6月15日、玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会「提訴9周年年次活動報告会」を開催しました。
雨も心配されましたが、初めての方も含め約50人が参加しました。
まず、この1年の会の活動報告、会計報告、役員紹介を行い、引き続きのご支援をお願いしました。
続いて、武村二三夫弁護士から「原発裁判と人権」と題して講演。福島原発事故の反省を踏まえてできたはずの新規制基準すら守ろうとしない九電、それを容認し、自ら法律を無視する国を批判し、「裁判所が守るべきは市民の安全だ。法廷で説得するのは我々が頑張るが、訴訟というのは市民の支持をいかに得られるかが重要であり、これはみなさんの仕事だ。ともにがんばろう」と訴えました。また松橋事件の再審無罪を勝ち取った経験から、権力が一人の人生を奪うことになる冤罪の理不尽さを語られました。
続いて、東日本大震災で津波と原発事故の被災者となり、家族で福岡に移住された齋藤直志さんから、「原発事故で一番つらいのは気持ちの乖離だ」と、深刻な福島の状況の報告があり、「福島原発事故被害者救済九州訴訟」への傍聴・支援を呼びかけました。
最後に、座談会では原告追加募集の呼びかけから始まり、各地の仲間からそれぞれの経験や思いを出し合う座談会を行いました。
そして、鳥栖の野中さん作詞作曲の「100年後の子どもたちに」をみんなで歌い、終了しました。
会場正面には「犠牲の上にしか成り立たない原発はいらない」という言葉を載せた新しい横断幕を掲げての報告会。この思いを共有し、次の一歩を進むための力を得ることのできた集まりになりました。
私たちの会は、全国のみなさんの支えで今日まで丸9年、裁判運動を続けてくることができました。みなさまに心から深く感謝申し上げるとともに、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
すべての原発をなくすまで、ともに頑張っていきましょう。
<主催者挨拶> 犠牲の上にしか成り立たない原発はいらない
3・11から8年が経った今も、東京電力福島第一原発事故は深刻な状況が続いています。事故原因もいまだに明らかにされず、溶け落ちた核燃料がどうなっているのかもわらない。貯まり続けている放射能汚染水は増える一方で、国は「薄めて海に流す」「深い地層に注入する」「水蒸気にして大気中に出す」などの処理を検討中としています。極めて深刻化しています。
社会に大迷惑を及ぼしながら、東京電力の加害責任と、原発政策を進めてきた国の責任は曖昧のまま、誰も責任を負うことをせず、このような無法状態で住民の安心できる暮らしは守られません。
世界は福島第一原発事故の甚大な被害をみて、脱原発の方向に向かっています。安全対策のコスト、事故時の莫大な費用と、放射性廃棄物処理費用など決して安価な電源とはいえない。環境への影響は計り知れない。原発事故を起こせば被ばくする危険性に住民は脅かされると、誰もが知るところとなりました。
そのような中、九州電力は、川内1・2号機と玄海3・4号機を再稼働しました。規制委員長は、「規制基準の審査はしても安全とは言わない」と、事故が前提の再稼働です。
玄海原発で事故が起きれば、偏西風に乗って日本中が放射能汚染される、避難できない、ふるさとを失うかもしれないと、住民は不安を抱えています。その住民に対し、九電は説明すべき立場にありながら、面談要請に人数制限など一方的な条件をつけてきています。
九州に住む私たちには、福島原発事故により、突然暮らしを奪われ、避難を余儀なくされた人々の苦しみ悲しみを計り知ることは到底できないと思っています。しかし、知ろうとすること、学ぼうとする事はできます。「犠牲の上にしか成り立たない原発」は、一日も早くやめてもらいたいと思います。
二度と原発事故は起きないようにと願うばかりです。安心して暮らせる社会の実現に向けて、これからも皆さんと一緒にこの事実を広める活動と、裁判闘争で頑張っていきたいと思います。
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会 代表 石丸初美