【9/4行政控訴審も結審。来年1月20日(火)判決!】

 9月4日、福岡高等裁判所(久留島群一裁判長)にて、国を相手に玄海原発差止めを求めた行政訴訟第15回口頭弁論が開かれ、今回で結審となりました。 初めての傍聴参加17名を含め、約70名が各地から駆けつけました。

 2013年佐賀地方裁判所に、原発政策の本丸である国を提訴してから約12年、長い闘いの最後の控訴人意見陳述は、原告団長石丸初美さんが行いました。 

 

 本来ならばもう一つの九電相手の全基差止め訴訟と同日の7月15日に結審となる予定でしたが、国は火山に関する新たな書面を提出したいとの事で、私たち控訴人がそれに対する反論書面を提出、その為行政訴訟の結審が9月4日に延びてしまいました。しかし驚くことに、今回また国側から火山に関する新たな書面を追加提出したいと申し出があり、これには久留島裁判長もかなりの驚きをみせ、裁判を休廷させ、裁判官3人は別室にさがり話し合いを行った後、裁判再開となりました。 

 裁判長は「判決日は来年1月20日、これは絶対に変わりません」と強い口調で言われ、私たち控訴人弁護団に「新たな書面を受け取らないという選択もありますが、どうされますか?」と提案。冠木弁護団長が「新たな書面は受け取りません」と回答しましたが、国側の弁護団が聞き取れない声でゴニョゴニョと提出したい意向を述べ、傍聴者には全く聞こえず何が起きたかわからない為、騒然となってしまい、裁判は二度目の休廷となり、再度裁判官はさがり、弁護団も話し合いがもたれました。裁判再開後、冠木弁護団長が「書面は受け取りますが、こちらも反論書面を出さなければならないので、新たな書面は9月末までにお願いしたい」と伝え、国側からの書面は9月末までに、反論書面は11月末までに提出と決まりました。 

 同じ福岡高裁で国と係争し8月27日に控訴人が敗訴となった川内原発行政訴訟で主要な争点だった火山ガイドの不合理性について、国側は不条理な言い訳をまだ付け足したく、今回の新たな書面追加提出の申し出となったのでしょう。 

 

 裁判後の報告集会では、最大の争点、地震動についての学習会を行い、裁判補佐人の小山英之さん(美浜の会代表)にお話いただきました。

 

 石丸初美さんは意見陳述で「私たちの裁判は"命を守る裁判"です」と、裁判を決意し、長年原告団長として闘ってきた強い思いを述べ、他県から玄海原発視察に訪れた修学旅行生に原発反対運動になぜ参加しているのかを話す機会があり、後日話を聞いた中学生から届いた感想を紹介しました。 

「何という国に生まれてきてしまったのだろう」 

 この最初の文を読み上げた時、それまで下を向き、資料を見ていた裁判長が顔をあげ、じっと陳述を聞き入った姿がとても印象的でした。 

 生まれてきたときにはすでに原発はこの国に乱立し、福島第一原発事故でその危険性を学んだはずの国が今も原発を稼働させている事への子どもたちの怒り。 

 大切な命より、お金のために原発を動かそうとする大人がいる事への怒り。 

 この問題を知った私たちが多くの人と話をし、伝えていく事が大切だと思う。 

 

 私は、この感想を聞き、ひとりの大人として子どもたちに申し訳ない気持ちになったと同時に、改めて諦めずに声をあげ続ける事、対話で多くの人に伝えていく事で社会の流れを少しずつでも変えていかなければいけないと思いました。 

 壊してしまった自然や大切な地球をこれ以上壊す事なく、誰もが笑顔で安心して暮らせる社会を未来の人たちに渡せるよう、ひとりひとりができる事をやり、隣の誰かのことも大切に思いやる優しい気持ちで過ごせば、きっといい社会になると思っています。 

 裁判の判決日は、2026年1月20日(火)です。 

 子どもたちにも胸を張って報告できる誠実な判決を切に願います。 

 しかし、判決が出て終わりではありません。 

 稼働中の原発を止めること、原発に依存しない社会にすることが、私たちの願いです。

 判決日、ぜひ傍聴にお越しください。 

(報告/控訴人・井ノ上利恵)

 

判決 2026年1月20日(火)福岡高裁

14:30 行政控訴審 判決言い渡し

14:45 全基控訴審 判決言い渡し

 


◆裁判書面(行政)

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20250828玄海行訴最終準備書面(火山)●.pdf
PDFファイル 676.5 KB

◆控訴人意見陳述

ダウンロード
20250904意見陳述行政石丸初美 ●.pdf
PDFファイル 586.8 KB

意見陳述書

2025年9月4日

佐賀市

石丸ハツミ

 

 私は、佐賀市に住んでいる石丸ハツミと申します。74歳です。4人の子どもは皆家を離れ、今は夫と二人で暮らしています。2006年2月、反プルサーマル運動に参加、子どもたちの未来が、安心、安全な暮らしは望めない状況と知り愕然としました。その延長で裁判を決意し、子どもたちを守るため、引いては未来のためにと、全国の仲間の支えを借りて4つの原発裁判をみんなで挑んできました。2010年から原告団長と、プルサーマル裁判の会(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会)の代表を担当してきました。

 

『原爆と原発』

 中学2年生の時、父が「玄海原発誘致」の新聞記事を見て、自分の事のように喜んでいました(昭和40年)。子どもだった私は『原子力発電所』も『原子爆弾』も"原子"がつく言葉で本当に大丈夫だろうか?」と父に聞いた記憶が残っていました。勉強会で「原爆も原発も仕組みは同じ」と聞いて、「やっぱりそうなんだ」と父との会話が蘇り「佐賀平野が被ばくする」と想像しました。しかし、福島原発事故は想像を遥かに超え、自然界が放射能に破壊されました。自然の大切さにようやく気づかされました。「原発はいらない」と確信しています。

 

『福島原発事故』

 奇しくも3.11は、MOX差止第2回口頭弁論当日で、佐賀地裁へ入廷中の時でした。裁判所内は騒然としていたのを忘れません。

 事故後政府は、福島の一部地域では他県より20倍の20ミリ?/年の被ばくを強要し、福島例外状態を常態化させています。人権侵害が起きています。生まれてくる子どもからそこに暮らす全ての人々はこの環境です。何というむごいことを国はするのですか。

 汚染水海洋放出は風評被害だけではありません。みな海の幸を頂いて生きています。国民が食生活、健康への不安を持つのは当然です。知ろうとしても原発の情報は専門的で難しく、国民は「知る、選ぶ、決める」の判断する術を奪われ、子どもたちは守れません。加害者の国と東京電力は無罪となり、やり場のない怒り、悲しみ、苦しみを思うと、被害者の心の痛みはいかばかりかと感じずにはいられません。

 

『事故後の政策』

 国は事故後も「どんなに安全対策を講じてもリスクは残る、リスクを除去・低減することでしかない」と、「事故は起きる前提の再稼働」に舵を切りました。狂気の沙汰としか言えません。

 私たちは、福島の悲劇を学びとして、二度と原発事故を起こさないために、司法に訴え、法廷外では市民にできる手段で「原発を止める」活動をしてきました。

 活動の中で、避難先自治体へアンケート調査を実施しました(2022年6月/コロナ感染下対策、2023年5月/緊急時対応放射能検査防護措置)。その結果、

・通常存在しない30倍*の放射性物質の被ばくを強要させられる基準になっている。

・避難元、避難先間で充分な情報共有が行われていない。

・コロナ等感染症下での玄海原発事故時の避難所は足りていない。

 など、調査から実効性に欠ける避難計画で被ばくは避けられないことが明らかとなりました。

 近年、地震が頻発している日本列島で、南海トラフ巨大地震も起きると言われています。原発事故が重なれば、悲劇は避けられないことが明らか、原発が動いている限り、住民の安堵の暮らしはありません。

 

『伝える活動』

 私たちは、これまで、国や県、市町、九州電力へ要請・質問書を提出、そこで明らかになった事実を伝える活動をしてきました。ある中学の生徒さんから電話があり、玄海原発視察の修学旅行を企画するので、私の話を聞きたいという事でした。私は、専門家でないことを伝えましたが、普通のおばさんがなぜ反原発運動に参加しているのかを聞きたいとの事でした。私が知る限りの事実を話しました。後日感想をくれたので紹介します(Sさん)。

 

「何という国に生まれてきてしまったのだろうと、私たちはたくさんの問題を知ってしまいました。私が生まれる前から生きていた人たちがやったことです。

私は、問題を引き起こしてきた欲深く罪深いおじさん達に怒っています。

金のために他人の命まで危険にさらして原発を動かそうとしている、なんで?

命より大切なことはないと言うことを忘れたのでしょうか。

私は気がつきました。

どんなに大勢でNOと言ったって、数人の権力者がYESと言えばYESになってしまうのではないかと。この問題を解決するには、一部の専門家らに任せず、私たち一人一人が問題として認めて知って話し合うことが大切だと考えています。

私は、人にたくさんの話を聞きました。

知った事を人に伝える事はできる、先ずはそれをして行こうと思います。」 以上です。

 

 自分の国が、とんでもないことになっている現実に直面した子どもの怒りです。大人たちは受け止めなければなりません。子どもたちが、夢を語って幸せを求めて生きる権利を、政治も電力会社も奪うことはできません。

 私たちの裁判は"命を守る裁判"です。

 「未来の人々にも笑顔で安心して暮らせる社会を渡したい」という願いです。

 「司法は未来を守り人権を守る最後の砦」であることを切に願います。

 

*原発施設では「4ベクレル/?以上の汚染は"危険"」とされ、一方、原子力災害時の避難では「120ベクレル/?までなら"問題なし"」とされている。つまり、原発内では「持ち出し禁止とされるレベルの"30倍"の放射能汚染が、災害時にはそのまま避難してもOK」と国の基準はなっている。


◆報道