10月21日に佐賀県知事に提出した「玄海原発上空の不明航空機飛行問題」要請質問書」への回答が11/27付で届きました。
また、10月12日に知事に提出した「コロナと屋内退避問題に関する要請質問書」への回答が11/30付で届きました。
原発稼働を同意した責任者でありながら、具体性のない、他人事のような回答ばかりです。
12月11日、回答についての記者会見を行いました。
終了後、佐賀県議会議員全38人にも回答書と資料を配布しました。
玄海原発避難計画(コロナ禍の避難/屋内退避)と不明航空機問題
知事回答について
2020年12月11日
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
【コロナ禍での原発避難と屋内退避について】
(経過)
10月12日 佐賀県知事へ要請質問書提出
10月23日 唐津市長へ要請質問書提出
11月7日付 唐津市長から回答
11月7日 原子力防災・避難訓練
11月30日付 知事から回答
12月1日 全国各地の市民団体主催の避難計画に関する政府交渉
(1)「住民が一斉に避難することはない」から「避難所やバスは不足しない」というのは
前提が間違っている
①コロナ感染症対応のための避難スペースや避難バス台数は2倍必要
12/1政府交渉で国は「避難所スペースは一人当たり4㎡」「避難所やバスの数は従来の2倍必要」と明言。
県は「適切な対応をとる」というだけで、具体的な回答はない。現状の避難計画では「2倍」を満たしておらず、コロナ禍において実効性のあるものではない。
②しかし、「すべての住民が一斉に避難するのではなく、屋内退避をしたうえで、放射線の測定結果を踏まえて避難対象地域を決定して避難する」(回答p.5など)ので、避難所やバスは不足しないという。
被ばくを避けるために避難しようとする住民を押しとどめるのか。「住民の一部しか避難しない」という前提は、そもそも間違っている。
(2)「換気しないが基本」の放射能対策と、「換気が基本」のコロナ対策は両立しえない
①避難車両での換気について、「換気は行わないことを基本とする」が、「感染症対策の観点から放射性物質の放出に注意しつつ、30分に1回、数分間窓を全開にするなどの換気を行う」(p.5)と矛盾した内容を回答で示した。
②誰がどのように「放射性物質の放出状況に注意」し、換気を判断するのか。
県は具体的に回答しなかった。
12/1に国は「プルームについて対策本部が把握してバスに連絡。バス協会に連絡がいく場合もあり、重層的だ」 「バスに乗った自治体の防災業務関係者は個人線量計を持っており、それを見て判断」と回答。
福島の現実を踏まえれば、あまりに非現実的である。
(3)スクリーニング、安定ヨウ素剤配布方法などは具体策を示せず、国に丸投げ
①スクリーニング、安定ヨウ素剤配布方法、具体的な感染症防止対策などについて、同じ質問を投げた唐津市からは、「佐賀県に尋ねてほしい」と回答してきた(全質問の1/3)。住民に最も近い所にある市町が責任を持って答えられないようでは、住民の命の安全が守られる保証はない。
②佐賀県は「国が前面に立つ必要があり、早急に対応方針を定めるよう国に要望している」(p.4、p.6、p.7)として、現在対応方針が定まっていないことを自ら示した。そして、その責任を国に丸投げした。
(4)「屋内退避では内部被ばくを防げない」ことを正しく住民に知らせていない
①「屋内退避による内部被ばくの低減効果について、陽圧化しない場合は3割程度の低減にとどまる」とする内閣府報告について、県は「承知」していると回答(p.1)。また「5割低減」できるとも言っているが、いずれにしても屋内退避では被ばくを低減できても、被ばくを避けることができないことを容認。
県民に対しては「屋内退避が基本」としながら、屋内退避では内部被ばくを防げないことについて知らせていない。まずは正しい知識を知らせるべきである。
②県発行「てびき」が「1/4に抑える」と記載したことは、「3割低減」するという内閣府報告とは明らかに矛盾している。佐賀県は全県民に配布したてびきを撤回・回収すべきである。
【玄海原発上空の不明航空機飛行問題について】
(経過)
10月21日 佐賀県知事へ要請質問書提出
11月27日付 知事回答
(1)「報告を受けていない」だけで済ます佐賀県の姿勢は無責任
「九電が国に報告し、国がHPに掲載している」と他人事のように言うが、県が当事者として報告を受け、住民に知らせるべきことである。
(2)「20年間110回」について、九電や国に事実確認さえせず、県民の不安に応えていない
「20年間で110回」ということは、HPには掲載されておらず、九電が詳細についての公表をしないから、私達は県に尋ねた。しかし、県は九電や国に事実確認さえしなかった。
なぜ県民の立場に立って、不安に応えないのか。放射性物質が大量に放出されるような原発事故から、県民の命を守ろうという姿勢がまったく感じられない。
県自身が「責任を持って、九電と国に対処を求め、住民への丁寧な説明を行うべき」である。
(3)「航空機落下確率」の説明は、前提が崩れているので、まったく意味がない
要請文で指摘しているとおりである。
【最後に】
避難計画に関する質問に対して、11月7日の避難訓練実施前の回答を求めたところ、唐津市からは期限内に回答(電話、メールの上、郵送)があったが、佐賀県からは何の連絡もなく、期限が守られなかった。知事は「訓練を踏まえて回答する」と報道陣に話したが、訓練をどう踏まえたのか分からないものであった。
訓練ではスクリーニング・除染訓練は中止された。全体に放射性物質対策よりもコロナ対策に重点が置かれていたようだった。
自然災害と違って、原発事故は大量に放射性物質を放出し、住民に被ばくを強いるものである。
避難計画は被ばく前提となっており、被ばくから命を守れない。コロナ感染症が拡大する中では、放射能からの避難も一層困難になった。
不安だらけの原発をただちに止めるよう、私達は引き続き求めていく。