玄海原発の真上を所属不明の航空機が20年で110回も飛んでいることが分かりました。
落ちたら放射能の漏れる大事故になりかねません。
民間機、自衛隊、米軍に対してや「原発上空は飛行しない」という通達や合意があるにもかかわらず、危険が放置され続けたのです。九州電力と国、佐賀県知事の責任は重大です。
今日は県民の命を守るべき立場の佐賀県知事に対して、危険除去のための実効力ある措置と、不安を取り除くために原発の運転停止を要請しました。
10月6日の九電交渉で分かった「110回」もの飛行について、この事実を知っていたかを尋ねると、県原子力安全対策課副課長は「把握していない」と答えました。
「佐賀県としてのこの問題についての現状把握はどうか?」と訊くと、「現時点では数は分からない」。
「国会での議論を把握しているか」と訊くと、「存じてません」
「国からの報告はなかったのか」と訊くと、「ない」。
「もし原子炉に航空機が落ちたらどうなるのか」と訊くと「分からない」と。
原発は放射能の問題であり、人の命に関わる問題です。
にもかかわらず、「何も知らない」「わからない」などという、あまりにも無責任で危機意識のない回答に、私たちは絶句し、不安は膨れ上がりました。
「危機管理のプロ」を自称する山口祥義知事に対して、住民の不安を受け止め、早急に文書回答するよう強く求めました。
要請・質問書
玄海原発の真上を不明航空機が20年で110回飛行
落ちたら放射能の漏れる大事故に!危険を放置してはならない
2020年10月21日
佐賀県知事 山口祥義 様
あしたの命を考える会/今を生きる会/風ふくおかの会/玄海原発反対からつ事務所
原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米
戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/脱原発電力労働者九州連絡会議/たんぽぽとりで
怒髪天を衝く会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
玄海原発の上空を所属不明の航空機が2001年以降の20年間で110回も飛行していたことが、10月6日の私達と九州電力本店との交渉の中で明らかになりました。
最近3年間では所属不明のヘリコプターが5回飛行しました(2017年2月24日、2017年8月22日、2017年9月14日、2017年11月13日、2018年2月14日)。原子炉の真上を飛んでいるケースもあります。機体番号や高度などの情報はまったく把握されていませんでした。
国は1969年(旧運輸省)と2001年(国土交通省)に、民間航空機の原子力施設上空の飛行を「できる限り避けさせること」と規制する通達を出しました。自衛隊(陸上)は1969年に飛行制限についての通達を出しました。米軍機についても、1999年に飛行規制について日米合同委員会は合意しました。しかし、通達や合意が守られず、危険が放置され続けてきたのです。
玄海3・4号機の原子炉はドーム構造で支柱もなく重いものを載せられないので、ドーム上部の厚さは周囲の壁よりも薄い約1.1メートルです。もし、機体や物体が原子炉に落下したら、放射性物質が大量に放出されるような大事故につながりかねません。
九電は「航空機が玄海原発に落下する確率は、新規制基準となっている1千万分の1の確率を下回るから、航空機落下による防護について設計上考慮する必要はない」として再稼働申請し、国は2017年1月18日に許可しました。しかし、新規制基準の規定は原発上空は航空機が運航しないということが前提となっており、現実に真上を飛んでいる状況下で確率論はまったく意味がありません。
1988年6月には、伊方原発から800mの地点に米軍の大型ヘリが墜落したということもありました。大災害になってからでは手遅れです。
全国の原発立地県でつくる「原子力発電関係団体協議会」は1989年から今年まで毎年、「原発上空の飛行禁止法制化」の要望を国に出してきましたが、国はまったく対処してきませんでした。
国会では2015年12月と2019年11月の衆議院経済産業委員会でこの問題が取り上げられましたが、経済産業大臣は「周知徹底したい。防止策を考えたい」というばかりで、具体的な手立ては何ら示されませんでした。
省庁に確認してみたところ、原子力規制庁は「九電から報告を受けただけ。対処としては何もしていない」と言い、国土交通省は「規制庁から情報提供を受け、原発を避けるよう運航者に周知徹底している。詳しいことは規制庁に聞いてほしい」と、責任のたらいまわしでした。
九電自身は私達との交渉の場で「飛行規制は国が運航者に対して行うものだから、当社としては注意喚起を行う立場にはない。当社の対応としては国に報告することだ」、「自治体への連絡や報道発表はしていない」と他人事のような姿勢で、住民の不安をまったく受け止めていません。
航空機落下事故が起きる前に、原発の運転自体を止めるべきです。
このような危険を長年にわたり放置し続けている九電、国、県の責任は重大です。
私たちは被ばくしたくありません。すべての生きものを被ばくさせたくありません。
県民の命の安全を守るのが第一の責務である知事に対して、以下要請と質問をいたします。早急な回答を求めます。
【 要請事項 】
1.玄海原発上空を所属不明の航空機が飛行している現状をこれ以上放置することは許されない。ただちに実効力ある措置をとるよう、九電と国に求めること。これらの実態を明らかにし、住民に知らせること。
2.フクシマは終わっていない。被ばくしたくない。不安だらけの原発をただちに止めるよう九電に求めること。
【 質問事項 】
(1)不明航空機が20年で110回飛行していることについて、九電や国から報告を受けていたか。
(2)報告はその都度あったのか。いつどのような形で情報が伝えられてきたのか。その内容をすべて開示されたい。
(3)報告を受けた後、県として九電と国にどのような対応を求めてきたのか。
(4)住民や県内全市町に知らせていたか。
(5)原子炉の真上から、機体や物体が落下してきたら、ドーム上部が損傷するのではないか。