【武藤類子さん「原発事故は危険と諦めと分断を強要され、生きる尊厳を傷つけられる。すべての原発を止めるために、ともに歩んでいきましょう」~さようなら原発!2.18玄海原発再稼働を許さない九州総決起集会】
2月18日、九州各地から1800人が佐賀・どんどんどんの森に集まり、玄海原発再稼働を許さないとの思いを1つにしました。
前半の集会では、福島原発告訴団長の武藤類子さんが福島の“今”を訴えてくれました。
石丸初美・裁判の会代表をはじめそれぞれの持ち場で活動する市民、団体代表者らから「再稼働絶対許さない」の決意を訴えた後、デモに出発。
右翼の街宣車が大音量で罵詈雑言を参加者に浴びせてきましたが、あたたかな陽ざしの中、私たちは心一つに、街中を行進しました。
終着点の佐賀県庁では、「もともと同意権など存在していないことを国と確認した」として県民の命を主体的に守る責任を放棄した山口祥義知事に対して、再稼働を認めるな!と声をあげてぐるりと包囲しました。
しかしこうした大人数のデモも、そこで終わってしまうと何の意味もありません
日々の取り組み、自分の持ち場でできることをやっていくことこそ、闘いです。
玄海再稼働阻止へ向けて、正念場です。
フクシマで勇気をもって行動を続ける武藤類子さん達と手をつなぎ、原発すべてなくすために行動していきましょう!
◆武藤類子さんスピーチ全文
佐賀のみなさん、九州各地からお集まりのみなさん、全国からお集まりのみなさん、こんにちは。
福島から参りました武藤類子と申します。
玄海原発を動かさないために、この原発社会を変えるために、頑張っておられる皆さんに心から感謝いたします。そして、原発事故からの日々を福島に心を寄せて下さり
ありがとうございます。
今年も3月11日が近づいてきました。昨年11月に福島県沖で起きた震度5弱の地震が、多くの人に311をフラッシュバックさせ、傷の深さを思い起こさせました。
今、福島では次々と避難指示が解除され、人々の帰還政策が推し進められています。しかし、この帰還は「安全になったから帰って下さい」と言うものではありません。「一応除染をしたから、まだ放射性物質はあるけれど我慢して暮らして下さい」と言う意味です。
避難指示が解除されていく地域に、除染廃棄物の黒や青い袋が山積みされ、減容化のための焼却炉が作られています。復興のお金を巡って多くの原発関連企業が群がり再び利権を得ています。
3月末に解除となる予定のある町の平均の放射線量は0.65μ㏜/hです。半数の人々は帰らない決断をしています。30%の人々は迷っています。昨年解除になった町々も帰還率は1割にも達していません。
帰還政策の中で国と福島県は区域外避難者の、住宅無償提供の打ち切りを強行しようとしています。
原発事故のために、人生を大きく変えられてしまった避難者たちが、この打ち切りが実行されると、住まいを失う、または経済的に困窮する、家族がバラバラになる、ようやく慣れた環境から出なくてはならない、望まない帰還をしなくてはならないなど更なる困難の中に置かれます。
一方、避難解除や、新たな企業誘致のために莫大な復興予算が投じられ、2020年までに避難者を0にすると言う福島県の目標のもとに、帰還困難区域の除染やモデル地域の建設を計画してします。
第1原発から4㎞のところに建設される双葉町アーカイブ拠点には、50億の予算が計上され、原発事故の様相を伝えるための施設が作られ、高校生の修学旅行を誘致するということです。
しかし、原発事故は今も収束してはいないのです。
汚染水のタンクは今も増え続けています。期待された凍土壁はほぼ失敗だと言われています。
第1原発1・2号機の120メートルある排気塔を支える鉄骨に生じたヒビや破断が増え、いつ倒れるか心配でなりません。
2号機のデブリと思われる写真が公開されましたが、そこは650シーベルトだそうです。そこに人が5秒いたら放射線傷害で確実に死亡する線量なのだそうです。サイト内には何十年も人が近づけない場所が数多くあるのです。
福島県の子どもたちの甲状腺がんは疑いを含めて184人となりました。福島県の県民健康調査検討委員会は多発とは認めているものの、未だに原発事故との関連は考えにくいとしています。そして、甲状腺検査の縮小が画策されようとし、私たちは警戒しています。
「甲状腺がん子ども基金」によると、福島県外の放射性ヨウ素が通った地域でも、重症化した甲状腺がんは見つかっています。放射能被曝による健康被害に誰もが不安を感じています。仮設住宅や避難先で鬱を発症する人が増えています。福島県の自殺率は2014年から急激に増加の一途を示しています。
若者たち、子どもたちに向けた放射能の安全キャンペーンが大変な勢いで繰り広げられています。昨年夏には、疑問だらけの放射能に対する教育施設が開設し、小学生を中心として3万人の人が訪れています。子ども達は、「放射能はこわかったけれど、よくべんきょうしたら、自然の中にもあり、医学にも役立っていることがわかり、安心しました」と作文を書いています。
暮れには福島県の高校生が第1原発の収束作業を見学に行きました。そこは、18歳以下は働けない場所です。
原発がひとたび事故を起こしたら、何百年もの間、土や海や山の木々は汚染され、人々の人権は奪われます。
危険と諦めと分断を強要され、生きる尊厳を傷つけられます。
世界のどの原発ももう動かしてはなりません。
原発はあらゆる命と共存はできません。
こんな悲惨な事故は福島で終わりにしなければなりません。
そのために私たち福島の被害者は立ち上がり、つながり、声をあげています。
2015年に設立した、「原発事故被害者団体連絡会 ひだんれん」は、被害者が完全に救済されるように国や福島県と交渉をしたり、デモや集会、スタンディングなどを行っています。これからは健康手帳の取得や保養の制度化にも取り組みたいと考えています。
今年は沢山の民事裁判が結審を迎えます。
2012年に、私たち福島原発告訴団14000人が行った告訴により、2016年2月にとうとう東電の元幹部3人が強制起訴されました。日本の行政機関である検察はこの大事故の責任を裁判で問う必要はないとの結論を出しましたが、市民による検察審査会が強制起訴を決めました。
事故の責任を問う刑事裁判がもうすぐ始まります。事故の真実を明らかにし、責任を負うべき人に罪を償ってほしいと思います。二度と同じ悲劇を繰り返さないために、核の時代に終わりを告げるために、この裁判を注目し支えて下さい。
佐賀の皆さん、この美しい山々と海と風を汚してしまってはいけません。
玄海原発を決して動かさないために、
全ての原発を止めるために、
諦めずに行動していきましょう。
ともに、歩んで行きましょう。
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◆石丸初美代表、スピーチ全文
みなさんこんにちは。
みなさんこんにちは。
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会の石丸です。
2010年8月9日プルサーマルを止めるためMOX燃料使用差止裁判を九電相手に起こし、その後3.11を挟んで「玄海原発4基全てを止めるため」九電と国を相手に4つの裁判で闘っています。九電から出てくる資料は、まっ黒塗りで、公平な裁きにはなっていません。
裁判は大変ですが、子ども達のことを思うと、諦めるわけにはいかないので、これからも闘っていきます。日頃からのみなさまのご支援に感謝しています。
3.4号機再稼働差止仮処分の裁判が、近日中に佐賀地裁から下されます。
皆さん応援よろしくお願いします。
私たちは、知らず知らずのうちに原発の電気を使ってきました。
核のゴミを否応なしに押しられるのは「子ども達」「未来の人たち」です。
私たちは、これ以上放射能の負の遺産を未来へ遺したくありません。
増やしてはならない。
事故から6年が経とうというのに未だ福島第一原発は「原子力緊急事態宣言発令中」です。
日本の一大事なのです。
福島原発で650㏜という高線量が検知され、廃炉の見通しは全く立っていないそんな最中、どうして再稼動でしょうか。
今、玄海再稼働の地元同意が焦点となっていますが、同意権は、佐賀県知事と玄海町長二人と私は、思っていました。
しかし、先日2/14記者会見で、山口知事は、「そもそも県・自治体に地元同意権は存在していない」と発言しました。法律で同意権がないとしても、山口知事には「県民の命と財産は守る」と言ってほしいです。
避難計画についても山口佐賀県知事は「避難の問題は当然現地の状況に精通しているのは県とか市町で、しっかり対応できるようにしていかなければいけない」と述べていますが、加害者である九電、そして国は「支援します」と他人事のように言っています。九電の事故のためになぜ、ふるさとを捨て、逃げなければならないのでしょうか。理不尽極まりない原発です。
田中委員長は、九電のやらせメール問題について「3.11前は、やらせに似たことはどこの事業者もやっていたと思う。」と電力会社の隠ぺい体質を認めるような発言は、許すことは出来ません。この人に審査をする資格はあるのでしょうか。
私たちが決して忘れてはならないのが、被ばく労働問題です。
廃炉になろうと、被ばく労働者がなくならないのが原発です。
生きとし生ける者が安心して健康で暮らせる社会は、自然があってのことです。
原発は自然と未来を滅ぼします。
再稼働は、核のゴミを増やします。
玄海原発は、5年間全基止まったままです。電気は足りています。
再稼働の準備は着々進んでいます。3.11の学びは、原発廃炉しかありません。
玄海再稼働止め、そして全ての原発をみんなで力を合わせて止めましょう
20170218 佐賀:どんどんどんの森