2009年12月2日は、九州電力が日本で最初のプルサーマル運転を、玄海3号機で強行した日です。
住民は理解も納得もしていないと、2010年から毎年"12・2反プルサーマルの日"として行動で示してきました。
今年も12月2日この日に、玄海町内へのチラシ・ポスティングと町長への要請を行い、
「本当は手を挙げたくなかった」などと無責任発言を繰り返した脇山伸太郎玄海町長に対して、発言の真意を問い質しました。
12.2反プルサーマルの日
要請・質問書
住民は国策の犠牲になりたくない
原発事故をおこさないために原発の停止と廃炉を求める
核ゴミ最終処分場 文献調査受け入れ撤回を求める
2024年12月2日
玄海町長 脇山伸太郎様
2009年12月2日は、九州電力が日本で最初のプルサーマル運転を、玄海3号機で強行した日です。住民は理解も納得もしていないと2010年から毎年"12・2反プルサーマルの日"として行動で示してきました。今年で15回目となります。
今年1月26日、玄海3号機はプルサーマル発電を一時停止し、現在ウラン燃料だけで運転しています。しかし、去る10月18日の新聞では、フランスで40体のMOX燃料を製造し、2027年度以降、玄海3号機で装荷すると報道されました。現在、玄海3号機の使用済みMOX36体は、使用済みウラン燃料と同じプール内で冷却していますが、使用済みMOX燃料は使用済みウラン燃料より発熱量が高いと言われています。使用済みMOXの搬出先は何も決まらないままに、九電は特段の対処もせず無責任にも「当分の間プールで保管する」と、国の指示待ちです。
今年4月15日、玄海町に高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)最終処分場建設の文献調査問題が公になり、わずか一ヶ月も経たない5月10日、脇山町長は住民説明会もしないで拙速な受入を表明しました。核のゴミ(死の灰)は、10万年間、人々の暮らしから隔離し、管理し続けなければならない危険なものです。最終処分場の構造は、「地下300mより深くに埋める。処分場地下の面積は、約10㎢。地下までのトンネルは200㎞。地上施設は2㎢」となっています。もし建設されると玄海町の3分の1の地上では必ず町民が生活することになります。また、科学的特性マップでは玄海町は適地ではないとされていること、海底調査も視野に入るのかについては、脇山町長から「文献調査がどのようなプロセスでされるか詳しく知らない。海の面積も広くない。海があるからできるだろうということも全く考えていなかった」と無責任極まりない答えです。
脇山町長は受入れ理由として「斎藤経産大臣から、文献調査が処分地選定に直結するものではないと言質をもらったので、なし崩しに最終処分場になることはない。お金目的ではない。最終処分地が見つかるための呼び水になったらありがたい。」と公言した直後、5月27の記者会見では、「本当は手を挙げたくなかった」などと無責任な発言をしました。
原発事故がひとたび起これば重大な被害をもたらすことは東京電力福島第一原発事故で明らかです。3.11後、国と東京電力を相手に起こした住民らの裁判では、東京電力の賠償責任はみとめられたものの、国に対しては「国家賠償法上の違法性はない」と、国の責任は認めない判決を言い渡しました。「津波対策を講じたとしても事故を回避できたとは認められない」との判決理由でした。なんの罪もない住民だけが泣き寝入りです。
佐賀県知事は私たちの質問に「原子力災害は想定外の事象が起こった場合に発生するものであり、最悪の想定について具体的な想定ができるものではない」と回答しています。想定外が想定できなければ、原発はやめるべきです。
3.11事故後の避難者は今も福島県内外へ約2万6千人に上り、住民の暮らしは元には戻っていません。帰還困難区域は、309㎢=玄海町の8.5倍の面積になります(2024年3月時点)。玄海原発で事故が起きれば、偏西風も加わり被害は玄海町を超え広範囲に及びます。
東京電力の起こした原発事故で明らかになった事は、「原発事故は突然、想定外で起きる/全ての生き物の被ばくは避けられない/放射性物質の中には長く放射線を出し続け、子孫にも被害が及ぶものがある/事故後、癌や病気になっても原因の根拠を示す術を住民はもたない」ということです。そして、家族や地域住民との悲しい分断など数え切れないほどの悲劇が起きています。
原子力規制委員長自ら、「検査はするが安全とはいわない」言い換えれば「事故は起きる」と言っています。こうした無責任体制の下では、全ての命と暮らしは誰も守れないことが明らかです。
そこで、本日以下要請と質問をします。
住民の不安を取り除くに足りる具体的な回答をお願いします。
〈要請事項〉
1.原発の安全の第一義の責任は電力事業者となっている。規制委員長は「どんなに備えても原発事故はあると考えるのが基本、100%の安全を保障するものではない」と原発事故前提。住民は間違った国策の犠牲にはなりたくない。原発を一日も早く止め、廃炉を求める。
2.脇山町長は「文献調査が処分地選定に直結するものではない。なし崩し的に最終処分場にはなる事はないと考えた」と決断理由を述べている。しかし、文献調査を受入れたことは最終処分場建設への第一歩を踏み込んだことだ。10万年も暮らしから隔離、管理が必要な危険な問題を住民説明会もしないで拙速な決定をした事に抗議し、「最終処分場文献調査受入」の撤回を求める。
〈質問事項〉
(文献調査に対する脇山町長発言(5月10日、5月27日の記者会見より参照)
1.青森・六ヶ所再処理工場は27回目の完成延期で核燃料サイクル破綻は明らかだ。電力会社は使用済み核燃料を再処理工場に搬出できず、使用済み核燃料を保管する貯蔵プールが満杯になると原発を運転できなくなるため、リラッキングや乾式貯蔵施設等を増設し、急場しのぎの対策をやっている。破綻の根本的課題「高レベル放射性廃棄物処理場建設」を先送りしてきた事が今、避けては通れない問題となっている。この問題に手を挙げたのが脇山玄海町長だ。町長は、「核のごみ問題は特定の地域の問題ではない。国民的関心になればとの思い」と発言をした。しかし、核のゴミは電力会社が排出した産業廃棄物である。核燃料サイクルを推進し破綻させたのは国だ。
国と電力会社の責任を、なんの責任もない国民がなぜ関心を持たなければならないのか、その意味する理由を述べよ。
2.玄海町3つの組合から出された請願書は、最終処分場の誘致を要望するものとはなっていない。この内容で文献調査請願書として受理し議会決議したことを受けて、町長はどのように理解し、受入判断をしたのか。
3.町長は「議会が採決されたので、できるだけ早く出さなければならないが、これが長引くと長引くだけにさらなる議論とか問題にもなってくる」と、拙速な決断に至った気持ちを述べたが、
"さらなる議論"とは何か、"問題"とは何か、何が困るのかを述べよ。
4.「今でも玄海町が最終処分場に適しているとは思っていない。電気を供給する自治体としての考えしか持っておりませんので、自分がもしも町長から離れたとしても、そういった活動は逆にしていきたい」と発言した。
なぜ、適していないのに手を挙げたのか?自分の決定にどのような責任を感じているのか?また「そういった活動・・」とはどんな活動か?
5.記者から「最終処分法に明記されている知事及び地域町長の意見を聞き、これを十分に尊重しなければならないとあるが、法律の専門家からは、尊重はするが地元の意見とは関係なく先に進めると読める指摘もある」との質問に、町長は「そうあってはならないし、ないだろうと思う。なった時には全国の立地町そして手を上げられた町村に応援をしていきたい。そうならないように声を上げていきたい」と回答した。
「そうならないように」とはどのような声を上げるつもりなのか、具体的に教えてもらいたい。
6.住民に対し、「反対請願が上がってこなかった。玄海町は約1週間ちょっとで請願が上がってきて採択、採決された。住民説明会は必要かもしれないが、物理的に来れない人も出てくる。それよりも、毎日放送している議会の状況を見てもらうのがいい」と発言している。
町長は、住民が請願を出さなければ、どんな問題でも住民からの意見はなかったことにするのか。また、私たちは、幾度となく町長に要請書を提出し意見を伝えてきた。玄海町以外の住民からの要請は、町長の町政の参考としなくていいと言う事か?
7.私たちは、玄海町民の方に電話アンケートをした。(結果は5月2日付要請書で提出済み)電話回答をくれた111人の99%が「知らされていない、わからない」と答えている。議会中継テレビでは不十分と言うことが明らかだ。
玄海町民の命と暮らしを守る立場の町長として、住民へ文献調査について理解を求める行動は予定しているのか。あればどのようなものか。
8.「ほんとは文献調査に手を上げたくなかった」と住民を守る町長として無責任過ぎる発言があった。苦渋の決断に至った一番の判断理由を述べよ。
以上