要請・質問書:玄海原発 使用済み核燃料乾式貯蔵施設・リラッキング
事前了解を許さない 原発稼働は核のごみ増やし!稼働中止を!
20190204知事要請乾式貯蔵●.pdf
PDFファイル 267.0 KB
ダウンロード
2019年2月4日 九電宛 使用済み核燃乾式貯蔵施設 要請質問書
要請・質問書:玄海原発 使用済み核燃料乾式貯蔵施設・リラッキング
事前了解を許さない 原発稼働は核のごみ増やし!稼働中止を!
20190204九電要請乾式貯蔵●.pdf
PDFファイル 250.0 KB
ダウンロード
2019年2月4日 玄海町長宛 使用済み核燃乾式貯蔵施設 要請質問書
要請・質問書:玄海原発 使用済み核燃料乾式貯蔵施設・リラッキング
事前了解を許さない 原発稼働は核のごみ増やし!稼働中止を!
20190204玄海町長要請乾式貯蔵●.pdf
PDFファイル 262.5 KB

要請書
回答の際に 知事と、責任ある担当者との直接対話の場を求めます

2019年2月5日

佐賀県知事 山口祥義 様

 

2月4日に玄海原発使用済み核燃料乾式貯蔵施設・リラッキングに関する要請・質問書を貴職宛に提出し、2週間以内の回答文書を求めました。しかし、文書だけでは、曖昧な表現や、質問に答えられていないことなど不明な点が多く意思疎通ができません。よって、回答文書を出される際に 知事と、責任ある担当者との直接対話の場を求めます。
以上、口頭で要望しましたが、「文書で提出しないと受け付けない」と言われたので、要請書として提出します。

ダウンロード
2019年2月5日 佐賀県知事宛 使用済み核燃乾式貯蔵 直接回答要請
要請書:回答の際に 知事と、責任ある担当者との直接対話の場を求めます
20190205知事乾式直接回答要請●.pdf
PDFファイル 116.8 KB

◆報道