【大飯判決受け、玄海原発基準地震動見直しを佐賀県知事へ要請】

12月23日、「大飯原発許可取消判決を受け止め、玄海原発の基準地震動見直しと稼働中止を求める」として、佐賀県知事に要請質問書を提出してきました。

大飯判決があっても、「一判決に過ぎない。我々がどうこういうことではない」と、自ら情報収集も、分析も何もしない佐賀県原子力安全対策課。

「回答の上、対話の場をお願いします」とお願いしたら、「お願いされません」と返答した佐賀県原子力安全対策課。

今日も初っ端から、その酷さに憤慨させられました。

「佐賀で大地震が起こるのは明日かもしれない」と新聞広告を自ら出しておきながら、「原発」への危機感ゼロの佐賀県でした。

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要請書を提出した後、対応した県原子力安全対策課担当者2人と少し話ができました。

県としての判決の受け止めを尋ねると、担当者は

「司法の一判断にすぎない。訴訟が継承中なので、動向を注視したい。我々がどうこういうことではない」と述べました。

私達は「全国の原発に同じことが言える内容の判決であり、他人事ではない」と批判の上、「判決文を読んだか」と確認すると、「要旨はざっと読んだ」と。

判決本文はおろか、要旨さえもよく読んでいないことが分かりました。原発の安全性について佐賀県で一番知らなければならない担当者がこのような姿勢であることに、私達はあきれ果てました。

どう受け止めているかを再度聞くと、「不確かさの考慮について、国は考慮していると言って、控訴したので、それを注視したい」と言うので、

私達は、「今言われたこと自体が間違っている。不確かさではなく、ばらつきの問題で、そここそがまさに争点となった。3.11を踏まえて加わった"ばらつきの考慮"というルールを国自ら破ったのだ。"控訴を注視"云々の前に、判決文をよく読んでほしい。判決を支持する専門家も交えて検討すべきだ」と訴えました。

 

また、県は原発の安全性について、「一義的には事業者と国が安全を確認する。それを、県が事前了解することになっている。国が決めた基準なのだから、県が決めることはできない」などと言うので、私達は「そういう国任せの姿勢が根本から間違っている。何のために県はあるのか。県民の命を守る県の立場からの検証が必要だ」と批判しました。

文書回答の上、面談・対話の場をお願いしたいという当たり前の要望を今回もしたところ、県は「お願いされません」などと言って拒否しました。あまりにも、あまりにも、県民のことを軽んじている佐賀県でした。

 

来年2月7日(日)には大飯原発裁判の原告共同代表で、玄海裁判の補佐人である小山英之・美浜の会代表の勉強会を佐賀で開催する予定ですので、県担当者にもお誘いしておきました。

 

「佐賀で大地震が起こるのは、明日かもしれない。」のです。

基準地震動見直しと、原発の稼働中止を求め続けていきましょう。


要請質問書

大飯原発許可取消判決を受け止め

玄海原発の基準地震動見直しと稼働中止を求める

2020年12月23日

佐賀県知事 山口祥義 様

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

 

 12月4日、大阪地方裁判所は関西電力大飯原発の基準地震動は過小評価であるとして、設置許可を取り消す判決を出した。

 国が定めた「地震動審査ガイド」には、想定される最大の地震(基準地震動)を定めるにあたって、「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有する(個々の地震データの)ばらつきも考慮されている必要がある」と規定されている。3.11東京電力福島原発事故後に事故を踏まえて取り入れられたルールである。しかし、国はこのルールを自ら破り、「ばらつき」について何ら検討せず、「安全」への上乗せをしなかった。このことに対して、判決は「原子力規制委員会の審議や判断には看過しがたい過誤や欠落があり、違法である」と認定したのである。

 

 「違法」状態は大飯原発にとどまらない。玄海原発をはじめ全国の原発で、同じように「ばらつき」は考慮されていない。もし、想定を上回る規模の地震が原発を襲えば、原子炉や配管が地震に耐えられず損傷し、放射性物質を大量に放出するような深刻な事故となるのは必至である。

 私たちは九州電力と国を相手に玄海原発の運転差止ならびに設置許可処分の取り消しを求めて佐賀地裁にて大飯原発と同じ争点で闘ってきた。来年3月12日に判決が出されるところである。

 

 原発稼働の権限を持つ知事はこれまで、玄海原発の安全性について「国が責任を持って確認している」から安全だと住民に繰り返し説明し、再稼働を「やむを得えない」と容認してきた。県が後ろ盾としてきたその国の判断が誤りだという判決を重く受け止め、自らの責任において原発を停止させる決断をすべきだ。

 

 12月に入って日本各地で大きな地震が相次いで起きている。日本の国土面積は世界の約0.25%だが、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が日本周辺で発生している(内閣府「平成26年防災白書」)。地震が起こるたびに、原発は大丈夫だろうか、地震はいつ起きるか分からない…と私たちは不安に襲われている。佐賀県自らが「佐賀で大地震が起こるのは、明日かもしれない」(11月13日付佐賀新聞掲載の県の意見広告)と言っているではないか。

 

 原発は日常的に放射能を放出している。玄海で事故が起きれば住民はさらに被ばくを強いられることになる。このような原発の問題が住民に知らされていないことを知事は理解しているのか。

 住民の命を守るのが最大の責務である知事に対して、以下、要請と質問をする。早急な回答を求める。

 

 

【要請・質問事項】

 

1.大飯原発許可取消判決を受け止め、同じように過小評価となっている玄海原発の基準地震動についてただちに見直しをするように九電と国に求めること。

 

2.玄海原発3・4号機の稼働を中止すること。

 

3.大阪地裁判決を受けて、県としてどのような取り組みをし、情報収集・調査を行ったのか。  国や九州電力に判決の内容について説明を求め、確認したのか。具体的な回答を求める。

 

4.この件について、原子力安全専門部会を開き、大阪地裁判決を支持する立場の専門家も入れて公開の場で検討すること。

ダウンロード
20201223知事要請大飯判決●.pdf
PDFファイル 238.1 KB

<追記>知事回答が届きました

12月23日に佐賀県知事に提出した、大飯原発判決に関する要請質問書への回答が2月16日に届きました。

大飯判決を他人事としてしか扱わず、情報収集したり独自に検討したりする姿勢がまったくない様子が分かります。自称「危機管理のプロ」の山口知事です。

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20210215知事回答大飯判決.pdf
PDFファイル 154.9 KB

◆報道