九州電力は11月30日、玄海原発3号機で原子炉格納容器内の一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が通常より上昇したと発表しました。原因も特定できないままに、放射能の影響はないと断定して、「監視強化」だけで運転を継続しています。
実は、3.11直前の2010年12月にも同じようにヨウ素漏れ事故を起こしました。あの時は「定期検査前倒し」という形でしたが、九電は運転を止めました。
私達の会では「原因を究明せよ、プルサーマルを止めよ」と、九電や自治体に走り回る中で、3.11を迎えてしまったのでした。
そして、再稼働を果たした後の今回の、再度の「ヨウ素漏れ」事故!
12月16日、私達は九州電力と佐賀県知事宛に、運転停止を求めて質問書を提出しました。
また、2009年12月2日に日本初のプルサーマルが玄海3号機で始められてから、毎年おこなっている「反プルサーマルの日」要請として「住民と未来の人々の命を守るため 玄海原発を止めよ」との要請書も提出しました。
九電佐賀支店は、部屋を用意されず、玄関ロビーで立ったままの対応でした。
玄海原発3・4号機の火災および3号機放射性ヨウ素漏れ事故に関する
緊急質問書
原発事故は放射性物質の漏出によって生活環境が破壊される
住民の生命と暮らしを守る側に立って九電を厳しく戒めよ
2021年12月16日
佐賀県知事 山口祥義 様
九州電力は今年11月30日、玄海原発3号機で原子炉格納容器内の一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が通常より上昇したと発表した。九州電力は、週3回だった検査を毎日検査して監視強化するとし、外部への放射能の影響はないと断定して運転を継続している。
玄海3号機では、11年前の2010年12月9日にも一次冷却水の放射性ヨウ素濃度上昇が起こしている。その時は手動停止しそのまま定期検査に入り、2011年4月には再開予定と表明した。しかし2011年3月11日東京電力福島第一原発事故が起きたことで、3号機は2018年3月まで7年3ヶ月間止ったままになったが、その後も放射性ヨウ素漏れの原因調査結果は明らかにされていない。また、再稼働した直後の2018年3月30日、2次系の配管穴あき蒸気漏れ事故を起こしたが、九州電力は原子炉も止める事なく、当該配管・外装板と同じ部位の取り換えだけで対策を終えたとし、「専門家意見聴取」を実施しただけで発電再開を強行した。フクシマ事故後、国は審査合格と言えども、「安全とは言わない」と事故ありきを国民に押しつけている。今回のヨウ素漏れ事故では11年前のように直ちに停止させ原因追及する姿勢さえ示していないが、繰り返されるトラブルに対する謙虚さも反省も見られず、断じて許される事ではない。
3号機は危険度が高いプルサーマル炉であるが故に、度重なる事故に住民は疑問や不安が重なっていくばかりである。今回の放射性ヨウ素漏れは厳然たる事故であり、大事故に発展すれば被ばくから逃れる事が出来ない住民に対し、「外部への放射能の影響は出ていない」と安直過ぎる言葉で済まされることではない。住民に安心できる納得のいく根拠を示されたい。原発から出される放射線や放射性物質やその他汚染された蒸気・水までも、九電が出したものである。九電の経営のために、住民はどんな微小な被ばくでも容認するつもりは毛頭ない。
以下、緊急に公開質問状を提出し、回答を求める。
【質問事項】
(1)11月30日のヨウ素漏れ事故を知って、知事はなぜ運転停止を求めないのか。
(2)再々の火災で謝罪をした九電に対して、ヨウ素漏れ事故の件で抗議したのか。
(3)ヨウ素漏れ事故について、九電から県に対して詳細に状況説明はあったのか。具体的にどのような報告だったか全ての内容を公開すること。
(4)その結果、県としてどのような事を要求し、どのような指示をしたのか。
(5)県として、住民にはどのように知らせたか。九電のHPを見よだけでは済まされない。知事として、この重大な繰り返される不祥事の顛末をどのようにして知らせるつもりか。
(6)九電に対して、以下の項目を質問状として提出するところだが、県としてはどのように把握しているのか、各項目について回答を求める。なお、⑨については、数値が高いことについて県として把握していたかも回答されたい。
① 2021年11月30日、玄海3号機の一次冷却水の放射性ヨウ素濃度が0.11Bq/?から0.74Bq/?へ上昇したと発表された。2010年12月の一次冷却水の放射性ヨウ素漏れの時は原子炉を止めて調査したが、今回はなぜ運転を停止して調査をしないのか?
② 今回の放射能漏れについて、報道によると微小な穴などの発生している可能性もあるとしているが、放射能漏れの燃料棒を特定するシッピング検査を実施するのか?また、この検査ですべての穴を確認できるのか?
③ 今回の一次冷却水の放射能漏れ事故についての原因究明の調査スケジュールと調査方法はどのようになっているのか。
④ 運転上の一次冷却水ヨウ素濃度制限値63,000?/?を下回っていると言うが、63,000?/?に至る状態とはどんなことが燃料棒に起こった時なのか?また制限値の計算根拠を示してもらいたい。
⑤ 通常は一次冷却水には放射性物質(放射性ヨウ素など)は漏れてないと理解しているが、なぜ通常でもゼロではないのか。
⑥ 一次冷却水に漏れ出た放射性ヨウ素はどのように処理するのか。
⑦ 一次冷却水のヨウ素放射線量の定期的な測定(3号機、4号機別)は、週何回、何曜日に行っているのか。
⑧ それぞれ(1~4号機)の原発の稼働した時から一次冷却水の放射性物質漏れの全ての事故について原因及び対処方法を開示の事。
⑨ 原子力施設運転管理年報によると、2005年、2006年、2010年、2011年の放射性ヨウ素131の外部放出数値は検出限界値を超えているが、原因は何か。このときの調査結果はどうなったか。自治体や住民にどう説明したのか。
⑩ 日常的に二次冷却水など海水に戻す際のように、この放射性ヨウ素131など外部に放出している他の放射性物質はないか?
⑪ 今回のような放射能漏れは九州電力のHPの原子力発電所の運転状況にグラフから見ることが出来るが数値までは分からない。市民にわかり安い正確な情報はどこで見ることができるか。
あしたの命を考える会/今を生きる会/風ふくおかの会/玄海原発反対からつ事務所
原発知っちょる会/原発を考える鳥栖の会/さよなら玄海原発の会・久留米
戦争と原発のない社会をめざす福岡市民の会/脱原発電力労働者九州連絡会議/たんぽぽとりで
怒髪天を衝く会/東区から玄海原発の廃炉を考える会/福岡で福島を考える会
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
◆報道
■2022年3月4日付で知事より回答がきました。